響けブログ

音楽コドモから「音楽コドナ」へちょっと進化。ドラムとバイオリンと小鼓を弾く、ヒビキの音楽遍歴。

能楽の太鼓は、仙波さんグリップだった

2007-08-14 | 邦楽(伝統芸能)
さて、先日突如体験できることになったお能の世界……。教えてくれる4人は全員俳優さんで、楽器というパートの専門ではないけれども、どの楽器も一通り教えることができる(もちろん演奏もできる)ということで、まずは四人囃子の演奏を、初めて、しかも間近に聴いた。演奏につづいて、それぞれの楽器について解説があり、これを踏まえて、緋毛氈の上へ移動して、いよいよ楽器の体験に突入。

まず笛は、一本一本ピッチが異なり、しかも孔が空いているけれどもその感覚が必ずしも音階のようになっているわけではない、とのこと。吹いてみると、横笛なのでフルートみたいな感じだが、音が出た途端に、なぜか指が全部しびれてしまった。稽古で真剣になりすぎて、頭がくらくらしてしまうこともありますよ、とおっしゃっていたが、確かにその音には空気を切り裂くようなすごみがあり、そんな音を出したという反作用というか逆照射というかは避けられまいという感じ。ヒビキは一発で音を出していたが、稽古といえばまず正座からしてできてなくて、次の大鼓へ。

大鼓は火鉢で始終乾燥させておかなければよい音が出ない楽器であるとのことで、その日は練習用の大鼓であったので、形ばかりだが、かけ声のかけかたとか叩く勢いなどを一緒に練習するのであった。ヨオ~、ハァー、といった調子が、ヒビキは笑っちゃうらしくて、やや照れ気味。


続いては小鼓に挑戦!! これなら仙波さんの『駄楽器講座』でも見たぞ、と見よう見まねでまず親バカ母が挑戦したところ、まず右肩へかついで、左手で持ち、右手で叩くというのが、「よくおひな様を飾る時にも間違っている」のだそう。確かに。でもって楽器の位置が体の前にあって正面を向いているので、叩く打面が見えないのが、余計に叩きにくい。叩くとなったら、こまこま調整しないで一気に叩くので、それでずばっと、それほど広くはない面積へ当てる(しかも見えない)のは、信じがたい。ヒビキは指の力が抜けていて、やわらかくてよい「おかあさんよりずっと音が抜けている」と褒められていた。


この体験中にふとヒビキ「太鼓を最後にやる」ともらしていて、実は一番やってみたかったのがこの太鼓らしい。いよいよ太鼓となると、気合いもいっぱいで、ヨオ~、ハッ、というかけ声にも挑戦していた。これはですね、たとえば譜面に書こうとすると難しいのだが、聴けばああ、聴いたことがある、とうっかり思ってしまう、お正月みたいとかですね、そういうわれわれがどこかで知っているノリ、大脳の古い皮質に由来するのか、どこかで十分わかっているものが現実化したもの、という感じの音色と節回しである。

それと驚いたことに、バチは野太くて、仙波さんが村上ポンタ秀一さんを大いに驚かせたあのグリップが基本なのだそうだ。つまり、親指と人差し指でバチを握り、あとの指はゆらゆらと軽く当てるのである。

ヒビキ、謡いと一緒にアンサンブルさせてもらってごきげんに太鼓を叩く。おまけに弾ませずに押しつける奏法(とことこ歩くような音になる)で、右ひとつ、左二つ打ち(気味)になるやつにも挑戦。──というわけで、大鼓以外は全部本物を使って、おひな様みたいなお囃子を体験したのであった。そしてまだまだ、終わりじゃないんですよ、このあとプログラムは演技指導へと進んでいったのである──。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿