会うまで1週間ほどメールのやり取りをしていた。メールをいつもちゃんと送ってくれるので、その1週間は常に携帯をチェックして、オレからも積極的にメールを送った。返事がちょっと遅いと心配になり、送信済みのメールを読み返して失礼がなかったどうかを入念に確認する毎日だった。長文メールが来ると嬉しかったし、短いメールだと少し寂しかった。仕事の帰りにメールを打ちこみながら、ふと思った。
「恋人でもないのに、オレ、どうかしちゃったのかな?」
会う前から好きになっていた。会ってもしダメでも友達として永久に仲良くしていけばいい。そんな、ゲイ初心者みたいな恋ができたことに感謝していた。
「なぜ、好きになったのだろう。会ってもいない相手に。」
彼からのメールが好きだった。さり気なく優しくて、どこか抜けてて、一生懸命オレにメールをしてくれているのが文章を通して伝わってくる。しつこくないし、自然にメールをいっぱい送ってくれる。どんどん好きになっていくのが分かった。
「好きな人なんて最初からいない。縁があった人を、段々好きになっていくものだから。」
待ち合わせ場所に現れたのは、笑顔が可愛いマッチョな年下の坊主だった。それが今の彼だ。