響けブログ

音楽コドモから「音楽コドナ」へちょっと進化。ドラムとバイオリンと小鼓を弾く、ヒビキの音楽遍歴。

ほぼ日の音楽コンテンツ。これはうれしい!

2010-05-13 | 邦楽(伝統芸能)


私は高校の時、よく寄席や落語の独演会へ行っていたので、とても馴染みがある「出囃子」。出囃子というのは、つまり噺家さんが「出やすいように」演奏される、噺家さんのテーマソングなのであります。が、ミッキーとミニーというようにリミテッドなキャラではなくて、何々師匠といえば何々というふうに、「師匠の数だけ曲がある」うえに、その人の加齢、体調なんかが加わって、その場の呼吸で……なんてのは、寄席へ行けばわかります。

そんな出囃子の世界を──これは歌舞伎の黒御簾の裏とはまた違う世界なのだ──垣間見せてくれるのが、このコンテンツ!

出囃子を弾きたい。
http://www.1101.com/debayashi/2010-05-06.html


この先生のおけいさんが素晴らしく、長唄に入門したくなってしまいます。
また邦楽って、楽器の人もぜったい「合いの手」みたいなかけ声を気軽に入れるんだよね。「はあ」とか「いよ~っ」とか、気軽に言う。あれが、ま、すてきなんですよ。10年や20年では真似のできない奥深さであります。

またおけいさんのせりふにある養成の制度は、現在もあります。以前当響けブログでも紹介したよーな(たとえば「大学から狂言の道へ進んだ場合。」。←のコンテンツからリンクのある国立劇場のホームページでご確認を)。しかも養成後、実際の舞台で活躍している比率が最も高いのが、この寄席の出囃子の演奏者であります。歌舞伎役者さんとか、狂言役者さんとかは、なかなか世襲の人に押されて残れない状況の中、演芸の演奏者は、かなりの割合(なんと88%)を養成制度出身者が占めているのです。


というわけで、このコンテンツ、おけいさんのせりふの中には音楽と演奏のエッセンスがてんこもりであります。たとえば──

「楽器は胴で選ぶ」

なんぞは、ほんとにどんな楽器にも通じる話。ヒビキも1、2歳のころ、フォークギターの「穴」を指さして「すぴーか」と言ったのだったが、そんなことも思い出した。

一方、寄席へ行ったり、私の場合は関西へ行ったりすると、自分にとっての日本語の便利さのようなものを再発見というか実感することが多いのだが、この「胴」という表現もまさにそれ。「日本語は具体表現」と言われるが、そう言われたからってとかく「腑に落ちない」のが、楽器は「胴」などと言われると、じーんと来てしまう。

このセンスは、Hitomi先生の「たいやき理論」(東京の小学生/2010-04-08)で、胴には「餡(中身)」があるというのにも通じます。

なぜ私はドミソの和音と、その属音・下属音の和音をよく混同するのか?

2010-05-13 | ピアノ


中田 喜直著『実用和声学―旋律に美しい和音をつけるために(音楽之友社)』をテキストに、今日は、主要三和音というハ長調(C-dur)の音階表のはなし。第一章 主要三和音から。

さて、ポピュラー音楽を聴きながら和音を考えるときに、私の場合、弾いているうちに、本来ある音階のファ(下属音)とソ(属音)のそれぞれの三和音を「ド」のように思い始めてしまう……ということがよくあった。

ストーンズではないが(なんの話かはこちらをご参照ください)、このファ・ラ・ドという下属音の和音と、ソ・シ・レという属音の和音というのは、要するに、「れっきとしている」のである。

つまりそこから、また新しい音階を始めればいいじゃん、という感じがしてしまうのである。

そして、その響きにつられて、アタマの中でいつしか、主音であるドを、勝手にファやソへ移して(転じて)しまう。

そういうことを長く感じていながら、しかも主要三和音というハ長調(C-dur)の音階表なんか何度も見ていて諳んじていながら、どうしてこういう当たり前のことに気がつかなかったのだろうというのが、これ↓

音階の持つ和音のなかで、四度(ファ)、五度(ソ)の三和音だけが、主音の三和音と同じ「長和音(ルート+長三度+完全五度)」。

そうなのだ、だから──つまり考えようによっては──確かにそこから新しい音階を始めてもよかったのだよ。

このことは第九章の「転調」で、どんな転調が自然かという話ともつながってくるので、覚えておきましょう。

というわけで、まず覚えておくべきことは
主音(ド)、四度(ファ)、五度(ソ)の三和音は特別な和音
ってこと。

いわずもがな、これらをトニック、サブドミナント、ドミナントなどと言い直してやると、ジャズうさぎ(夫のことです。夫のブログはこちら)なんかはすぐ「うん、うん」言うから、たがやす畑もそれぞれというわけであります。

実用和声学―旋律に美しい和音をつけるために
中田 喜直
音楽之友社

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この本では、シンプルで文字数の少ない文章の合間に、「はっ」「はたっ」と気づくような記譜がされている。実に啓発的な、そしてイマジネーティブな教科書なのであります。このブログ記事連載はそのような「教科書」をたとえばこんなふうに味わいつくしてみました、という記録であります。