ある女の、コール&レスポンス?

日々、心の琴線にふれること、そして、それについて書きつける。音楽のように言えたらええのだけど…

そういや、去年はこんなGWだった。

2018-05-14 | よもやま話

下書きを整理していると2018年GWに高松に入った話が出てきた。ほぼ一年たつと妙に興味深くて再録。

4月29日から5月13日

時給仕事の私は、この期間代わりに仕事をすることが何回かあって、

…ゴールデンウィークのゴールドとはなにかい。お金の事かいな。そういやゴールドラッシュという言葉もあったね。などと思いながら働き、

それでも、ちょっとうきうきした気分が治まらないので、4月30日に四国再発見早得きっぷで宇多津~高松~児島に行ってきた。

宇多津に向かう列車で「日本は馬鹿だから戦争に負けた」…カドカワの歴史とラノベがはびこるまでのいきさつ…「大人のお作法」…たしなみのある言動は付け焼刃では無理…を読む。両方ともタイトルと中身が一致しないけれど、思いがけずなかなかいい本。

宇多津で午前十時の映画祭「シェーン」を観る。初めて行く映画館なので前に座りすぎ、ちょっと首がだるくなりながらいやあ、想像していたのとは全然違ってた!観てよかった!と言いきるにはちょっと哀切を覚える…と思いながらふらふらとちかくの宇多津餃子というお店に入って、もうひとつで、名物ぶったものを食べるのはやめとこう。と教訓を得る。

ゴールドタワーに向かう。板みたいに見えるときがあるけれど、実際どんな形なんだろう。と思いながら近づく。昔オルゴールを見せてくれていたらしいお店がすぐ使えそうなのに閉店されててちょっと悲しい…と思っているうちに到着。子供連れのご家族を中心に楽しく過ごせる施設があって、その上が展望台になっているのね。黄色く彩色されたガラス張りのがらんどうの中をエレベーターで上がると展望台に着く。純金のスリッパは片付けました。などと言う張り紙にちょっとバブル時代の名残があるなあ(笑)と思いながら、布を引いたように穏やかな瀬戸内海と瀬戸大橋にほれぼれする。列車が橋に向かうルートがわかってうれしい。降りるときに放送から四国をイメージした平行四辺形の塔ということを知る。

次に予定では昼食に児島に行って、”生き延びてたんだね!”バーガードムドムのハンバーガーを食べるつもりだったけれど、ギョーザでお腹がおきているし、夕方瀬戸大橋を渡るほうが気分がよさそう。と高松に行くことに変更。

高松へ向かう列車の中吊広告でイサム・ノグチの展覧会があるらしい。緑の窓口で前売りがあるのね。行こう。と決める。

駅前広場に出ると、自転車に座席を付けたベロタクシーというものを見かけて、県美術館まで連れて行ってもらう。1キロ500円。 

珍しいものなので、通行人がやたらと見てきて、わたしゃセレブが市中引き回しかという気が少ししつつ手を振ったり笑い返してみたり、車道をとろとろ走るのでごめんなさいね~と気が引けながらも、そよ風を受けながらあちこち見回せるのが気分よく、県美術館から、栗林公園までもお願いする。2キロ追加 1000円。

イサム・ノグチの作品はよくわからなかった。ブロンズで出来ていてもウレタンのような柔らかさを感じるのが不思議だったことと、巻貝のような円形の滑り台で降りたらすぐ昇れるようになっている作品を見て、これ、私が現役の子供だったら延々滑りそうなわね、いまでも、ちょっと滑ってみたい気がするわ。と思ったこと。が印象に残っている。もうちょっと時間がとれたら違ったのかも知れないけど…

そうして、再びベロタクシーで栗林公園まで、なじみのある道から一本入った下町の風情が残る道を通ってくれる。ここのコロッケがおいしいと運転手さんが教えてくれるも休業日でがっかり。

栗林公園、新緑の頃に来れてよかった。名前はそっけないくせに大庭園というのが非常によろしい…って多分昔※※園という名前があったのだろうね。と五回目くらいにして初めて思い至る。元は何園という名前だったのだろうね。

外国の人が多く、売店も見た目が楽しい炭焼き団子を売っていた。のどが渇いていたので、香川のお嫁入り菓子「おいり」のトッピングされたソフトクリームを食べる あられかと思っていたけれど、もっとずっと上品な麩菓子に近いすっととける口当たりで、これだけで食べたい気がする。鳩が近くに来たのでやってみる。これは無視しながら、まだ近づいてくるのでコーンをやると食べる。また近づく、落とす、食べる。を何回か繰り返すけれど、おいりはずっと無視、ぜいたくもの。

公園前のふきあげうどんでしっぽくうどんを食べる。箸置きがやたらとリアルな蟹で思わず、ひゃっと声が出てしまう。店員さんが嫌いなのかなと気を遣ってくれたけど、いやすごいリアルだから驚いて。というと、竹と枝で造った虫も見せてくれる。これはもっと、どうしてそこまでと考え込んでしまうくらいリアル。按配のいい枝を探すのが一苦労らしい。いろんな人がおるね。こういうお店の本棚はおもしろくて、大島弓子の漫画だなつかし~。手塚治虫が松本清張と横溝正史の世界を描いてみたような作品「奇子」が全巻置いてあって、この場にはふさわしくないような。などと楽しんだ。

そうして、公園近くの松本書店で、もう、これでイサム・ノグチとはごっちゃにならんだろうとカズオ・イシグロの「日の名残り」を買う。

店の前でツバメが営巣しているので、店のおかみさんとあれは代々くるんだろうか?わからんねえ?と話す。二つあって、両方とも入居してます。と言っていたのがユーモラスだった。

アーケードに向かう道からアーケードへ、何度も来ているけれどこの商店街は全体がどうなっているかいまだにもうひとつわかっていない。

その迷路じみたところと、いろいろな人のためのお店がいい感じに混在しているのが大好き。

本屋の冷やかしと、海産物屋で傷のりと…中、高の弁当のレギュラーであのころはあんまりだったけど今は好き…しょうゆまめを買って、母が好きな瓦せんべいを買いにくつわ堂へ。最寄りの駅でも買えるけど、となにかの拍子に話すと、あれは違う店ですよ。と言われる。ショック。試食をすると確かに味が違う。こっちのがおいしい。お取り寄せもできますと伺って帰る。

アーケードの端にある本屋で「年寄りの取り扱い説明書」と言う本を買って駅への道を確認して駅へ

サンポートを見て丸亀町と言いトラス構造から少し離れようか?と思う。

瀬戸大橋線は乗るだけで無条件にワクワクする。いまだに最先端と思ってしまい…おいおい何十年経っているんだい。と我ながらあきれることまで恒例になっている。満月で橋、月と舟、橋、月と舟とかわるがわる出てくる様子を飽きず眺め、陸に上がるときに音が変わるのを楽しみ、あ、そういや瀬戸大橋の特集でトラス構造と言うのを聞いたんだと思い出したところで児島に着いた。ドムドムまで思ったより遠いのであきらめて、うちのそばでは見かけないかっぱ寿司で夕食にして、とんぼがえりをした。

帰途で「日の名残り」をどっぷりと読む。英国の執事さんの話ね。ドラマ「ダウントン・アビー」観ててよかった。なんとなくイメージができる。とまず思う。最初はこんな執事をもった主人はどれだけ幸せだろう。従者の鑑じゃわね。と感心しきりで読んでいるうちに、なんだかじわりじわりと不穏な雰囲気が出てきて、ふと考え込んで途中で何度かぼんやりしながら、仕事に徹することと、大事に思ってくれている人にあの時どうしたらよかったのかなあ、世の中の情勢にどう関わればよいものか…立派な人に丸投げしてしまいたいと私も思うときがあるけれど…などと片付かない気持ちになりながら、最寄り駅までに読み終えた。よい本だった。…ココアが飲みたくなった。

読み返したらまた行きたくなってきた。今年の4月終わりにも行こうかしらん。