威圧・委縮させる効果をもたらすから。
裁判所法71条は、裁判長が法廷の秩序を維持するために必要な事項を命じ、処置を執ることができるとする。
法廷の秩序維持に、
裁判所はかなりの神経を使っています。
法廷が茶番や劇場、闘牛場になってしまうことは、
司法への信認を損なう恐れがあるから。
裁判所法第七十一条(法廷の秩序維持)法廷における秩序の維持は、裁判長又は開廷をした一人の裁判官がこれを行う。
② 裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者に対し、退廷を命じ、その他法廷における秩序を維持するのに必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる。
第七十一条の二(警察官の派出要求)裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における秩序を維持するため必要があると認めるときは、警視総監又は道府県警察本部長に警察官の派出を要求することができる。法廷における秩序を維持するため特に必要があると認めるときは、開廷前においてもその要求をすることができる。
② 前項の要求により派出された警察官は、法廷における秩序の維持につき、裁判長又は一人の裁判官の指揮を受ける。
裁判所の人間だけでは、どうにもならない程に
荒れる法廷
が、過去には多々あったそうです。
第七十二条(法廷外における処分)裁判所が他の法律の定めるところにより法廷外の場所で職務を行う場合において、裁判長又は一人の裁判官は、裁判所の職務の執行を妨げる者に対し、退去を命じ、その他必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる。② 前条の規定は、前項の場合にこれを準用する。
③ 前二項に規定する裁判長の権限は、裁判官が他の法律の定めるところにより法廷外の場所で職務を行う場合において、その裁判官もこれを有する。
第七十三条(審判妨害罪)
第七十一条又は前条の規定による命令に違反して裁判所又は裁判官の職務の執行を妨げた者は、これを一年以下の懲役若しくは禁錮又は千円以下の罰金に処する。
法廷等の秩序維持に関する法律 (昭和二十七年法律第二百八十六号)(この法律の目的)第一条この法律は、民主社会における法の権威を確保するため、法廷等の秩序を維持し、裁判の威信を保持することを目的とする。(制裁)第二条裁判所又は裁判官(以下「裁判所」という。)が法廷又は法廷外で事件につき審判その他の手続をするに際し、その面前その他直接に知ることができる場所で、秩序を維持するため裁判所が命じた事項を行わず若しくは執つた措置に従わず、又は暴言、暴行、けヽんヽ騒その他不穏当な言動で裁判所の職務の執行を妨害し若しくは裁判の威信を著しく害した者は、二十日以下の監置若しくは三万円以下の過料に処し、又はこれを併科する。2 監置は、監置場に留置する。
法廷の秩序維持のための
徹底ぶりが伺えますね。
記事に戻ると、
地裁は取材に対し、法廷では、はちまきやゼッケン、たすき、腕章などを着用した場合に入廷を禁止されることがあるとし、今回は「裁判長の指示により、(これに)類するレインボーカラーの装飾品のうち、裁判体(裁判官)や当事者が認識できるようなものの着用は許されていなかった」としている。
はちまきやゼッケン、たすき、腕章
これらのオーパーツたちは、
荒れる法廷
の頃の名残です。
……ものすごく、大変だったらしいです。
(赤いヘルメットは凶器扱いできるからなのか、列挙されていないですね……)
時は流れて、
福岡地裁小倉支部の裁判員裁判で、殺人未遂罪に問われた暴力団幹部の知人とみられる男が結審後、複数の裁判員に「よろしく」「顔覚えとるけんね」などと声を掛けた。同支部は「裁判員に身体上、精神上の重大な不利益が生じる」として裁判員4人の辞任の申し出を認め、解任を決定した。
(産経新聞「暴力団の「威迫」 「よろしく」「顔覚えとるけんね」などと…裁判員の安全が最優先だ」2016/6/12 https://www.sankei.com/article/20160612-K3QEPHC24FNZHMBZQS4JOKZIYA/ )
というタイプの
「分かりやすい」威迫
もなくはないです。
けど……
さりげなく法廷の秩序を害する手段が、
特に
「静かに威圧する」手段
が出てきました。
たとえば、
「証人が言葉を発し始めると、
一斉にメモを取る」
これは、
「しっかり聞いているぞ、妙なことを言えば……分かってるよなぁ。」
とメモを取る行動で以て、示す。
ちなみに
法廷でメモを取る行動を認めた事件(ㇾペタ事件)にて、
最高裁は、
裁判所としては、今日においては、傍聴人のメモに関し配慮を欠くに至つている ことを率直に認め、今後は、傍聴人のメモを取る行為に対し配慮をすることが要請 されることを認めなければならない。もつとも、このことは、法廷の秩序や静穏を害したり、公正かつ円滑な訴訟の運 営に支障を来したりすることのないことを前提とするものであることは当然であつ て、裁判長は、傍聴人のいかなる行為であつても、いやしくもそれが右のような事 態を招くものであると認めるときには、厳正かつ果断に法廷警察権を行使すべき職 務と責任を有していることも、忘れられてはならないであろう。
(最大判 平成元年3月8日 民集第43巻2号89頁 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52213 いわゆる「ㇾペタ事件」)
法廷警察権を行使
とは、一言で言えば、
法廷から力づくで摘み出す、
ということ。
メモを取る行為ですら、
法廷の秩序維持に差し支えることがあるのです。
それ以外の行為は、いうまでもないでしょう。
記事に戻ると
明治大法学部の鈴木賢教授は傍聴人として法廷に入ろうとした際、白い靴下に入っていた虹色のラインについて、地裁職員から「裁判体の指示で、隠さないと入れません」と言われたという。そのため、柄の部分を折り曲げて入廷した。地裁の建物に入る際の持ち物検査でも、虹色の文字で「LOVE&PEACE」と記されたストラップをかばんに付けていたところ、「隠してください」と言われたという。
く靴下やストラップより小さな、
組の代紋入りバッチ
も法廷では御法度です。
佐賀県にある、性的少数者の支援団体で共同代表を務める小林誠さん(56)も虹色で「PRIDE」と記されたTシャツを着用していたが、入廷を拒まれた。シャツを羽織って入ったが、今度は法廷内で、虹色のバンドを付けた腕時計も外すように言われたという。
威圧する気満々……
小林さんは「裁判所に声を聞いてもらい、国会を動かしてほしいと思って傍聴してきたが、それを裁判所に拒否されたと感じた。怖かった」と話した。
威圧しようとした奴が、
何を抜け抜けと……
怖いと思うは、
裁判官・書記官たちの方ですよ。
ちなみに、法廷での傍聴の根拠たる憲法82条1項について、ㇾペタ事件の最高裁判決では、
裁判を一般に公開して裁判が公正に行わ れることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとす ることにあつて、各人に裁判所に対して傍聴することを権利として要求できること までを認めたものでないことはもとより、傍聴人に対して法廷においてメモを取る ことを権利として保障しているものでもない
と指摘。
なので、
法廷での傍聴には、
裁判所に声を聞いてもらう機能も、
国会を動かす機能も、
ありません。
(レインボーカラーに染まった連中は、国会と裁判所の違いすら認識できていないのか?)
原告側弁護団事務局長の石田光史弁護士によると、弁護団も判決当日の朝、地裁書記官から虹色のバッジなどを法廷内で着用しない
組の代紋入りバッチ
も法廷では御法度です。
虹色は、
「LGBT組」の代紋。
これまでの弁論期日でこうした制限はなかった。
(まるで万引き常習犯の如き言い分……)
「静かに威圧する」
に気付いたときから、
裁判所は動く。
石田弁護士は「(虹色は)同性婚実現を表すものではなく、直接的なメッセージでもない。目的も分からず、やり過ぎではないか」と話した。
間接的なメッセージ
であると自白。
間接的なメッセージを示す
これは、
「静かに威圧する」
の典型です。
裁判所は今日も
静かな威圧と戦っています。
なぜに、ここまで危惧を示すのか、
その理由は
の画像で……
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます