マクドナルドと提携解消するディズニー 5月9日

子どもに大人気の米ウオルト・ディズニーは、ファストフード最大手のマクドナルドから年間1億ドル(約111億円)を得るタイアップ契約を、今夏を最後に更新しない方針を決定した。子どもの肥満が大きな社会問題と化した米国では、高カロリー食品の販売と、子供向け映画等の宣伝を連携させることに難色を示す声が強まり、10年間に及んだ提携の解消に踏み切る決断に至ったのだ。25年間で太りすぎの子どもの割合が3倍にも増えた米国では、クリントン財団が学校での清涼飲料水の販売を禁止するなど、子どもたちの健康を取り戻すための具体的な取り組みに乗り出し始めた。

翻って、日本でも外見が肥満でなくとも内臓肥満や小児糖尿病など子どもの生活習慣病が問題になってきている。子どもたちにもっとも影響を及ぼしているのは、アイドルや有名人を起用して1日中流れているTVコマーシャルだ。ファーストフードやジャンクフードなどの食品メーカーは、巨額を投じてTV番組のスポンサーになる。メディアにとっては、自分たちの利益のための「優良スポンサー」が、最優先だ。それらの食品が、子どもたちの体に不利益をもたらすことを、むしろ隠そうとさえしている。ウオルト・ディズニーの決断は、その意味において、非常に重要だ。日本のメディアや産業界には、絶対にできないことだ。

アトピーやアレルギーを誘発する牛乳が体に悪いことはわかっていても、いつまでも学校給食で強制的に牛乳を飲ませる日本。売れ行きが落ち、北海道の酪農家が窮地に陥ってしまったら、政府が買い上げる日本。健康のために、食品メーカーの姿勢を正す風潮は、日本にはない。BSEリスクのある米国産牛肉を「買うか買わないかは、消費者の選択だ。」と言いきる食品安全委員会プリオン専門調査会座長の言葉が、象徴的だ。

しかし、米マクドナルドの副社長は、BSEリスクをできる限り排除するために、FDA(米食品医薬品局)に対して、飼料規制を強化するようパブリックコメントを提出している。他社に先駆けて食の安全に一定の見識を示したマクドナルドに対して、子どもの肥満防止の観点からその存在を否定するような態度を明確にあらわしたディズニーの英断は、極めて重く画期的だ。

肥満による生活習慣病は、まさに読んで字のごとく、バランスを欠いた生活習慣の結果もたらされる疾病だ。自覚と強い意志さえあれば、自己コントロールできるはずだ。耽溺に溺れた結果もたらされる生活習慣病は、そのメカニズムからいって、本来自己責任であるべきだ。しかし、子どもは違う。子どもの生活習慣病は、家族と社会の責任なのだ。

マクドナルドとの提携を解消するウオルト・ディズニーの決断は、米国人の食生活の改善への第一歩となる。日本も、医療費の抑制に本気で取り組む意思があるのなら、まずは人々の生活習慣を立て直すことから始めなければならない。乱れた食生活が、すべての根源にある。ファーストフードやジャンクフードの人工的につくられた「美味しさ・便利さ」に溺れていたら、いつしか健康は阻害されていく。消費者一人一人の価値観の転換が、持続可能な社会へと舵をきることにつながるのだ。日本の将来は、社会がディズニーに匹敵する決断ができるかどうかにかかっていると、私は思う。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

教育基本法改正は、本当に必要か 5月8日

教育基本法改正を訴えているのは、もっぱら政府与党である。当の現場を担う教職員の多くは、逆に改正には反対の立場だ。教育の荒廃を改正の理由に挙げる政府だが、教育の荒廃は、教育基本法を改正すれば改善されるというのか。あり得ない。荒廃の本質的な理由が、まったく理解されていない。むしろ教育基本法の改正で愛国心が強制されることにより、教育の荒廃は一層進むに違いない。

極東地域での不必要な孤立化を進める小泉政権のおかげで、総理が米国に擦り寄る分、日米同盟をたてに米国は日本を植民地化しようとしている。小泉政権5年間は、極東での日本の自立したアイデンティティを、完全に失墜させてしまった。自らアジアでの自立の芽をそぐ日本を、世界の先進国はカウンターパートとしてみなすはずがない。

だらしない日本政府と、一国主義の米国とのお粗末な目論見が一致し、米軍再編のために日本は3兆円とも言われる巨額の資金を提供しようとしている。軍事国家アメリカの手足として、今まさに自衛隊は米軍に飲み込まれようとしている。合わせて、政府提出の教育基本法案が数の力で成立すれば、軍備の拡大とともに愛国心の強制によって、さながら戦前の帝国主義の再来ということになる。再び赤紙が配達される日が、やって来るのではないだろうかとさえ思ってしまう。

愛国心を強制すれば、おませな子ども達は、逆に強い反発心を覚えるに違いない。その結果、規律を正すどころか益々教育現場は荒廃する。客観的にみても、現行の教育基本法に問題点があるとは思えないし、政府改正案の文章が、現行のものに優るほど立派なものだとも思えない。日本人の文化の普遍性と同時に、グローバル化による文化の多様性についても受け入れようとする現行の教育基本法こそ、時代にぴったりとマッチしている。

文部科学省は、今日、教育基本法改正推進本部の初会合を開いた。現行法を否定する文科省の意図が、さっぱりわからない。教育の先頭に立つ多くの教職員の声に耳も傾けもせず、一方的に愛国心にこだわる政府与党とそれを支える文科省の権力意志に対して、異をとなえるチャンスは国民には少ない。政府体制派の御用機関に成り下がったマスメディアに期待できるものはなく、多くの国民が法改正の本質を知る術はなく、声を挙げることもなく政府案が可決成立されるとすれば、異常としか言いようがない。

教育基本法を改正する必要はない。日米同盟をたてにした米国による軍事的な日本の植民地化と相まった、帝国主義に逆戻りするような政府案に、賛成できるはずがない。国会でのまともな審議を期待するが、与党絶対多数の国会では、このまま成立してしまう可能性は十二分にある。軍事的に事実上米国の植民地と化し、この上、愛国心まで強制されてしまっては、子どもたちの自由は奪われたも同然だ。せっかく素晴らしい教育基本法が在るのだから、これを温め成熟させていくことに力を注ぐべきだと私は思う。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

農政改革基本法案 5月7日

このまま数の力で押されてしまえば、政府提出の農政改革基本法案が成立し、来年度には認定農業者や団体・集落営農など組織化された農業者だけが、「担い手」として国の農業支援の対象となる。これまでの中山間地域直接支払制度と比較すると格段に条件は強化され、4ha以上の大規模農家(認定農業者《北海道は10ha》)と20ha以上の集落営農(中山間地域は10ha以上)に限定する。特に、過疎化が進み小規模農家の多い地方では、農地の集積は困難を極める。

経理を一元化し、法人化を計画する農業団体であれば「担い手」と認められるため、法人の一歩手前の「特定農業団体」の設立を目指す動きも出ているが、個人の農業を否定するかのような政府案は、大企業による農地の買収もじゅうにぶんに予測されて、画一化と、生産性の効率化による農薬の乱用や遺伝子組み換え作物の横行など、食の安心・安全が脅かされた自然の恵みからは遠くかけ離れた農業が想像されて、むしろ時代錯誤の感さえある。

集落営農に参加できない高齢者は、細々と耕作を継続するか、農地を売るかしない限り、いずれその土地は荒れ果てていく。政府案には、大規模農業による大量生産で食糧自給率の向上を図るねらいがあるが、事実上、補助金の得られない個人農家の経営は益々苦しくなり、農業においても勝ち組・負け組がはっきりと分極化する構図が目に浮かぶ。大気の浄化作用・洪水の防止作用・水源涵養などの農地の多面的機能に対する評価は、そこには存在しない。

組織化による効率重視の農業を推奨する政府案は、小規模農家のやる気そのものを阻害する恐れがある。政府は農地面積の7~8割の集約を想定しているが、根拠のない単なる目標にすぎず、現時点では遠く及ばない。小規模個人農家を支援の対象からはずす政府案は、効率を重視するあまり、農業の本質から目をそらし、逆に荒廃地を増やす可能性さえある。「簡素な政府」は、地産地消を積極的に推進し、持続可能な循環型社会の構築を目指さなければならないはずだ。

補助の対象となる農作物は、米・麦・大豆・テンサイ・でんぷん原料用のバレイショの5品目で、直接支払額は、販売収入の小麦が2.2倍、大豆が1.3倍、米については価格が下落した際に補填されるということになっている。小麦や大豆などは、補助を受けられない限り、利益は限りなくゼロに近い。

今回の政府案の最大の問題は、2000年にスタートした中山間地域直接支払制度の評価を織り込んでいない点だ。荒廃する日本の農業を立て直していくためには、まずは、過疎化と高齢化が進む中山間地域の農業を持続可能なものへと転換していくことが先決だ。多面的機能にも着目し、生産だけではない価値への評価が、国土の7割・耕作面積全体の4割・農業生産の4割を占める中山間地域への「直接支払制度」なのだ。平地の農業のあり方は、中山間地域直接支払制度の充実改善の先に、おのずと見えてくるものだ。

農薬や遺伝子組み換えなどで人為的に汚染された作物の安全性は、まったく保障されていないどころか、極めて高リスクであると捉えるべきだ。農薬や化学肥料で汚染された農地に、元気野菜は育たない。農業の効率化には限界がある。本当の意味で持続可能な農業を目指すのなら、農業の大規模化は正しい方向とはいえない。政府が目指す農業ビジョンは、明らかに間違っている。WTO交渉を意識した政府の農政改革基本法案は、その結果、仮に自給率が向上したとしても、食の安心・安全そのものを揺るがしかねない危険性をはらんでいる。勝ち組農家による、農薬と化学肥料に汚染された農作物の生産が、日本の農業の望ましい形態では決してないはずだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

3兆円を喜んで負担する植民地「日本」 5月6日

米軍再編にかかわる日本の負担金3兆円について、ローレス国防副次官は「計算したのは自分だが、もとになった情報は、日本側から提供された」と明らかにした。ローレス氏は、「様々な情報に基づいて、私が見積もった。日本の担当者は『残りの経費は海兵隊のグアム移転費用の2倍だ』と話していた。」と述べた。即ち、日本側の情報に基づき、沖縄海兵隊のグアム移転費用100億ドルの倍の200億ドルとし、これにグアム移転経費の日本負担分の60億ドルを足した結果、はじき出された数字が3兆円というわけだ。「遅くとも半年後には、日本側がより詳細な全体の見積もりを示すはずだ」とも述べている。

ローレス氏のこの言葉は、今回の交渉が、米国主導で日本にまったく意思がなかったわけでは決してないことを裏付けている。いかにも、米国からのプレッシャーと見せかけてはいるが、実は、日本政府自らが3兆円という膨大な金額を、率先して負担する意思を示していたのだ。アメポチ小泉政権ならやりかねない。ローレス氏はまた、今回の再編の最大の狙いを、台頭する中国や弾道ミサイルを持つ北朝鮮を念頭にした、横田基地などでの日米の司令部の統合にあると強調した。しかし、それならば、自衛隊の存在意義そのものが疑われる。現行憲法のもとで十分に果たせるはずの北朝鮮からのミサイル防衛が出来ずして、自衛隊に価値はあるのか。

土壇場で名護市長と額賀防衛庁長官が合意した辺野古V字滑走路案は、実に謎が多い合意だ。従来の辺野古沖案の15年間返還説は、一気に恒久基地化へと流れは変わり、V字滑走路の建設費用がいったいどのくらいかかるのかもまったく不明。日本政府は、むしろ、米軍に日本に居てくれと頼んだのではないかとさえ思われる。

ローレス氏の話は、論理のすり替えに過ぎない。在日米軍、特に海兵隊は、イラクやアフガニスタンなど不安定の弧における有事をターゲットにしている。在日米海兵隊は、決して日本の防衛のために存在しているのではない。米国の戦略のために、日本国内で米軍基地の移設問題に悩まされたり、日本が膨大な移設費用を負担させられたりするということは、間違いなく日本が米国の植民地化していることをあらわしている。

日本にも責任を分かち合う覚悟を求めるとして、「日米同盟」が新たな段階に入ったことを強調する米国の主張はあまりにも独善的だ。「日米同盟」の新たな段階とは、米国からの自立でなければならない。沖縄をはじめ日本国内の米軍海兵隊の基地は、より不安定の弧に近いグアムに、すべて移転させることが最も理に叶っている。3兆円の負担をやめて、すべての海兵隊のグアムへの移転費用を日本が負担すればよい。思いやり予算の中の海兵隊分を向こう10年間、それにあてれば済むことだ。そうすれば、普天間が返還されても、辺野古基地の必要はなくなる。

理由をこじつけて不必要な戦争をイラクで勃発させ、多くの市民を犠牲にする米国の軍事戦略は、世界の支持を得ない帝国主義の横暴だ。そして、そんな根拠のない戦争の片棒を率先してかつぐ日本政府の外交戦術は、あまりにも稚拙で愚かとしか言いようがない。イラクについての間違った情報(ガセネタ)によってイラク戦争を開戦した責任をブッシュ大統領が問われるのなら、同じガセネタによって自衛隊のイラク派遣を決断した小泉総理も同様に、戦争責任を負わなければならないはずだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

クリントン財団とコカ・コーラ 5月5日(子どもの日)

米国飲料協会(ABA)は、小中学校でのコーラなど糖分の多い清涼飲料水の販売を、2009年の夏休み後の新学期から全面的に禁止することを決めた。肥満児の急増がその理由だ。6歳から19歳の若者のうち16%が太りすぎと言われ、過去25年間で、太りすぎの割合は3倍に増えたという。

子供の肥満が社会問題化している米国では、学校でのジャンクフードや炭酸飲料水の販売が、槍玉に挙げられ、米心臓協会や「クリントン財団」が、学校での販売の自粛をABAと交渉していたのだ。自伝「マイライフ」を読めば、若い頃のクリントン前大統領は、肥満であることに多いにコンプレックスを抱いていたことがわかる。

結果、販売できるのは、水のほか加糖していない果汁100%のジュース、脂肪分の少ない牛乳だけとなる。 畜産農家が有力な支持母体である、クリントンならではの選択だ。炭酸飲料を締め出すのなら、実は牛乳こそ販売を自粛すべきなのではないか。生乳に含まれる脂肪球を細かく砕き攪拌する際、乳脂肪は酸化されて過酸化脂質に変化する。それは文字通り「錆びた脂」だ。殺菌のために加熱処理すると、免疫調節作用など有用であるとされる牛乳の性質は、完全に失われてしまう。牛乳は、体にとって毒なのだ。さすがのクリントンも、有力な支持母体を敵にまわす勇気はなかったのか!?

更に、たとえ果汁100%のジュースであっても、添加物はたっぷりと使用されている。本当に子どもの体を思うのなら、それらも十分考慮して徹底した対策をとるべきだ。畜産農家が支持母体であるクリントンが、清涼飲料水を排除すれば牛乳の売上が伸びると想定しているのだとしたら、それは良くないシナリオだ。

ところで、この施策で締め出されるコカ・コーラ社には、黒い疑惑がある。インド国内で販売されているコカ・コーラの成分を調査した結果、高濃度の残留農薬と殺虫剤成分が検出されたのだ。中には、EU基準値の30倍を超える量が検出された事例もある。勿論、本国で販売されているコカ・コーラは、安全基準を満たしていると言われている。販売される国によって、コカ・コーラの成分は異なるのだ。多国籍企業のダブルスタンダードがそこにはある。

コカ・コーラは、インドでのイメージアップを図るため、ケララ州の工場で炭酸の製造過程で発生するヘドロを、肥料として地元の農家に無料配布していたという。ところが、このヘドロを英国BBCが調査したところ、なんと高濃度の鉛とカドミウムが検出された。とんでもない話だ。貧しい農民は、少なくとも3年間、この「肥料」を使っていた。これが、欧米では販売できないコカ・コーラを基準の緩慢な途上国で販売する、コカ・コーラ社の企業倫理なのだ。

日本でも、学校の行き帰りには必ず言ってよいほどコンビニがあり、子ども達はそこで自由に間食を調達する。日本のコカ・コーラは安全基準を満たしているだろうが、個々の食品が基準を満たしていても、複数の食品を摂取すれば、体内に添加物はどんどん蓄積されていく。米国が、糖分の多い清涼飲料水の学校での販売禁止に踏み切ることは、体に良くない便利食から脱皮するための、少なくとも第一歩になる。ガン対策も重要だが、ガンに罹るリスクをいかに軽減していくかが、保健衛生上最も重要な課題だ。塾通いの子どもたちが、コンビニでパンやジュースを買っている姿を見るにつけ、矛盾を感じる。日本でも、業界を恐れない思い切った食育改革が必要なのだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「2+2」日本は植民地なのか!? 5月3日

59年前の今日5月3日、日本国憲法が施行された。大陸へと侵略を進める日本は、朝鮮半島の植民地化と中国侵略が欧米列強に強い警戒感を与え、その結果、原油の輸入をストップさせられる事態に至り、ついに東条内閣により太平洋戦争(大東亜戦争)の開戦の火蓋が切って落とされた。

最終的に勝つ見込みのない戦争に踏み切り、数百万人もの尊い命を犠牲にしてしまった上に、日本を焦土と化し、敗戦という苛酷な運命をもたらした、時の内閣総理大臣・東条英機に、その最大の責任が、やはりある。

「お母さん、お父さん、今日までありがとうございました。私は征きます。」の辞世の言葉を遺し、空に海に散っていった若者たちの心に思いを寄せる時、万感迫るものがある。「今更、言なし」知覧をあとにした特攻隊員の絶筆だ。こんな形で死んでいかねばならない運命に直面した隊員たちは、もだえ苦しんだに違いない。毎年、憲法記念日の今日、まだ母の恋しい少年飛行兵たちが神風となった知覧の地で、慰霊祭が営まれる。多くの人々の命を奪う戦争は、二度とあってはならないと特攻隊員たちのまだあどけない表情が教えてくれる。

必然のごとく敗戦した日本に対して、勝利国アメリカは、意外に寛大な占領政策をとった。戦後60年間、GHQに与えられた「日本国憲法」によって、日本は平和で豊かな国へと成長することができた。しかし、時代は変遷し、5年に及んで小泉政権は続き、今、再び米国のための改憲論議が急速に台頭してきた。

昨年10月に発表された日米安保協議委員会「2+2」の中間報告にのっとり、在日米軍の再編議論が加速し、5月1日ついに、「2+2」は最終合意に達した。3兆円にのぼる莫大な日本の負担金に、まずはド肝を抜かれたが、最終報告の全文を読むと、この合意は、米軍グアム移転費用・普天間移設費用など、金額だけの単純なものでは決してないことがわかる。日本の自衛隊が事実上米軍の指揮下に入り、北海道から沖縄に至る自衛隊の基地を米軍と共用することにより、「日米が軍事的に一体化することを目指す」合意文書に、これは他ならないのだ。

つまり、全国の自衛隊基地を、米軍が自由に利用するということなのだ。仮に、極東あるいは「不安定の弧」で米軍にとっての有事が発生した場合、日本全国の自衛隊基地に散らばる米軍が、そこから飛び立つのだ。そんな米軍の後方支援を日本が行うということは、まさに日米一体となった戦争行為そのものということになる。これでは、世界の誰もが、日本は米国の植民地だと思うのではないか。たとえ、自衛隊が海外で武力行使をしなくても、日本が平和国家と主張することは、もはや通用しなくなる。

日本が米国と一体となって、軍事国家にまっしぐらに進むことを、日米の共通認識としたに等しいこの最終合意に、私たち国民は同意することはできない。与党であっても、納得できない議員は多いはずだ。政府が提出する「米軍再編推進法」を、絶対に成立させてはならない。21世紀の日本にとってあまりにも重大なこの問題を、国会の審議もなしに勝手に合意してしまった小泉内閣の暴走を、なんとしても止めなければならない。「アメポチ」に徹して、日本と日本国民を米国に売り渡す小泉内閣総理大臣の責任は、東条英機内閣総理大臣に匹敵するほど深刻で重大なのではないか。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

福田政権の方がマシ 5月1日

ジョンズ・ホプキンズ大学ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長は、「戦争を正当化することは、日本と戦った米国の歴史観と対立する。異なった歴史解釈のうえに安定した同盟は築けない。」と明言した。カルダー氏は、多くの米国人が、靖国問題を知ると、日米関係の障害になりかねないと言う。

東京裁判を受け入れ戦争責任を認めながら、A戦犯を合祀する靖国神社に、現職の内閣総理大臣が参拝するということは、米国の目から見ても論理的にありえない話なのだ。そのことを知っていながら、あるいはただ無神経なだけなのか、平然と靖国に参拝する小泉総理の思考が、世界の人々には、理解できないのだ。

真言宗の教えに、「隣人を愛する美しい人々の国となる時、国土は浄化し、愛国心はおのずから醸成されるのではないか。」とあるそうだ。小泉総理は、とにかく、自分の勝手な思い込みばかりに固執して、理性を完全に失ってしまっている。米国の識者らが懸念するのは、首相の参拝が結果的に、戦後日本の出発点に真っ向から反することにならざるを得ないのではないかということだ。

カルダー氏は、「隣国と対話できない日本は、米国にとっても役に立たない。日米同盟が機能するのは、日本がアジアのなかで役割を果たしてこそだ。」と解説する。もっともだ。米国にここまで言われても、尚、小泉総理はわからないのかもしれない。私たちは大変な人を、総理大臣にしてしまっているのだ。

世界の世論を無視して、小泉総理が靖国参拝にこだわり続けるのなら、国際社会の一員としての日本のアイデンティティは確立されない。いつまでたっても、日本はひとりよがりの独善的な国ということになる。アメリカに説教されるようになってしまっては、日本も終わりだ。

最近になってやっと福田元官房長官が、次期政権への意欲を示しはじめたようだ。彼は、父である福田元総理の、対東南アジア外交の福田ドクトリンの21世紀版を、政権構想の柱にしていくようだ。

福田ドクトリンとは、1977年8月、福田赳夫首相(当時)が東南アジア歴訪のしめくくりとして、マニラで表明した東南アジア外交3原則だ。
1. 軍事大国とならず東南アジアひいては世界の平和と繁栄に貢献
2. 心と心の触れあう信頼関係の構築
3. ASEANの連帯と強靱性強化に協力し、インドシナ諸国との相互理解の醸成により東南アジア全域の平和と繁栄に寄与
とある。

何よりも、「心と心の触れあう信頼関係の構築」こそ、5年間の小泉政治に最も欠けているものだ。民主党政権ができるまでの間、小泉亜流の安倍政権より福田政権の方が、日本にとって、アジアにとって、そして世界にとって、はるかにベターだと、私は思う。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ヒラリー・クリントン 4月30日

サミット前の小泉総理の訪米のお土産が、米国産牛肉の輸入再々開決定になりそうだ。ブッシュ大統領は、横田めぐみさんなど拉致被害者の救出支援と引き換えに、米軍再編費用3兆円と牛肉の輸入再々開とをセットで小泉総理に強く求めてくるに違いないからだ。小泉総理が、ブッシュ大統領の要求にコロリといっちゃうことは目に見えている。横田早紀江さんの連邦議会公聴会での証言は、テレビを通してでも痛いほど胸に突き刺さる思いのこもったものだった。人権問題として、米国が拉致問題に協力することは無条件に当然のことだ。

全米食肉業界の代表が幹部にひしめき合う米国農務省は、今後、BSE検査をこれまでの1/10に縮小することを決定した。2004年6月以降約4,200万頭のうち70万頭を検査して、BSE感染牛は2頭に過ぎず、「米国が極めて健全な飼育環境であるかが証明された」とまで言い放つ始末。しかし、この発言が、いかにでたらめであるかは火を見るよりも明らかだ。

4月28日には、香港に次ぎ台湾でも、米国産輸入牛肉から背骨が見つかった。何度言ったところで、米国には、日本が要求するような適切なBSE対策をやる気はないのだ。そもそも米国は、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者を多数出した競馬場のレストランを、競馬場ごと解体し抹消して完全に証拠を隠蔽してしまうような国なのだ。所得の高い消費者には、オーガニックミートが提供されるが、所得の低い庶民には、BSEリスクの高いローコストの肉しか提供されない。米国は、日本以上にダブルスタンダードだ。

今年は、米国は中間選挙の年だ。にわかに、2年後の大統領選挙に向けて、有力候補の名が挙がり始めた。世論調査でもダントツの人気を誇るのは、女性初の大統領を目指すヒラリー・クリントンだ。事実上、所得の高い人しか享受できない米国の医療制度を、根本から立て直し、低所得者でも必要な医療を受けられるように国民皆保険制度の導入に全身全霊をかけるヒラリーは、低所得者層のいわばジャンヌダルクだ。この先も、ヒラリー・クリントンなくして、米国の医療制度の改革は不可能だ。

弁護士でもあるヒラリーは、光と陰に二極化する歪んだ社会の是正に努めるはずだ。消費者の食の安全に配慮し、BSEによる被害者をこれ以上出さないために、徹底した飼料規制を行い日本並みの全頭検査の実施と正確なSRMの除去を実現し得る可能性の、最も高い大統領候補ではないかと思う。ビル・クリントンの最大の支持母体は、タイソンなどのパッカーだ。しかし、それと消費者の食の安全とは別次元であると割り切れる聡明さが、ヒラリーにはあると信じたい。米国の食肉加工工場で働く多くの人々は、ヒスパニックだ。ヒスパニックにとって、医療の皆保険制度は待ち望んでいたものに違いない。

ポスト小泉には、米国と対等の立場で話のできる人物が望ましい。小沢民主党代表ならば、それができると思う。生命を危険にさらすBSEの感染リスクを、徹底的に排除する努力を、この先も日本は米国に強く要求し続けなければならない。ヒラリーが大統領になったなら、世界の公衆衛生の模範となり、持続可能な地球であるために京都議定書も批准して、大国にふさわしいリーダーシップを発揮するよう、強く願わずにはいられない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
   次ページ »