俺が夢を見てたとき、お前はどこに居たんだい
俺が歪んだ悲鳴に包まれたとき、お前は何処で何をしていたんだい?
俺がどん底の湿った砂を舐めるような気持ちで心のひとつを握り潰したとき
お前はどんな素敵な匂いを嗅いでいたんだい?
俺が闇雲な雪に包まれた樹氷のように冷たい外気に凍えていたときに
お前はどんな温もりの中で我を忘れていたんだろう?
混沌と呼ぶほどにも激しくは思えないそれは、溶かしながら喰らう蟲のようにゆっくりと蝕んでくる、おお、俺の臓物が色を変えてゆくのが見えるよ、空気に犯されながらぼんやりとくすんでいくのが
信じたものなんか無いさ、愛したものなんか無いさ、哀しいと思ったことなんか無いさ
錯覚だと叫ばなければここまで生きてはこれなかった
すべては撲殺された哀れな顔面のように、見えるべきものが見えなくなっていた
夢は砂のように、愛は霞のように、心は泥のように
泣きながら俺が啜っていたものが本当は何よりも愛しいものだったなんて
ごめんよ、ごめんよ
本当は何も失くしたくなど無かったんだ
喪失の空にギリギリまで水を含ませたような心許ない白色がギロチンの刃の反射のように光る、ああ、俺は為す術も無くその光で網膜を切り刻んでいた
俺の傷口から流れる血をもしも君が受け止めてくれるなら、戯言で構わない
どうかそれを救いだとうそぶいて欲しいのさ
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