あまりにも込み入ってだけど在りようとしては単純
礫塊に埋もれて漆黒の眠り、だけど極彩色の夢を見てた、かろうじて確保された呼吸、無自覚な日々よりもずっと尊いものを教えてくれた、百鬼夜行は毎晩決まった時間に、ままならぬ俺の鼻先をかす...
詩岩
音楽や言語の旋律によって意識が肉体から引き剝がされんとする瞬間、乖離の中に痛みや苦しみ...
どうせすべては塵になるから
人生の中でもしも、人が人でなくなる瞬間があるとすれば、俺が腰を下ろすのはそこに決まって...
Hostage
酷い火傷の様な深く疼く痛み、その痛みの上に無数の言葉をばら撒いて膿を解いた、あちこちで蠢く蛆虫の様な思念が、敵なのか味方なのか判別出来なかった、俺もまたそんな、薄気味の悪い境界線の...
時間に色は無い
蝙蝠どもがイラつきながら宵闇を殴打する頃、俺は早い睡魔の中で人を殺める幻を見ていた、時間は輪転機を思わせる忙しなさで過ぎ、なぜか無性にカップベンダー自販機のブラックコーヒーが飲みた...
失くしたナイフ
音も無く過ぎ去ったものたちが語らなかったものを洗いざらいぶちまけていく明け方の夢、目覚めた時ベッドのヘッドに食い込んでいたサバイバルナイフ、それは俺のお気に入りのものだったがそれが...
炎が喚く
漂白された死の概念が脳髄に内訳を差し込む頃、路面電車のリズムに悲鳴が混じっている気がし...
frantic
朦朧とした午後には腐乱死体の夢を見て、俺の指先はとめどない記憶の中で踊る、安物の名前ば...
年月など関係ない、人もモノもただそこに存在しているだけなのさ
名も知らぬ魚が、水面で跳ねる夢を見た明け方、天気は雪が降るかもしれないと、あくまで可能性の話、思考のどこかにセロファンが挟まれているような、澱んだ水のような目覚め、その時俺の脳裏に...
いつかも歩いたその道を
古い、小石をモザイクタイルのように散りばめたセメントの路面で、五百円硬貨程度の大きさの蝸牛が踏み潰されている、パン粉みたいに砕けた殻と、透明な血を滲ませた肌色の―ぐしゃぐしゃになっ...