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定期上映会: Be Cool/ビー・クール

2005年09月07日 08時04分23秒 | 映画レビュー
9月3日から全国公開された『Be Cool/ビー・クール』を、INDECではまたもや一足早く8月27日の定期上映会にて楽しみました。もちろん、いつも通り、アメリカから取り寄せた英語字幕のDVDを、120インチの大画面と5.1chサラウンド音声で上映するというやり方です。

『炎のメモリアル』に関して書いたブログでも申し上げた通り、旬のアメリカの大衆文化を知りたければ、ジョン・トラボルタの映画を見るのが一番です。その信念から、アメリカ留学をお世話するINDECとしては、トラボルタ出演の映画は必ずといってよいほど、定期上映会にて会員諸君に見てもらっています。

トラボルタは、様々な役をこなせる器用な俳優です。そのうまさには、舌を巻かざるをえません。

その中でも彼がいまめざしているのは、かつての俳優で言えば、ジェームズ・スチュアートあたりがそうであったような「アメリカの良心」を演じることのような気がします。

たとえば、この『Be Cool』。アメリカ人の理想である「強気をくじき、弱きを助ける」という精神で貫かれたコメディです。

この映画のあらすじをこの観点からまとめてみましょう。トラボルタが演じるのは、映画プロデューサーとして順調に活躍している元ヤクザ者のチリ・パーマー。友人の死で混乱している、インディーズ・レコード会社社長であるその妻(ユマ・サーマン)を助けようとする縦糸に、トラボルタが目をつけるのが、場末のバーで白人のノータリン・ヤクザ(ビンス・ボーン)に搾取されている黒人の歌手(クリスティーナ・ミラン)をボーンから切り離し、サーマンと組んで歌手として成功させてあげるという横糸が絡むのであります。

つまりは、か弱き女性や黒人を助けることで、トラボルタは現代のアメリカの理想を演じようとしているのです。

そこで用意したのが、いま最もアメリカで活躍している黒人のエンターテーナーたちでした。ミランを始めとして、ザ・ロック、アンドレ・ベンジャミン、セドリック・ザ・エンターテーナー。映画の中、彼らはトラボルタのおかげでみんな成功していきます。

(ボディビルのファンであるゴウ先生は、アンドレの仲間に有名な黒人プロ・ビルダーを二人見つけて喜んでおりました。セリフも何もないその他大勢の役ではありますが、こんな仕事をしないと、アメリカでもビルダーは食べてはいけないのでしょう。そういう黒人も救っているのがこの映画なのです。なんだか現実と虚構とがクロスオーバーしています。)

その典型が、役者志望でありながらボーンの舎弟兼運転手を演じているザ・ロックの成功です。トラボルタのおかげでニコール・キッドマンの相手役として『サモアの出会い(Samoan Rendezvous)』という映画に主演できるようになるのです。そのビルボードが写されるところでは、個人的に一番笑えました。

それに対して、白人はすべて割りを食います。ボーンのみならず、あの名優ハーベイ・カイテル(個人的には『テルマ&ルイーズ』の刑事役が大好きです)もトラボルタにつぶされ、白系ロシアン(?)・マフィアたちもトラボルタに壊滅させられます。

この意味で、『Be Cool』はいまのアメリカでは何が善で、何が悪なのかがスキッと見通せる映画に仕上がっているのでした。

しかし、この生真面目さは、ゴウ先生を楽しませてくれない理由の一つでした。どこかお説教臭さを感じてしまうのです。

それに対して、この作品の前作にあたる『ゲット・ショーティ』(1995年)。そこでは、トラボルタは、ジーン・ハックマンやらダニー・デビートやらルネ・ルッソやらの白人大物俳優の間で飛び跳ねているチンピラに過ぎませんでした。そこには、「アメリカの良心」を演じる気構えもありません。ゆえに、弾けてました。笑えました。

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ところが、10年経ってみると、チンピラが組長に変身してしまったのです。大物の貫禄を身につけ、困っている弱者を救う役をトラボルタがやるようになってしったのです。ああ、チンピラのトラボルタが好きなのに。『ソードフィッシュ』のトラボルタが最高なのに。

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そこで製作サイドは知恵を絞ります。かつての軽いトラボルタの姿を共演陣に表現してもらおうとしたのです。

それがビンス・ボーンでありました。しかし、彼の「黒人気取り」の演技にはゴウ先生は乗れません。『ドッジボール』の悩めるボーンが冴えています。悪ぶっても、ボーンはワルにはなれないのです。(拙文にてご確認ください。

さらに、LAレイカーズのコービー・ブライアントが出てきたり、エアロスミスのスティーブン・テイラーが出てきたり、あれこれ用意されているイジリにクスっと笑ったとしても、腹を抱えて笑い転げるところまではいきません。

それもこれも、トラボルタをあまりにカッコよく描きすぎているこの作品のコンセプトについていけなかったのかもしれません。ゴウ先生が見たかったのは、「カッコよくなれ(Be Cool)」という映画ではなく、「カッコよくなりすぎなさんな(Don't Be Too Cool)」という映画だった気がします。(あの『フォノミナン』の暖かさを思い出してください。)

皮肉なことに、よくCMなどで取り上げられる『パルプ・フィクション』以来のユマ・サーマンとのダンス・シーン。ゴウ先生は、こここそはもっとCoolに決めて欲しい気がしました。あのダンスの名手であるトラボルタがあの程度のものしか見せられないようでは、題名に偽りありということになります。残念でした。

というわけで、ゴウ先生ランキング:B-/C+

アメリカ大衆文化の最前線を知りたい方、上の文章に登場した俳優・歌手のファンの方には、1800円は高くないでしょう。しかし、そうではない方、安いチケットを金券屋で手に入れてから映画館に向かってください。

それにしても、トラボルタ、この映画の外でもCoolな男でした。

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トラボルタが自家用機で被災者に食糧5トン運ぶ (時事通信) - goo ニュース

2005年 9月 6日 (火) 12:20

【メテーリー(米ルイジアナ州)5日】大型ジェット機の操縦免許を持つことで知られる俳優のジョン・トラボルタさん(51)と妻の女優ケリー・プレストンさん(42)は5日、自家用ジェット機でハリケーン「カトリーナ」の被災者たちに食糧5トンを運んだ。夫妻はまた、救助隊員用に破傷風ワクチン400人分も持ってきた。(写真はニューオーリンズ近くの保安官事務所を訪れたトラボルタさん=中央=とプレストンさん=左)

トラボルタ夫妻はルイジアナ州の州都バトンルージュに食糧を届けたあと、洪水状態が続くニューオーリンズ市を見て回り、救助隊員を激励したり避難民用のシェルターを訪れた。トラボルタさんは、テレビ・トークショーの女王オプラ・ウィンフリーさんをまとめ役とする救援活動の一環として行動していると語った。トラボルタさんは「これは今日、我々がやるべき仕事だ」と語った。

歌手セリーヌ・ディオン、ラップ歌手のカニエ・ウェストさんらのスターたちは米政府の対応の遅れを厳しく非難したが、トラボルタさんは非難の合唱には加わらず、「良いところも悪いところも見た」と語った。〔AFP=時事〕

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さすが、トラボルタ、やることがでかすぎます。カッコよすぎます。やっぱり、トラボルタからは絶対に目を離せません。
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6 コメント

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かっこいい (エンペラー)
2005-09-07 20:00:22
 ジョン・トラボルタかっこよすぎですね。状況を見て即行動・・・素敵です。真似したいところです。これからも目を離さずトラボルタをチェックしていきます!
返信する
楽しかったです (TAGO)
2005-09-08 07:48:57
上映頂き誠にありがとうございました。



ブログを読ませて頂き、『ゲット・ショーティ』と『ソ\ードフィッシュ』も観てみたくなりました。



それにしても、ジョン・トラボルタは格好良すぎます。
返信する
素晴らしい対応です (BXL)
2005-09-08 08:36:31
残念ながら「Be Cool/ビー・クール」を拝見出来ませんでしたが、是非とも見てみようと思いました。



また、ジョン・トラボルタの対応を伺い、声高に政府を非難しているだけの芸能人とは一味違うと感じました。今後もジョン・トラボルタに注目していきたいです。
返信する
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2005-09-08 16:33:28
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こんばんは (えい)
2005-09-08 20:03:46
お久しぶりです。



TBありがとうございました。

『フェノミナン』懐かしいです。

僕もあの映画はとても好きでした。
返信する
TBありがとうございました! (nicoco)
2005-09-08 22:38:21
仰る通りですね!彼の出る作品に旬のアメリカの大衆文化を感じます!!!後ほどこちらからもTBさせていただきます。

重くて今の時間送信してくれないのです・・泣・・。

感想読めてよかったです♪又よらせてください♪
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