故人からのメッセージです
僕は高校二年生になった春、
交通事故で肉体から魂が離れてしまいました
2019年4月の事です
僕はそれからずっと魂だけの状態で、日常の様子を見ていました
自分の葬儀、怒りで苦しむ両親、それからだんだんと虚無感で項垂れていく両親
そんな二人を見ているのは非常に哀しく、離れることが出来なかった
それでも、このままという訳にはもいくまいと思える様になれました
この手紙で想いを伝え、一つの区切りをつけようと思います。
山口県に住む両親へ
一年が漸く過ぎた
長がったような、いつのまにか時間だけが過ぎ去ったような
二人には無理やり日常に戻る努力をしてきた一年だった
高校の後をどうするのか考えてと言われていた矢先の出来事
特別出来が良くは無かった、それでも就職して一人立ちすることが
親孝行なんだろうなと思っていた
何か特別に秀でたわけではないけれど、出来る事はいくつかあった
手に職をつけようとも考えていた
こんなこと今言えば泣かせてしまうだけと分かっているけれど
安心させれる職に就くことが、僕の目標でもあった
クラブの仲間と、二十歳過ぎたら居酒屋行ってカラオケ行って騒ごうや
なんて話してもいた
父さんと酌み交わしてもみたかったな
照れくさくて、母の日とかに感謝を伝えてみたことがあんまなかった
数年分前からの分と今の分と、これから先の未来分と
全部ひっくるめて・・ ありがとうと
産んでくれて ありがとう
父さんと力合わせ、育ててくれて ありがとう
高校の卒業式、クラブの仲間、成人式、そんな場面では
思い出してより哀しくなるだろうが、こう思って欲しい
息子も見えないだけで、卒業式に参加しているんだ
クラブの仲間が笑いあっている声を聞いて、楽しそうだ
成人式では成長していく友達を嬉しそうに眺めてる
ちょっと上から目線で眺めてる、人生の先輩になったからね
人生の先輩になったんだ、息子は同級生よりも二足早く
成長し生きたんだと思って欲しい
別れの言葉がなかなか出てこない
でも言わなければ
手紙は終わるけど、縁も情も終わりはしない
健やかでいてほしい
父さんは、無理し過ぎない事
母さんは、泣き過ぎない事
そしていつか僕の生きてきた証を心の片隅で受け止め
今が、これまでの生きた甲斐であると想って欲しい
早逝した息子の、幸を願う別れの言葉です
お別れです さようなら。
2020年5月記
☆お読み下さった方へ
このマーク内の紫文字は故人からのメッセージです