イオン反応式の正しい書き方(タイプ別認識による)

2009-07-08 | 化学
【イオン反応式のタイプ分けによる認識深化】

①生成物と反応物の状態に依存するタイプ

Cu^2+ + 2(OH)^- + NH_3 → [Cu(NH_3)_4](OH)_2 ----これはNG×

”左辺の反応物である沈殿が過剰なアンモニアにより溶解し、
右辺のイオンになる” ので、

この場合は、各辺(反応前後)の主な存在形態を意識して、

Cu(OH)_2 + NH_3 → [Cu(NH_3)_4]^2+ + 2(OH)^-

が正しい。

②モル関係を表現し、
滴定の式を立てるためや、電荷量の計算のために用意するタイプ

Pb + SO_4^2- ⇔ PbSO_4 + 2e^-

や、

MnO_4^- + 8H^+ + 5e^- → Mn^2+ + 4H_2O

電極反応式や、酸化還元の半反応式です。
モル関係をつかむために利用しますね。

これらの①と異なる特徴は、両辺の帯電量が表現されていること。
反応前後で電荷量が保存することをも表現していますが、
これは①②共通です。
②は、各辺が、+か-いずれかに帯電しているので、
間違いにくいし、
大事なのはこの電荷量ですね(特に反応物質あたりの電子数)。
ところが、
①のタイプでは、
両辺に電荷が表現されていても、
各辺では+-電荷ゼロで、  ”電気的中性”  です。
この点が、間違いを誘うわけです。

中性とは、物質が水溶液となっていて(でなきゃ、沈殿しているか、
液体状態(エタノールなど)、または溶解している気体分子)
溶媒の水の中で、+、-のそれぞれのイオンとして分かれて存在することを
各辺に表現していないと、正しいイオン反応式になりません。

つまり、

”存在形態で、イオンにするか塩や分子にするかを判断できる!”

これがポイントで、それを認識していないから、
「何がイオン式で、何が普通の反応式なの???」
と、無限ループの罠にはまるわけです!

簡単な答えなのですが、シンプルなものほど奥深いのです。
反応式一つが、物質の状態や、他の物質との相互作用
(水和しているなど)をも表現しうるのですから。

なんとなく、問題集を解いて、当面出来ていても、
来年になったり、入試本番でヤッテしまうことが起こるわけです。

でも、問題演習もこなす必要があるし、覚えることも多いから、
常に、深く考えながら勉強していられないでしょうから、できるだけ
折に触れてこのように認識を深めておいて、
記憶を強化しておきましょう!

それでは、第二回の最後として一言、

君も、大いに間違えて、間違わない工夫をしよう!!
間違わないと、深まらないことも多いですよ!!

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