中国の積極的な外交が目立ちます。今回の胡錦濤国家主席のアメリカ訪問でも、中国側は「国賓」待遇を要求していました。
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国賓認めず「公式訪問」 中国主席訪問で米政権
中国の胡錦濤国家主席にとって就任後、初めてとなる4月のワシントン訪問について、マクレラン米大統領報道官は24日、中国側が主張している「国賓」待遇ではなく、1ランク低い「公式訪問」と位置付けていることを記者団に明らかにした。中国の経済的台頭と急速な軍備拡大路線への「脅威論」が議会を中心に高まっていることに配慮し、ブッシュ政権は最高レベルの待遇を避けたといえそうだ。
報道官によると、4月20日の米中首脳会談の際、胡主席はホワイトハウス南庭で歓迎式典に臨むほか、夫人同伴でブッシュ大統領夫妻が主催する昼食会に出席。迎賓館ブレアハウスに宿泊する。迎賓館宿泊や歓迎式典など、外交儀礼上の待遇は国賓並みだが、国賓に対して通常行う夕食会は実施せず、昼食会とすることで格を下げた。(共同)
(03/25 16:12)
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「公式訪問」とはいうものの、ワシントン・ポスト紙も指摘しているように、この公式訪問は21発の礼砲を伴うなど、「国賓待遇」に極めて近いもの。中国側の強硬な要求にホワイトハウス側も折れてしまったという感じです。
ところが、そのことを伝えている日本のメディアの少ないこと。見る限り、唯一読売だけがアメリカの異例な歓迎ぶりを伝えてくれています。
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北の核「影響力」求める…米大統領、中国主席に (読売新聞) - goo ニュース
2006年 4月21日 (金) 01:27
【ワシントン=貞広貴志】訪米中の胡錦濤・中国国家主席は20日午前(日本時間同夜)、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談した。
胡主席の国家元首としての米国公式訪問は初めてで、両首脳の会談は、ブッシュ大統領が訪中した昨年11月以来となる。
首脳会談では、北朝鮮とイランの核問題をはじめとする安全保障問題、それに米国の対中貿易赤字拡大や中国の通貨・人民元改革、知的財産権の保護強化策など経済問題が広範に取り上げられた。
会談に先立ちホワイトハウスで行われた到着式典でブッシュ大統領は、「平和的で繁栄する中国の興隆を歓迎する」と言明し、米国内で高まる「中国脅威論」にはくみしない姿勢を示した。胡主席は、「米中の協力強化は、両国民のためだけでなく、世界の平和と発展にも資する」と両国関係の重要性を強調した。
焦点の北朝鮮の核問題では、ブッシュ大統領が6か国協議の再開に向け「中国が北朝鮮に対して持つ、大きな影響力を行使する」よう求め、胡主席は、「米国や他の当事国との協力継続」を約束した。さらに、ブッシュ大統領は、脱出してきた北朝鮮住民(脱北者)を強制送還しないよう中国に求める方針で、核と人権問題の両面で突っ込んだ討議が行われた模様だ。
イランの核問題では、胡主席が「外交交渉を通じた平和解決」を訴え、制裁を含む強硬措置に傾く米国との違いを浮き彫りにした。
会談後の記者会見で胡主席は、台湾問題を集中的に取り上げたことを明らかにし、「台湾は中国の不可分の一部」との主張を繰り返した。これに対しブッシュ大統領は、「私は台湾独立を支持しない」と言明し、中国の立場に一定の理解を示した。
一方、経済分野では、ブッシュ大統領が、<1>人民元の変動相場制への移行<2>内需の拡大<3>知的財産権の保護<4>輸入品への市場開放<5>年金制度改革――を具体的に挙げ、中国政府の取り組みは評価しつつ、一層の努力を求めた。これに対し胡主席は、「人民元の為替制度の改革を引き続き進める」と述べるにとどまり、急速な制度改革には慎重な姿勢を示した。
また米政府筋は、小泉首相の靖国神社参拝を巡って悪化している日中関係の改善問題も話し合われるとの見通しを示した。
ブッシュ大統領は儀礼を嫌う実務外交スタイルで知られるが、中国側の意向を受け21発の礼砲など国賓に準じた異例の厚遇でホワイトハウスに迎えた。
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これだけ政治体制が違い、思想信条も異なるのに、国賓待遇を要求してそれに近いものを呑ませる中国の外交上手には舌を巻かざるを得ません。
ぼやぼやしていると、日本は蚊帳の外へ放り出されてしまいます。いままでほとんど仕事らしい仕事をしてこなかった外務省。こういう非常時こそ率先して働いてもらわねば困ります。
さもなければ、日本は中国の要求をすべて受け入れるだけの「属国」になりはてます。
だからこそ、日本のマスコミはこうした重要なことを日本国民に伝える義務を怠ってほしくありません。読売一紙だけ、それも付け加えただけのような書き方には物足りなさを感じます。
日本のマスコミには、日本の国益になる報道をお願いしたいものです。
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なお、前述した、アメリカ政府の胡錦濤主席に対する異例の歓迎ぶりへの批判をしている4月20日付のワシントン・ポストの社説を裏ブログ「映画と本と音楽にあふれた英語塾」において「気になる英語表現: 中国国家主席への米政府の異常な歓迎」という記事で分析しています。どうぞお読みください。
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国賓認めず「公式訪問」 中国主席訪問で米政権
中国の胡錦濤国家主席にとって就任後、初めてとなる4月のワシントン訪問について、マクレラン米大統領報道官は24日、中国側が主張している「国賓」待遇ではなく、1ランク低い「公式訪問」と位置付けていることを記者団に明らかにした。中国の経済的台頭と急速な軍備拡大路線への「脅威論」が議会を中心に高まっていることに配慮し、ブッシュ政権は最高レベルの待遇を避けたといえそうだ。
報道官によると、4月20日の米中首脳会談の際、胡主席はホワイトハウス南庭で歓迎式典に臨むほか、夫人同伴でブッシュ大統領夫妻が主催する昼食会に出席。迎賓館ブレアハウスに宿泊する。迎賓館宿泊や歓迎式典など、外交儀礼上の待遇は国賓並みだが、国賓に対して通常行う夕食会は実施せず、昼食会とすることで格を下げた。(共同)
(03/25 16:12)
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「公式訪問」とはいうものの、ワシントン・ポスト紙も指摘しているように、この公式訪問は21発の礼砲を伴うなど、「国賓待遇」に極めて近いもの。中国側の強硬な要求にホワイトハウス側も折れてしまったという感じです。
ところが、そのことを伝えている日本のメディアの少ないこと。見る限り、唯一読売だけがアメリカの異例な歓迎ぶりを伝えてくれています。
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北の核「影響力」求める…米大統領、中国主席に (読売新聞) - goo ニュース
2006年 4月21日 (金) 01:27
【ワシントン=貞広貴志】訪米中の胡錦濤・中国国家主席は20日午前(日本時間同夜)、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談した。
胡主席の国家元首としての米国公式訪問は初めてで、両首脳の会談は、ブッシュ大統領が訪中した昨年11月以来となる。
首脳会談では、北朝鮮とイランの核問題をはじめとする安全保障問題、それに米国の対中貿易赤字拡大や中国の通貨・人民元改革、知的財産権の保護強化策など経済問題が広範に取り上げられた。
会談に先立ちホワイトハウスで行われた到着式典でブッシュ大統領は、「平和的で繁栄する中国の興隆を歓迎する」と言明し、米国内で高まる「中国脅威論」にはくみしない姿勢を示した。胡主席は、「米中の協力強化は、両国民のためだけでなく、世界の平和と発展にも資する」と両国関係の重要性を強調した。
焦点の北朝鮮の核問題では、ブッシュ大統領が6か国協議の再開に向け「中国が北朝鮮に対して持つ、大きな影響力を行使する」よう求め、胡主席は、「米国や他の当事国との協力継続」を約束した。さらに、ブッシュ大統領は、脱出してきた北朝鮮住民(脱北者)を強制送還しないよう中国に求める方針で、核と人権問題の両面で突っ込んだ討議が行われた模様だ。
イランの核問題では、胡主席が「外交交渉を通じた平和解決」を訴え、制裁を含む強硬措置に傾く米国との違いを浮き彫りにした。
会談後の記者会見で胡主席は、台湾問題を集中的に取り上げたことを明らかにし、「台湾は中国の不可分の一部」との主張を繰り返した。これに対しブッシュ大統領は、「私は台湾独立を支持しない」と言明し、中国の立場に一定の理解を示した。
一方、経済分野では、ブッシュ大統領が、<1>人民元の変動相場制への移行<2>内需の拡大<3>知的財産権の保護<4>輸入品への市場開放<5>年金制度改革――を具体的に挙げ、中国政府の取り組みは評価しつつ、一層の努力を求めた。これに対し胡主席は、「人民元の為替制度の改革を引き続き進める」と述べるにとどまり、急速な制度改革には慎重な姿勢を示した。
また米政府筋は、小泉首相の靖国神社参拝を巡って悪化している日中関係の改善問題も話し合われるとの見通しを示した。
ブッシュ大統領は儀礼を嫌う実務外交スタイルで知られるが、中国側の意向を受け21発の礼砲など国賓に準じた異例の厚遇でホワイトハウスに迎えた。
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これだけ政治体制が違い、思想信条も異なるのに、国賓待遇を要求してそれに近いものを呑ませる中国の外交上手には舌を巻かざるを得ません。
ぼやぼやしていると、日本は蚊帳の外へ放り出されてしまいます。いままでほとんど仕事らしい仕事をしてこなかった外務省。こういう非常時こそ率先して働いてもらわねば困ります。
さもなければ、日本は中国の要求をすべて受け入れるだけの「属国」になりはてます。
だからこそ、日本のマスコミはこうした重要なことを日本国民に伝える義務を怠ってほしくありません。読売一紙だけ、それも付け加えただけのような書き方には物足りなさを感じます。
日本のマスコミには、日本の国益になる報道をお願いしたいものです。
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なお、前述した、アメリカ政府の胡錦濤主席に対する異例の歓迎ぶりへの批判をしている4月20日付のワシントン・ポストの社説を裏ブログ「映画と本と音楽にあふれた英語塾」において「気になる英語表現: 中国国家主席への米政府の異常な歓迎」という記事で分析しています。どうぞお読みください。