今週の気になる英語表現では、予告どおり、映画『ハート・オブ・ウーマン』の主役ニック(メル・ギブソン)の言葉から取った”screw up”という熟語を取り上げます。
先日の記事でも紹介しましたが、この映画は女心を読めるようになったニック(Nick as a mind-reader of women)の成功と失敗を上手い具合に織り交ぜたコメディであります。それゆえ、ある意味ニックはドジをしまくるわけです。そうなると、今回取り上げる熟語がこの映画のキー・フレーズになるのはお分かりでしょう。
というわけで、screwとupの組み合わせなのに、タイトル文は「参ったなあ」とか「ドジったなあ」というニュアンスになってしまうのです。先週の”I’m overwhelmed.”と少し重なってもいますから、合わせて覚えてください。
(もう御明察通り、ゴウ先生はこのトホホ系の熟語が大好きです。だって、トホホな人生って人間味があって楽しいではないですか。われわれ神様じゃないんだから。)
それでは、基本から。
“screw”という単語は、名詞と動詞の二つの働きを同じ綴りで行います。こういう単語は重要単語です。必ず辞書でチェックする癖をつけましょう。中学時代に習った名詞の90%以上が同じ綴りで動詞の働きもします。要は基本が大切だということです。
まず、名詞だと「ねじ」です。それしかないと思ってもらっても、困ることはありません。余計なことを覚えないというのも英語学習のコツですぞ。
一方、動詞には、他動詞用法と自動詞用法の二つがあります。ですが、単独ではそれほど複雑な意味を持っていません。他動詞ならば「…をねじで締める」ですし、自動詞の場合は「ねじれる」です。何度も言います。辞書を引けば、色々な意味が載っていますが、まずはこうした基本的ないわゆる核となる意味(core meaning)を理解することが重要なのです。
ところが、このscrewがupという副詞とくっつくと面白い意味と用法を持つようになるのです。まずは、いつも通り、『プログレッシブ英和中辞典』でチェックしてみましょう。
この熟語、自動詞用法と他動詞用法があります。
自動詞では(1)「ねじで結びつけることができる」という基本的な意味もありますが、われわれがいま注目したいのは(2)「へまをする」という意味であります。つまり「ドジる」がここに現れるわけです。
ですから、「ドジった」と言いたければ、自動詞的に”I screwed up.”と言っても構いません。事実、メルの発音では、こう言っているように聞こえる箇所もあります。
次に他動詞用法です。他動詞として使われるのですから、直接目的語を取れなければなりません。動詞と副詞の組み合わせですから、使い方は二通りです。
動詞+副詞+目的語(名詞)
動詞+目的語(代名詞/名詞)+副詞
つまり、代名詞を目的語に取る時には、必ずscrewと upの間に置くわけですが、名詞の場合は、間においても後に置いてもよいと言うわけです。どちらに置くかはその時の使用者の判断です。まあ、われわれnon-native speakerは、名詞は後置すると覚えておけば間違いありません。韻を踏みながら書いたり話したりすることはあまりないでしょうから。
そこで意味です。(1)「ねじで締め上げる」という基本形を基に、(2)「(勇気)を奮い起こす」という意味があり、そして(3)「(物事)を台無しにする」というドジの本線が見えてきます。そして受身にすると、(4)「嫌な気持ちにさせる」となります。
ですから、(1)から(4)をストーリーでつなげると、「ねじを締めようと気合いを入れたら、入れ込みすぎてドジってしまい、トホホな気分を味わった」という展開になります。おそらくこの熟語はそうして進化してきたのでしょう。面白いですね、言葉って。
その結果、(4)が独立して”screwed-up”という形容詞になり、「精神的にまいった、うろたえた」という意味で頻繁に用いられるのです。ですから、本日のタイトル文”I’m screwed up”は「参ったなあ」とか「ドジったなあ」と後悔の感情を込めて呟いて欲しいところなのです。
さらには、これが名詞化して”screw-up”となり、「失敗、へま、どじ」という意味とその失敗をした「どじなやつ.」という意味が出てきます。ですから、”I’m such a screw-up”と自虐的に反省したい場合には、この英語でビシっと決めてください。とはいえ、トホホな状態ですから、英語だけ決まっても仕方ないのですが・・・。
なお、辞書を引くとこの単語には俗語だとか略式表現だとか出てきますが、男性が使うならば、そんなに下品な表現だとも思いません。確かにセックスに関する意味合いが含まれるのは、ねじという意味から想像つくとは思いますが、男性が「ドジ」「ドジる」の意味で使う場合には、それほど問題はないと思います。メル・ギブソンを気取ってもらっても悪くないでしょう。
ともあれ、他動詞の同義語はruinやmess upだと考え、どんどん使ってみてください。もちろんゴウ先生の願いは、”Don’t screw up your dream.”です。
それでは次回をお楽しみに。
先日の記事でも紹介しましたが、この映画は女心を読めるようになったニック(Nick as a mind-reader of women)の成功と失敗を上手い具合に織り交ぜたコメディであります。それゆえ、ある意味ニックはドジをしまくるわけです。そうなると、今回取り上げる熟語がこの映画のキー・フレーズになるのはお分かりでしょう。
というわけで、screwとupの組み合わせなのに、タイトル文は「参ったなあ」とか「ドジったなあ」というニュアンスになってしまうのです。先週の”I’m overwhelmed.”と少し重なってもいますから、合わせて覚えてください。
(もう御明察通り、ゴウ先生はこのトホホ系の熟語が大好きです。だって、トホホな人生って人間味があって楽しいではないですか。われわれ神様じゃないんだから。)
それでは、基本から。
“screw”という単語は、名詞と動詞の二つの働きを同じ綴りで行います。こういう単語は重要単語です。必ず辞書でチェックする癖をつけましょう。中学時代に習った名詞の90%以上が同じ綴りで動詞の働きもします。要は基本が大切だということです。
まず、名詞だと「ねじ」です。それしかないと思ってもらっても、困ることはありません。余計なことを覚えないというのも英語学習のコツですぞ。
一方、動詞には、他動詞用法と自動詞用法の二つがあります。ですが、単独ではそれほど複雑な意味を持っていません。他動詞ならば「…をねじで締める」ですし、自動詞の場合は「ねじれる」です。何度も言います。辞書を引けば、色々な意味が載っていますが、まずはこうした基本的ないわゆる核となる意味(core meaning)を理解することが重要なのです。
ところが、このscrewがupという副詞とくっつくと面白い意味と用法を持つようになるのです。まずは、いつも通り、『プログレッシブ英和中辞典』でチェックしてみましょう。
この熟語、自動詞用法と他動詞用法があります。
自動詞では(1)「ねじで結びつけることができる」という基本的な意味もありますが、われわれがいま注目したいのは(2)「へまをする」という意味であります。つまり「ドジる」がここに現れるわけです。
ですから、「ドジった」と言いたければ、自動詞的に”I screwed up.”と言っても構いません。事実、メルの発音では、こう言っているように聞こえる箇所もあります。
次に他動詞用法です。他動詞として使われるのですから、直接目的語を取れなければなりません。動詞と副詞の組み合わせですから、使い方は二通りです。
動詞+副詞+目的語(名詞)
動詞+目的語(代名詞/名詞)+副詞
つまり、代名詞を目的語に取る時には、必ずscrewと upの間に置くわけですが、名詞の場合は、間においても後に置いてもよいと言うわけです。どちらに置くかはその時の使用者の判断です。まあ、われわれnon-native speakerは、名詞は後置すると覚えておけば間違いありません。韻を踏みながら書いたり話したりすることはあまりないでしょうから。
そこで意味です。(1)「ねじで締め上げる」という基本形を基に、(2)「(勇気)を奮い起こす」という意味があり、そして(3)「(物事)を台無しにする」というドジの本線が見えてきます。そして受身にすると、(4)「嫌な気持ちにさせる」となります。
ですから、(1)から(4)をストーリーでつなげると、「ねじを締めようと気合いを入れたら、入れ込みすぎてドジってしまい、トホホな気分を味わった」という展開になります。おそらくこの熟語はそうして進化してきたのでしょう。面白いですね、言葉って。
その結果、(4)が独立して”screwed-up”という形容詞になり、「精神的にまいった、うろたえた」という意味で頻繁に用いられるのです。ですから、本日のタイトル文”I’m screwed up”は「参ったなあ」とか「ドジったなあ」と後悔の感情を込めて呟いて欲しいところなのです。
さらには、これが名詞化して”screw-up”となり、「失敗、へま、どじ」という意味とその失敗をした「どじなやつ.」という意味が出てきます。ですから、”I’m such a screw-up”と自虐的に反省したい場合には、この英語でビシっと決めてください。とはいえ、トホホな状態ですから、英語だけ決まっても仕方ないのですが・・・。
なお、辞書を引くとこの単語には俗語だとか略式表現だとか出てきますが、男性が使うならば、そんなに下品な表現だとも思いません。確かにセックスに関する意味合いが含まれるのは、ねじという意味から想像つくとは思いますが、男性が「ドジ」「ドジる」の意味で使う場合には、それほど問題はないと思います。メル・ギブソンを気取ってもらっても悪くないでしょう。
ともあれ、他動詞の同義語はruinやmess upだと考え、どんどん使ってみてください。もちろんゴウ先生の願いは、”Don’t screw up your dream.”です。
それでは次回をお楽しみに。
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表現としての妥当性、動詞の同義語などの知識を得ました。
また、知っているつもりになっている単語でもきちんと辞書をひこうと思いました。
中学生から英語を勉強しながらも、ずっと不得意分野であり、先生のこのような楽しくお教えいただくことはありませんでした。
もっと辞書を活用し、楽しく勉強していこうと思います。
これからもご指導、よろしくお願いします。
『気になる英語表現』は週間コーナーなのでしょうか。
楽しみにしております。