福田政権の方がマシ 5月1日

ジョンズ・ホプキンズ大学ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長は、「戦争を正当化することは、日本と戦った米国の歴史観と対立する。異なった歴史解釈のうえに安定した同盟は築けない。」と明言した。カルダー氏は、多くの米国人が、靖国問題を知ると、日米関係の障害になりかねないと言う。

東京裁判を受け入れ戦争責任を認めながら、A戦犯を合祀する靖国神社に、現職の内閣総理大臣が参拝するということは、米国の目から見ても論理的にありえない話なのだ。そのことを知っていながら、あるいはただ無神経なだけなのか、平然と靖国に参拝する小泉総理の思考が、世界の人々には、理解できないのだ。

真言宗の教えに、「隣人を愛する美しい人々の国となる時、国土は浄化し、愛国心はおのずから醸成されるのではないか。」とあるそうだ。小泉総理は、とにかく、自分の勝手な思い込みばかりに固執して、理性を完全に失ってしまっている。米国の識者らが懸念するのは、首相の参拝が結果的に、戦後日本の出発点に真っ向から反することにならざるを得ないのではないかということだ。

カルダー氏は、「隣国と対話できない日本は、米国にとっても役に立たない。日米同盟が機能するのは、日本がアジアのなかで役割を果たしてこそだ。」と解説する。もっともだ。米国にここまで言われても、尚、小泉総理はわからないのかもしれない。私たちは大変な人を、総理大臣にしてしまっているのだ。

世界の世論を無視して、小泉総理が靖国参拝にこだわり続けるのなら、国際社会の一員としての日本のアイデンティティは確立されない。いつまでたっても、日本はひとりよがりの独善的な国ということになる。アメリカに説教されるようになってしまっては、日本も終わりだ。

最近になってやっと福田元官房長官が、次期政権への意欲を示しはじめたようだ。彼は、父である福田元総理の、対東南アジア外交の福田ドクトリンの21世紀版を、政権構想の柱にしていくようだ。

福田ドクトリンとは、1977年8月、福田赳夫首相(当時)が東南アジア歴訪のしめくくりとして、マニラで表明した東南アジア外交3原則だ。
1. 軍事大国とならず東南アジアひいては世界の平和と繁栄に貢献
2. 心と心の触れあう信頼関係の構築
3. ASEANの連帯と強靱性強化に協力し、インドシナ諸国との相互理解の醸成により東南アジア全域の平和と繁栄に寄与
とある。

何よりも、「心と心の触れあう信頼関係の構築」こそ、5年間の小泉政治に最も欠けているものだ。民主党政権ができるまでの間、小泉亜流の安倍政権より福田政権の方が、日本にとって、アジアにとって、そして世界にとって、はるかにベターだと、私は思う。
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