保護素子のpnダイオードを逆につなぐことより怖いこと・・・

高耐圧の基準電圧源を低消費電流に抑えて作るときには要注意である。
無理すると痛い目に会う。

素子には、大量生産可能な限界のVod（オーバードライブ電圧）がある。
Veffと呼ばれることもある。
アンプのカットオフ周波数を決定するパラメータとしてよく知られているこのVod。
ちょっと考えればわかるが、量産時の歩留まりにも大きく影響することがあるので要注意である。

例えば、ダイオードをPN逆に接続するのは、試作時に一度直せばよい、すぐ気づくことだが。
このVodの問題に気づかず量産すると、損害は莫大となる。

以前、ある設計チームで保護素子を逆に接続して試作品を作ってしまったことがある。なぜそうなったかは不明であるが、これはすぐに発見できるはずのものであった。

しかし、Vodは目で見えない。（シミュレーターの使い方によっては、すぐ表示できるので今後は随時利用すべきだが）
下手をすると、PN接合を逆にする憂愁よりも、
Vodを意図せず小さくしてしまうのは、更に偉大な憂愁の美を飾ることになるであろう。
アナログ回路の消費電力を絞るというのは、ホント、良く注意が必要である。

幸い僕はあるICの試作時の失敗で、これに気づいたので、量産時は二度と無理をしないでしょう。これを読んだ大変ラッキーなフレッシュマンも、この点を、一度良く勉強考察して、自分の知識にすることでより良い設計を目指しましょう。

失敗とはアイデア・ノウハウの宝庫である。
だからこれ以上教えるわけにはいきません。

P.S.
うっかりミスの気になるところ。いわゆるポカがあってはならない、これは稚拙なミス。
5年前、”POR（パワーオンリセット）”の特許を調べろと俺に命令して、
”お前はPOCAする人間だ”と言わんかのように、紙ファイルに調べ済みのリストを束ね、ファイル名を手書きで”POC”と書いて、上司から渡されたときには、しばらくいらついたことを思い出す。
「たとえ無理やりポカのように見えても、すべて俺の行動には因果関係がハッキリしているのだ！」と言いたくなったりするところ。
「あらゆる結果には原因がある」のです・・・。

しかし、実際、ポカは起こりうる。（チームでやるからこそ、気を抜いて安心した時にこそ、要注意である）
特に、焦って余裕なく作業をするとき。
他には、受験問題を本番で解いて答案を作成する時など、特に注意である。
こんなときは、リラックスと集中である。
それとかつ、やはり自分のペースを失わないで実行することしかない。

「結局、自分の闘い方は自分で勝ち取るしかない。」