照りつける太陽が土地を老けさせる
踏みっぱなしのエンジン、スピードじゃ手に入れられない
果てしないものの為にアクセルを踏み続けている
エアコンは効かない、チキンの様に俺の皮膚は蒸しあがる
片手間の舗装、車が跳ね上がる度に
ステアリングが二つも三つもに分かれて見える
鼻からなんか吸い込めない空気
犬の様に舌を垂らしている
スピード・メーターを心に近いところまでぶっ壊す
どんなにカッ飛んだって間に合わないことはとうに判っているのさ
きっと俺は人生を追い抜こうとしているんだ
セント・ポーリアで出会った少女は
お互い名乗り合う前に俺が詩人であることを見抜いた
きっと俺の顔には普通じゃありえない致命的な穴が開いていたんだ
そいつの為にアクセルを踏み抜かなきゃならない
あの年端もいかない、ポニー・テールの女の子の肌のぬくもりの為に
もう三日も前から
カー・ラジオは何も受信出来なくなった
まじめに生きてりゃ良かったと思うのは決まってそんな時だ
死ぬほど
ロックン・ロールに身を沈めたくなる時も
マイアミに行こうよ、このまま踏みっぱなしで
マイアミか天国
マイアミか天国
最後のコインは神様に投げてもらうさ
裏でも表でも恨みやしない、だって俺はすでに死んだことがあるんだから
マイアミに行こう、ジョン・ベルーシがそう歌っていたから
あの偉大なブルースのポーク、俺の心をもう一度躍らせておくれよ
俺は死んじまおうなんて思っちゃいなかった、あんたのネクタイにかけてそう誓うよ
あんただってそんなこときっと考えちゃいなかったはずさ
まじめに生きてりゃ良かったと思うのは決まってそんな時なんだろう
フリー・ウェイはイカれたキッチン、そこら中で生きたものたちが焼け付いている
オーバー・ヒートした50年型のエンジンの様に致命的に
マイアミに行こうよ
マイアミに行こうよベルーシ
あんたと一緒に
黒いスーツでステップを
神様がコインを無くしたりしなけりゃ
きっと向こうでバンドは喚き出すさ
チューナを生まれた数くらい廻してみたけど、穿きっぱなしのタイヤの悲鳴が聞こえるだけで
相変わらずさ
相変わらず誰かが必ずイカれてやがるんだ
そいつは俺の脚をアクセルから離してくれない
マイアミに行こうよ
先でも後でも構わない
無事に着いたら着替えて待ってる
黒いスーツと
針金みたいな細いタイ
めいっぱい飛ばすから
ブラス・バンドで抱いてくれるって
ねえ、約束しておくれ
俺はいつでも
生き返ろうとしているんだよ
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