不定形な文字が空を這う路地裏

水が溜まる


混乱した疾患がすべからく俊敏に脳髄の根幹に潜り込む明け方
俺には君の為に吐いてやれる言葉などありはしなかった、もとより
追い求めて届くようなあれではなかったから、それに
本来俺がそんなに固執するべき物事では多分無かったのだろうと思う
君は今頃名状しがたい優越感に包まれて王女の気分で寝床の中
それについてどうこう教えてやることも出来なくは無いが生憎俺は
自分の中に湧き上がるいろいろな色の様々な温度の水を掻き出すのに忙しい
現実も幻想も寝言みたいなものさ、とくにこんなじっとりとした夜の内側じゃ
自分が吐いた言葉のどれほどを信じている、俺は君が思ってるほど人の良い男なんかじゃないぜ
その気になればしっかりと復讐の牙を研ぐことも出来るんだ、なに
これはちょっとした比喩みたいなものだけどね、だいたいのところは分かってもらえるだろう?
俺は君が思っているよりもたくさんの言葉の中から届きそうなものだけをチョイスしているんだ
なぜならそれがこういったことの答えに繋がる手段だと思っているからね
イデオロギーがすべての境界を飛び越えるなんて見当違いもいいところだとは思わないかい
選挙演説に足を止める奴らの気持ちを、君は理解できるって言うのかい?
俺はそんなことに興味は無いんだ、さっきも言ったけれども少し忙しいもので
どんなに生きても忙しさなんて止みはしないものだね、大きい小さいの差こそあれさ
くたくたになるまで生きるたびに、もっと生きろもっと生きろと
後ろから鞭を当てられているような気分になる、まあおそらくそれも無いよりゃマシなんだろうけども
俺はきっとちょっとした偶像みたいなものの素晴らしさを信じているんだ、だってそんなものの中にはたくさんの言葉が本質が
息も出来ないほどたくさんに詰め込まれている気がするじゃないか?
もちろんもう少しお粗末なものを信じることも出来るがね、生憎それじゃ物足りないんだ
目に見えるものを信じたら見えるもののことしか分からなくなっちまうだろ
公共広告みたいな概念を抱いて生きる愚か者なんかに興味は無いのさ、所詮それは質疑応答みたいなものだから
分かるだろう俺が何について話しているのか?掻き出す水が多過ぎて大変なんだぜ
オーイ、少し手伝ってはもらえまいか、こいつはかなり大変な作業だぜ
なに、報酬は弾むよ、俺のありったけの言葉、俺のありったけのフレイバー
どのあたりまで持つか試してみたくはないかい、無限でないからこそ
懸命に吐き出す価値があるって話した詩人はこれまでに居たかな
ねえ少し話しはずれるけれどもさ、パイオニアってのは区別されないものだ、そうじゃない?
俺は意外とそういう言い方って頷きたくなるんだよ、なんのかんの名前をつけていくよりはよっぽどリアルな感触だろう
だからさ、目っていうものはそういうことのためにあるんだよ
ただ歳を取っちゃいけない、そういうのはものすごく恥ずかしいことだ
成長するということはむしろ時間軸を外れるということなのかもな、疑問符を無視するな、行きたい角は必ず曲がれ
俺が人生について言えることがあるとしたらきっとそんなようなことさ
分かるかい…まあ、この際それはどうでもいいや、当面やるべきことは
この忌々しい水を残らず外に捨てること、ねえ、もし良かったら
少し手伝ってはくれないものかね?

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