夢のごと咲くや継子のしりぬぐひ
島谷征良
山道をあえぎあえぎ登りきって視界が急に開ける。
沢沿いに小さな薄ピンクの花が穂状に群れて咲いている。
心地よい風が通り過ぎるたびに、さわさわと音を立てて揺れている。
初めて見るこの花がとても好きになった。
家に帰って調べてその花の名前に驚いた。
一人静、十二単、翁草、思い草、古代の日本人が地味な野の花に、
ゆかしい立派な名前をつけているのにいたく感激していたので、
この命名はとても不思議になった。
一年草のたで科で茎は四角で細く1~2メートルになる。
茎には多くの棘が逆に生えている。
虫たちが下から登っていけないので
そんな名前がついたのかもしれない。
6月ごろ淡紅色の小さな花を健気に咲かせる。
秋、茎や葉を真っ赤に染める。
この花は夢のように咲かなくてはいけない。
どんな逆境にも負けてはいけないよ。
そんなことを思うのだ。
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