「これまで不可能だと思っていたことが可能になった...夢とロマンを子どもたちに与えてあげたい」
校長先生のこの言葉が、今日の視察で得たもの全てを集約してくれていたと思います。あらためて、教育現場でICTを効果的に利活用することで、より多くの子どもたちに学びの機会と喜び、自らの成長と興味にあった教育を提供してあげられることを実感してきました。
おっと、結論から先に入ってしまいましたが、今日は朝から京都を訪問して、「京都市立桃陽総合支援学校」にお邪魔してきました。
桃陽総合支援学校は、これまでこのブログでもたびたび話題にしてきた「フューチャースクール推進事業(総務省)」&「学びのイノベーション事業(文部科学省)」の実証校の一つ。平成23年度に第二弾として始まった、中学校8校と特別支援学校2校のうちの1校で、病弱特別支援学校として特有の課題に対する実証研究に取組んでいただいています。
私もかねてから訪問したかったのですが、今日、ようやくそれが実現したわけです。
まずは会議室で、校長先生はじめ、先生方から取り組みの経緯と現状についてお話を伺いました。桃陽総合支援学校の特徴は、なんと言っても、病院に併設された本校校舎だけでなく、市内にある4つの病院分教室や小児病室などにもICT環境を構築して、協働学習を実践していることです。私もこれまで各地の実証校を訪問してきましたが、複数拠点を結んで協働学習を実践しておられるところは初めてでした。これは実に興味深い実証研究ですし、今後の大きな可能性を感じさせてくれるものでした。
その後、さっそく授業の視察へ。小学生のクラスから中学生のクラスへと移動しながら、すべてのクラスを見せていただくことができました。上の写真は、中学3年生の音楽の授業。下の写真は、中学1年生の数学の授業です。ちなみに中学1年生の授業は、「コラボノート」というソフトを使って、自分の回答とクラスメートの回答とを同じ画面上に表示し、考えを比較している様子を示しています。
病院分教室をつないで授業をしている様子を見ることはできませんでしたが、一つ、ここで開発した実験道具を見せていただいて、体験もさせていただきました。それが下の写真:
これは顕微鏡なのですが、本校にある顕微鏡を、離れた場所にある病院分教室にいる生徒がリモートで操作して実験をすることができるというものです。なぜこれが必要かと言うと、病院の中にある分教室では、衛生上の理由から、生物関係の実験ができないからなんですね。微生物などを顕微鏡にセットするところは本校でやって、実際の観察は、リモートコントローラーとパソコン上に映し出される映像を見ながら分教室にいる子どもが行うことが出来る、というわけです。
「子どもたちにぜひ実験をさせてあげたい!」という思いから生まれた実験機器なのです。
そして、私が注目したのが下の写真。え?ただの机じゃないかって? いや、ただの机じゃないんです。これ、天板が特注でサイズが大きいんです。以前、宮古島の中学校を視察訪問した際に、「机が小さすぎてタブレットとノートを置くことができない」という課題を指摘いただいていました。桃陽総合支援学校では、その問題を解決するために、大きいサイズの天板に取り替えていたのです。ん~すばらしい! これも、現場の皆さんの取り組みの賜ですね。
視察後の意見交換では、校長先生はじめ学校側の皆さんや、京都市教育委員会の皆さんから今後の展開に向けた課題や、国への要望などについてお話を伺うことが出来ました。特に、「病弱児童に対する教育にICTは大変有効だということが実証されている。ぜひ継続して欲しいし、ここでの経験を国内の他の地域・学校にも拡げていって欲しい」というお言葉は、私もしっかりと受け止めさせていただきました。
特に、全国には自宅療養で学校に通えない子どもたちが4万人もいます。この桃陽総合支援学校での取り組みが、これらの子どもたちをICTでつなぎ、学びの機会を得られるような展開になるようがんばっていかなくてはいけませんね。
以上、今日の桃陽総合支援学校視察訪問の報告でした。総務省&文科省の両事業については、今年度が最終年度。つまり、来年度以降の展開については、今年中にあらたな計画を策定し、来年度予算案に盛り込んでいかなくてはいけません。今後、自公両党とも連携しながら、教育現場でのICT利活用のさらなく展開に向けて取り組みを進めていきたいと思います。