母が遺していった古布
茶箱に二箱あった
買っていつか使おうとしていた布
着物を作った残り布
洗い張りし
綿入れや着物に再生するために
裏地と一緒に束ねた布
小布をつなぎ合わせ
炬燵掛けに端を綴じればすぐ使えそうな布
どの布も母の手が入ればすぐに
役立ちそうなものばかり
きまえよく捨てるのは忍びなかった
さりとて
綿入れや浴衣や着物を作るすべを私はしらない
子育ても仕事もめどが立ち
これからゆっくり母娘で縫い物の
時間が取れると思っていたのに
母はもういない
今 母をしのびながら
友人三人と
遺された布で袋や座布団カバーを作っている
娘さんの昔のワンピースのスモッキング
紬の端布で 古いバックの取っ手を利用して