中田 喜直著『実用和声学―旋律に美しい和音をつけるために(音楽之友社)』
をテキストに、今日は、主要三和音というハ長調(C-dur)の音階表のはなし。第一章 主要三和音から。
さて、ポピュラー音楽を聴きながら和音を考えるときに、私の場合、弾いているうちに、本来ある音階のファ(下属音)とソ(属音)のそれぞれの三和音を「ド」のように思い始めてしまう……ということがよくあった。
ストーンズではないが(なんの話かは
こちらをご参照ください)、このファ・ラ・ドという下属音の和音と、ソ・シ・レという属音の和音というのは、要するに、「れっきとしている」のである。
つまりそこから、また新しい音階を始めればいいじゃん、という感じがしてしまうのである。
そして、その響きにつられて、アタマの中でいつしか、主音であるドを、勝手にファやソへ移して(転じて)しまう。
そういうことを長く感じていながら、しかも主要三和音というハ長調(C-dur)の音階表なんか何度も見ていて諳んじていながら、どうしてこういう当たり前のことに気がつかなかったのだろうというのが、これ↓
音階の持つ和音のなかで、四度(ファ)、五度(ソ)の三和音だけが、主音の三和音と同じ「長和音(ルート+長三度+完全五度)」。
そうなのだ、だから──つまり考えようによっては──確かにそこから新しい音階を始めてもよかったのだよ。
このことは第九章の「転調」で、どんな転調が自然かという話ともつながってくるので、覚えておきましょう。
というわけで、まず覚えておくべきことは
主音(ド)、四度(ファ)、五度(ソ)の三和音は特別な和音
ってこと。
いわずもがな、これらを
トニック、サブドミナント、ドミナントなどと言い直してやると、ジャズうさぎ(夫のことです。
夫のブログはこちら)なんかはすぐ「うん、うん」言うから、たがやす畑もそれぞれというわけであります。
この本では、シンプルで文字数の少ない文章の合間に、「はっ」「はたっ」と気づくような記譜がされている。実に啓発的な、そしてイマジネーティブな教科書なのであります。このブログ記事連載はそのような「教科書」をたとえばこんなふうに味わいつくしてみました、という記録であります。