草庵の記

弓部大動脈、腹部大動脈、腸骨動脈、冠動脈にステント11本。
私の体はサイボーグ

尊厳死とリビングウィル

2019-01-09 11:21:21 | 病のこと
2009年10月の行政による癌検診を受診しました。
毎年行われるもので大した異常は見つかりませんでした。

ところがその年は突然結果呼び出しのホームドクターからの電話を
いただきました。

胸部レントゲンの影はかなり大きなものでした。

「これは何年も前からありましたよ。大丈夫ですよ」

「肺癌ですか?」

「いえ、市の医師は血管と言っております」


肺癌であれば治療は受けないでおこうと心に決めておりました。

その何年も以前からアデノイドに引っかかりがあり、
嗄声で喉にヒリヒリ感が出来、大学病院にも検査に
行きました。

「分からないので治療しません」という答えでした。

ホームドクターは自分のところに来るCT検査車で
CT検査を受けて欲しい旨伝えます。
お世話になっているので指示に従いました。

やはり異常が出て紹介状を書いていただきました。
紹介状には「呼吸器疾患ではないか」と書かれていました。
心臓血管専門病院で「呼吸器科はありませんので診療はできません」
と言われました。

ここで引き下がるわけに行きません。
最初、血管の疾患と言われたので何とか診療していただきたいと
食い下がりました。

CT、レントゲン結果を診た医師は病名を伝え手術を奨めました。



結局完全な手遅れ状態の「弓部大動脈瘤」でした。
救命率は五分五分、救命できても脳梗塞の確率が
高いと言われました。(私自身はそこまで知らなかった)

麻酔のかかっている間に逝ければ最高の安楽死だ。
なんて馬鹿なことを考えていたものです。

術後の予後が悪く、只今は複数の動脈瘤の成長と
安定性狭心症(慢性)に苦しんでいる状況です。


そしてこの体はまるでサイボーグのように人工血管を初め、
ステントが複数本入り、さらに今年は腹部大動脈瘤と足部動脈瘤を
手術の予定です。

このボロボロの血管で何故まだ生きているのか??? 
私は病院のモデルケースになりました。




終末期医療に関する事前指示書


私は、自分自身の終末期の医療・ケアについての私の意思を明らかにするため、下記の通りの指示を致します。

(延命措置)
私の傷病が不治の状態であり、既に死が迫っていると診断された場合に、延命措置を取ることをお断り致します。意識がなくなった場合はもちろん、はっき
りと意思表示が出来ない場合も同様に扱って下さい。(希望する措置にチェックをします)・鼻管の挿入をしないでください。
・胃瘻の処置をしないでください。
・人工呼吸器を取り付けないでください。
・昇圧薬の投与・輸血・人工透析・血漿交換の実施をしないでください。

(苦痛の緩和)
私の状態が苦しく見えるようであれば、その苦痛を緩和するための処置・治療はお受け致します。下記の措置を取ることに同意いたします。(希望する場合、チェックをします)・苦痛を和らげるための麻薬などの適切な使用による措置以上が私の終末期医療に関する事前の指示書となります。これらの要望を受け入れ、治療に当たった方に深く感謝を申し上げるとともに、これらの指示内容に従って行った行為の責任はすべて私に有ることを表明致します。

作成日  平成  年  月  日

(本人)
住所
氏名(印)
生年月日

(本指示書の証人)
住所
氏名(印)
連絡先電話番号

(私の意識がなくなった時の連絡先)
住所
氏名
連絡先電話番号



母は2008年春、末期癌によって鬼籍に入りました。
日赤では「治療できる段階ではないので自宅療養してください」
突き放され、家族は真っ青になりました。

幸い30年掛かっていたホームドクターが便宜を図りそちらの病院に
入院させていただきました。

が、病院に入った以上は何らかの医療行為をしなければ
入院は不可能です。

看護師や若い医師は母の苦しむ姿を見て、自分の親であれば
モルヒネだけで尊厳死をさせると家族に言います。
が、主治医はそうはいきませんし、家族はどうすれば良いのか
判りません。

このような書類の存在さえ知りませんでした。
しかも、モルヒネの量を増やすと、3日後には意識を
吹き返し私たちに苦痛を訴えます。

母は他人と競い合うことは良しとしませんが、自身には
勝気な人でしたから「こんなモルヒネに負けるもんか」
だったのでしょう。

母の命を長らえさせたのは忘れもしません。
「フルカリック3号」という栄養点滴でした。
最後は尿毒症でオシッコが出なくなりました。
私たちは胸が張り裂けそうでした。


この書類があれば母はもう少し早くに楽になれていたかもしれません。

今はまだ日本に尊厳死法案は叫ばれるだけで政治利用で
二転三転し、法制度化されていない実情です。


日本での尊厳死 事実上容認だが法的には「グレーゾーン」

医師から見た「尊厳死と尊厳死法案」


私たち夫婦は私の勧めでリビングウィルを書いております。
また新たな日付で書き直しておきましょう。


※ 当時の私の病態記録は「弓部大動脈瘤 予後」に記してあります。



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2 コメント

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橋田寿賀子さん (春子)
2019-01-09 22:09:06
★あけさん★
橋田寿賀子さんね、日本に安楽死法案がなくて
いろいろ調べるうちにお諦めになったみたいですよ。笑
私はそのニュースはネットで見ました。

ただスイスに行けばいつか載せた安楽死が可能になるようですね。
しかしながら意識が清明でなければスイスまでは
行けませんね。

橋田さんほどのセレブであれば渡航費用もおありでしょうが、
私のような貧民はまず無理ですね。

国は一体この高齢化社会をどのように対処するつもりでしょう。
恐らく無策の上、税金を搾り取りあの手、この手で
弱者切りの策を講じると思います。
やれやれ。穏やかな自然死を迎えたいものです。

って、医者に行かなければ適いますが、血管破裂の30分の
激烈な苦痛を思うと医者に行ってしまいます。

その激烈、悶絶の苦痛を医者が私に教えた
聞かされてなければ……ねえ。苦笑

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こんばんは。 (あけ)
2019-01-09 21:51:04
大変な、ご病状なのですね…終末期ケア、子供は、身体中、管に繋がれても良いから、生きててほしいと言ってますが、私の、叔母が、現在、療養型の病院へ、四年前から入院していて、週に、一回着がえを、持っていきますが、流動食を、点滴に入れて、そんな患者さんばかりだから、看護師も、無言で、業務を、淡々とこなす、叔母の、顔を見るたびに、ため息ばかりです。橋田寿賀子も、安楽死を、望んでると、週刊誌で、読みましたが、同感ですね。自殺と、安楽死は、意味合いが違うのになと思いますね。手術の、成功、お祈りします。
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