訳知りに頷きながら、時の刹那に消えていった幼い志しの面影
強固な拳で殴りつけた様に陥没した壁の亀裂には
まさにこの俺の血管の膠着を具現化したみたいなもどかしさがあった
明日には多分消えるんじゃないのか、欲望をキラキラ輝くものに見せようとした
ただ生きて居たいのみの愚かな色の花弁
ひとりごとの跡を辿って自分の心を探そうとしたんだ、笑い話に聞こえるけど本当のことなんだ
行き着いたのは喜びも哀しみも無い白色の砂漠だった、鼻腔をくすぐる空気には―ささやかな傷みがあった
切り刻みながら肥大するものが本来なら人生と呼ばれるべきなのだ、そう悟ってしまうともう行くべきところは無いのか?
行先の書いていないぼろぼろのチケット、終点だと感じたなら―そうとも、多分そうしてしまえるのだろう
無人駅のホームで
何かを構築しなければならない、晴れた空の下で隠れるべき場所が無い
レールは見えるかい、ベイビー、どこかにあると感じられるならきっともう一度浅はかな夢に溺れることが出来るだろう
レールは見えるか、ベイビー、レールは見えるか
このまま死刑執行人の合図に任せても構わないのかい?
無人駅のホームには圧迫が設えられていた、死神と踊るにはまだ少し早い気がする
生きているならことは起こるさ、たとえ今日の列車がすべて終わってしまっていても
明日にはきっと乗り込むことが出来るんだと思うぜ―新しい雑誌を置いている売店のある駅で気まぐれにニュースを買い込むんだ
鮮やかでなかろうが、細胞が死に続けていようが―知ることが出来ないわけじゃない、後が無いってことは
少しばかりやんちゃになれるかもしれないってことさ
誰も抱いてくれない冷たい建物の影で夜を明かす覚悟はあるかい?少なくともベンチの上に居れば
余計な埃を吸い込まずに朝を待つことが出来るぜ
ゴーストに怯えることなんかもう無い、だって俺も同じ様なものなんだから
にっこり笑って挨拶をしてやるのさ、話してみれば意外といいやつだったりして―魂である以上、存在するのには理由があるんだから
レールは見えるか、ベイビー、コードを拾って
今夜の向こうに続くブルースを紡ぐんだ
新世紀間も無い、暮れ方の無人駅のホーム
俺はゴーストの様に無人駅のホームでルート・フォームを繰り返している
掲示板のダイヤは風に擦り切れている、砂埃が目に飛び込んで―今日この日一番
リアルな傷み
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