「終電に間に合わないから…。」
せっかくだけど、やっぱり時間がない。あの時、そう返事したのを憶えている。掲示板で見つけたマッチョなバリウケの、まだ見ぬ彼。出会いに不要なのは未練がましい態度だ。オレの代わりはいくらでもいるんでしょう?だったらオレも、あなたじゃなくても構わない、という決断が自分の価値を高める。残念だけど、と携帯を閉じると返事が届いた。
「明日オレ、休みなんだ。泊まっていってくれないかな?」
ドアノブに手をかけると、カチャっと開いた。「やあ。」といった感じで彼が顔を出す。画像通りの33才だった。見ず知らずのオレを招き入れてくれる。
「はじめまして。」
出されたお茶を口に含むと、ラフな姿の彼がキッチンで何かを用意している。体育会系の大学生のようにTシャツ・ボクサー1枚で脚が太い。人懐っこい笑顔が、振り向く。ああ、一晩中彼のケツを掘り続けるんだろう。一生懸命鍛えた体を、オレに差し出して。ラグビーだろうか。それともアメフトだろうか。
「何か食べる?」
「ううん、大丈夫です。」
ありがとう。あなたに会えて良かった。お願い、一晩だけ愛して。いいでしょ?そんな風に願った夜があった。
(mixi日記2006年08月24日より抜粋)