考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

相剋

2007-05-05 01:14:39 | 徒然なるままに

今朝の日経新聞によると、高校野球の特待制度の申告校は376校、適用部員は7971人だったのだとか。
社会面(26面)には申告校の一覧が掲載されていました。地元と言えば正確には今は東京なんでしょうけど、やはり最初に目が行くのは故郷の島根ですね。全部で6校。これが多いのか?少ないのか???
全体に目を通すと、1校を除いて私立だったと言うこともあるのか、古豪と言うより新興の強豪校が目に付きますね。実績や指導者で有力選手を呼べない(呼びにくい)学校は他より優遇する「制度」で呼ぶしかないと言うのが実態でしょう。

この「特待」という制度での競争を排除するとどうなるか?

名の知れた指導者の獲得競争、もしくは「裏」にお金が流れることでしょう。
特待制度でブローカーが動くと高野連は考えているようですけど、オープンにした制度だけでブローカーが暗躍することはあり得ません。オープンにした制度の裏に、影の報酬制度があるからブローカーは動くわけですから。(ボランティアで選手を学校につなぐ人を「ブローカー」とは呼ばないですよね。)

先日(5/2)の記事にfallさんからタイミング良くコメントが入ったもので、高校野球問題を再度、考えたくなってしまいました。
fallさんは「「高野連」という団体の意義自体に疑問を感じています」と言うことでしたけど、ボクも同意見ですし、また今回の一件でどれだけ「高野連」という団体が無責任なのか、あらためて感じています。

それにしても、今回の高校と選手を一方的に悪者にした高野連のやり方は酷いですね。
まるで「お金をかけて雇った見張り役(口聞き役)」が一転して、「告発側」に回るという一昔前の映画にあるようなストーリーです。一般的には、私立学校の半数が導入するまで放っておいたという事は、すでに黙認していると考えても良い状況でしょう。仮に「良くなかった」のであれば、自らの責任を明らかにしてから管下の学校の責任を問うのが管理責任であって、これが教育だと思います。また、万が一、この実態を本当に知らなかったのだとしたら、これこそ最悪の事態で、自らの機関としての存在意義がすでにないことの証明であって、厳しいことをいいますが、団体自体の解散が適当でしょう。

高野連は高校野球と言うビジネス(あえてビジネスと断言させてもらいます。)が成り立っている仕組みをもっと理解したほうが良いと思います。
決して自分たちの団体の管理が行き届いているから上手くいっているわけではない。そして、アマチュアイズムが受け入れられて入るからでもない。
そこには、多くの選手や指導者の滅私奉公と言っても良いくらいの貢献があり、一方では学校経営と言うビジネスが絡んでいますけど、学校側の高校野球に対する特別待遇(今回、問題となっている「特待」という狭い意味ではなく、もっと広い意味です。)があり・・・そんな中で支えられている。特に、公立学校の指導者はおそらく教員としての給与のみで、ほとんど休日のないボランティアの毎日を送っているのが実態でしょう。
彼らを踏み台することで、高校野球は成り立っていると言っても過言ではないとボクは思っています。

高校野球とプロ野球の違いは・・・
選手であることを理由として報酬がないこと、収益を関係者全体(フロントだけでなく選手やコーチ、裏方さんまで)で分配する仕組みがないこと、大きく言えばこの点でしょう。
高校野球で言えば高野連、プロ野球で言えば球団が野球から得られる収益で支えられ、その機関に勤める人はその収益で生計を立てる、この事態は高校野球もプロ野球と何も変わることはない、とボクは思います。(つまりアマチュアイズムの総本山である高野連はすでにアマチュアではない。)
ついでに言えば、ボクが高校野球の関係者であれば、高野連の収支の開示、そして収益の公平な分配を求めますね。

高野連が本当にアマチュアイズムを取り戻したいのであれば・・・
「野球だけを特別待遇にしない」ように選手や学校だけでなく、自らの運営、そして報道にも求めるべきですね。
選手に「野球だけになってはいけない」と言う高野連のやり方自体が、インターハイと切り離して野球大会を開くなど、そもそも野球だけ特別視しているわけですから、「野球だけ特別」にしているのは自分たちだと認識したほうが良いと思います。
まずは甲子園をやめて、インターハイに一本化する。そして、野球放送だけ特別に流すことを拒否する。
そんな野球の高校スポーツとしての正常化がアマチュアイズムを取り戻すための最高の方法だとボクは思いますね。

今回の裏金問題を発端とした高校野球問題・・・
学校や選手を処分して済むような、そんな簡単な話ではないと思います。

まず高野連が自らの立ち位置を理解し、高校野球が本当にあるべき姿はどんなものなのかを熟考する、
今だからこそ、そんな時間をかけた議論が必要なのだと思います。

「特待」を糺せば、すべてが解決する・・・
そんな空想は早くやめて、本当にあるべき姿を真剣に考えてください。

みなさん、ハローです。ホディです。

連休真っ只中。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
ボクは遠出することもなく、近場で過ごしています。
ちなみに今日は妻の実家まで車で行きましたけど、高速道路は「真っ只中」のためか?それほど込んでなく、スイスイととまではいかないですけど、思ったよりスムーズに移動できました。

そんな中、思ったのが「ETC」の不便さ。
ボクは年間千キロも乗らないであろうドライバーですし、まだカーナビすら搭載していない車なので、ETCは搭載していないんですけど・・・
料金所で、「一般」の緑のゲートをスイスイと通過するボクの車の脇で、「ETC」の紫のゲートの前で渋滞している車の列を横目で見ていました。こんなことになったりするんですね。
理由のひとつとしては、ETC専用の一つのゲートで何かトラブルがあったようで、先頭の車のところで係りの人があたふたとしていました。何分かかったか分かりませんけど、この間、確か二ヶ所しかない(?)ETC用のゲートが一ヶ所になる(つまり半減してしまいます)んでしょうね。こうなると、機械は弱いですよね。

機械が正常に動くことが前提となった社会。
またエレベータの問題がニュースの材料となっているようですけど、「ヒトの思い通りにいかないこと」を誰かが悪いと誰かに罪を押し付けないといけないかのような社会・・・
誰かに罪を押し付けているうちに、いつの間にか自分たちに罰が返ってくるのではないか?
何となく、そんな気がしています。

今、熊谷達也さんの『相剋の森』という本を読んでいる途中なんですが、物事を考えるときに一方的に何かを糺すことで、すべてが解決するなんてないよな、と改めて感じつつ読み進めています。本の内容は自然保護へのボクらの視点に新たな方向を加えてくれるようなそんな話です。「愛護」だけが自然を守るわけではない、そんなことを考えさせられています。(この本は熊谷さんのマタギ三部作の一作目のようなので、まだ途中のくせに残り二作も近いうちに読みたいと思っています。)
残り少ないGWですけど、相剋したい(日本語として変ですか?)人は「相剋の森」、読んでみてはいかがでしょう?

相剋の森

集英社

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2 コメント

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未来志向 (fall)
2007-05-06 09:45:54
スポーツマンシップって「武士道精神」とか「惻隠の情」という日本人の美徳に通ずるものなのだと思っているんですけど、今回の高野連の対応にこう言った精神が微塵も感じられないのは残念なことですね。
繰り返しになりますが、やっぱり高野連の存在に意義を見出すことはできません。
また、朝日新聞や毎日新聞、NHKのスポンサーシップのあり方も今回の一件を機に根本から見直す時機にあるのかと思っています。
高校野球だけにまわっている収益をインターハイの運営にまわし、インターハイが高校生のオリンピックとして、本物のオリンピック並みに盛り上がるようになれば素晴らしいことですよね。甲子園も野球の会場として使えばいい訳ですし、文化や伝統が途絶えることもないでしょうし・・。
未来志向で新しい高校スポーツのあり方を考えて欲しいものです。教育基本法の改正も結構ですが、こういう利権に巣食う大人たちをどう整理するかも忘れて欲しくありません。(ねっ、文部科学省さん!)

BTW.
GWは中学校の同窓会に参加したり、映画を見たり、後輩を引き連れてゴルフに行ったり、私も近場で過ごしました。高速道路の混雑も覚悟してたのですが、身動きもつかないほどの渋滞には遭いませんでした。ETCは便利ですけど、費用対効果を考えると、ある程度マメに車を使う人でないとペイできませんよね!?ってな訳で私もノーナビ、ノーETCです。

GWも今日で終わり。少しブルーです。
「相克の森」、今度書店で探してみますね!
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re:未来志向 (hoddy)
2007-05-06 21:26:38
fallさん、コメントありがとうございます。
充実のGWだったようですね。

ホント、高野連のいかにも「高校生のため」という茶番劇にはうんざりですね。ボクには、すべては自分たちのビジネスのためとしか思えない・・・
マスコミも自分たちの食い扶持は手放したくないでしょうから、いかにも追求が鈍いんですよね。。。
これからしばらくは「ジェットコースターの安全性の問題」一色になるんでしょうし。そのまま今回の特待問題は消えていくのでしょうかね。

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