不定形な文字が空を這う路地裏

マグリッドすら分からない



トゥ、トゥルルッと
無邪気な口笛

まるで何にも知らない、ゆえに美しい
ゴムとびに興じる少女のように

メアリー、お前の神経の規律はいつの間にそこまで退化してしまったんだい、俺がお前に捧げた日々は、まるで無駄だったとでも言わんばかりのその無垢の加減

お前はすでに囀る鳥のような
優しい意味しか持ち合わせてはいないのだろうね…だけど聞いて欲しい、幸せそうなお前を見るたびこの胸は震えるんだ、誰が、何が、何故、お前をそんな窓辺に誘ってしまったのか?問いかける相手の見当もつかないままに
あの日を境に失われた本当のお前のことを今でも探し続けている
教会に行くのは止めたよ、お前には何の役にも立たないって分かったんだ、神様のことを嫌いになったわけではないけれど
神様は私たちのことをお気には召さなかったようだ…ごらんよ、メアリー、お前の大好きなマグリッド、ルーンの店で安く手に入れたよ―お前があの頃うるさく口にしていた可笑しみ…私にはてんで理解出来なかったけれど
どうしてだろう、こんなお前を目にしていると何故だか笑えてくるほどに良く分かるんだ


トゥ、トゥルルルッと
無邪気な口笛
愛しいメアリー、お前にはもう
マグリッドすら
分かることはないんだね…

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