叫びすぎて枯れた喉は
もはや
誰を求めていたのかも忘れ
非常灯だけの
終電の終わった駅前で
あたしは
立ち尽くす
もうなんもない
もうなんもない
もう
誰と会うこともない
あたしにとって
この街は終わってしまったんだ
安っぽいスローガンが、駅前のホテルのそばの交差点で風に踊る
これまでのすべてを悟ってあたしはそれをじっと見つめた
風はそんなに強くなかった
そこに何が書いてあるか
ひらひらしていても想像がつく程度で
それはひどく生暖かくて
ああ、もうすぐ
雨になるんだななんて、小さくため息をつく
駄目になったときはいつも天気が気になる
掻き分けたような雨雲の隙間から、半月間近の月が煌々と光り
あたしは生まれてこのかた思ったことも無いような熱意で
その光を全身に浴びたいと思った
すぐに誰かに叶えてもらおうとする娘の下には
ティンカーベルはやってきたりしない
だから背中に羽が生えないかなと
缶ビールのプルタブを引き抜きながら結構マジに願ったんだ
明日は雨です、帰り道、学生寮の窓から漏れる遅い天気予報がそんな風に言うのが聞こえた
あたしは
それを信じないでいようと
意味も無く
固く
心に
誓ったんだ
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