タバコの値上げに当たり、実に真っ当な社説を読売が書いてくれました。数ヶ月前に禁煙治療に関して書かれた毎日社説の態度とは雲泥の差です(2006年3月2日「毎日社説に物申す」を参照)。
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6月30日付・読売社説(2) (読売新聞) - goo ニュース
[たばこ値上げ]「日本の価格はまだ安すぎる」
日本のたばこはまだ安い。さらに大きく、値段を上げてもいいのではないか。
7月から、たばこの価格が値上げされる。今年度の税制改正で、たばこ税が1本当たり約1円、引き上げられたためだ。
20本入りなら増税の影響は20円だが、マイルドセブンなど人気銘柄は1箱30円の値上げが認可された。差額は、未成年者がたばこを自動販売機で買えないように改良する費用などに充てられる。
日本たばこ産業の製品は、多くが1箱300円になる。しかし、それでも欧米に比べると格段に安い。
各国の代表的な銘柄1箱の小売価格は、今年1月現在、イギリスが1045円、米国(ニューヨーク市)が774円、フランスが630円、ドイツは506円となっている。
欧米が高いのは、各国とも、たばこに超高率の税を課しているからだ。
イギリスは、価格のうち797円が税金だ。比較的安いドイツも税が390円を占める。これに対して日本は、増税後でも、300円の銘柄でたばこ税と消費税の合計が189円にしかならない。
増税をこれで終わらせず、ドイツ並みの1箱500円を目指してはどうか。
仮に、たばこの消費量が現状のままなら、国と地方を合わせて年間2兆円以上もの増収となる。
一方で、禁煙運動団体のアンケートに喫煙者のほぼ半数が「1箱500円まで上がれば禁煙する」と答えている。そうなった場合、税収は増えないものの、たばこが原因の肺気腫(きしゅ)や心筋梗塞(こうそく)などが減り、医療費の節減につながる。いずれにせよ悪くない話だ。
たばこ増税は、この10年間で3回目だが、いずれも1本1円程度の小幅な引き上げにとどまってきた。この間、税収はほぼ横ばいで推移し、たばこ消費量もさほど減ってはいない。
大幅な値上げは、未成年者の喫煙防止にもつながる。
たばこ業界は、未成年者が買えない自販機システムの開発に約800億円を投じる、という。成人には識別カードを発行し、全国の自販機を2008年までにカードが無いと動かないものにする。さらに1箱500円なら、未成年者は今より手を出しにくくなるだろう。
歳出・歳入一体改革では、医療など社会保障費をどう抑制するか、それでも伸びる分の財源をどう確保するか、という点が難問として横たわっている。
たばこ税の大胆な引き上げは、医療費抑制の面からも、財源確保の面からも、得るものが大きい。
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ゴウ先生、タバコと縁を切ることを薦める「離煙派」ではありますが、スモーカーのタバコを吸う個人的権利を阻害しようとは思っていません。ゆえに、愛煙家の方には離煙派に迷惑をかけないように楽しんでもらえればと願っています。
しかし、国家的視野で見れば、本当はこうしたスモーカーに優しい態度ではいけないのかもしれません。離煙派に迷惑をかけない形でタバコを吸ってもらっても(そんなことは事実上不可能なのですが)、スモーカー自身が様々な病気になると、離煙派の人間にまで財政上の負担が押し寄せるのですから。
ならば、タバコを吸う人が自分で責任を取れるような額にタバコ税をするのが一番なのです。
こうした真っ当なことをこれまで大新聞はあまり書いてきませんでした。いまや一私企業になっているはずのJTやスモーカーの有権者に媚びを売る政治家に配慮し過ぎてていたとしかいいようがありません。タバコは健康に悪いので吸いすぎに注意しましょうとお茶を濁していただけなのです。
それが上の読売の社説のように、堂々と正論を吐いてくれるようになりました。時代は少しずつ変ってきています。国会議員の皆さんには、真剣にタバコ税の大幅アップを立法化することを期待したいものです。
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6月30日付・読売社説(2) (読売新聞) - goo ニュース
[たばこ値上げ]「日本の価格はまだ安すぎる」
日本のたばこはまだ安い。さらに大きく、値段を上げてもいいのではないか。
7月から、たばこの価格が値上げされる。今年度の税制改正で、たばこ税が1本当たり約1円、引き上げられたためだ。
20本入りなら増税の影響は20円だが、マイルドセブンなど人気銘柄は1箱30円の値上げが認可された。差額は、未成年者がたばこを自動販売機で買えないように改良する費用などに充てられる。
日本たばこ産業の製品は、多くが1箱300円になる。しかし、それでも欧米に比べると格段に安い。
各国の代表的な銘柄1箱の小売価格は、今年1月現在、イギリスが1045円、米国(ニューヨーク市)が774円、フランスが630円、ドイツは506円となっている。
欧米が高いのは、各国とも、たばこに超高率の税を課しているからだ。
イギリスは、価格のうち797円が税金だ。比較的安いドイツも税が390円を占める。これに対して日本は、増税後でも、300円の銘柄でたばこ税と消費税の合計が189円にしかならない。
増税をこれで終わらせず、ドイツ並みの1箱500円を目指してはどうか。
仮に、たばこの消費量が現状のままなら、国と地方を合わせて年間2兆円以上もの増収となる。
一方で、禁煙運動団体のアンケートに喫煙者のほぼ半数が「1箱500円まで上がれば禁煙する」と答えている。そうなった場合、税収は増えないものの、たばこが原因の肺気腫(きしゅ)や心筋梗塞(こうそく)などが減り、医療費の節減につながる。いずれにせよ悪くない話だ。
たばこ増税は、この10年間で3回目だが、いずれも1本1円程度の小幅な引き上げにとどまってきた。この間、税収はほぼ横ばいで推移し、たばこ消費量もさほど減ってはいない。
大幅な値上げは、未成年者の喫煙防止にもつながる。
たばこ業界は、未成年者が買えない自販機システムの開発に約800億円を投じる、という。成人には識別カードを発行し、全国の自販機を2008年までにカードが無いと動かないものにする。さらに1箱500円なら、未成年者は今より手を出しにくくなるだろう。
歳出・歳入一体改革では、医療など社会保障費をどう抑制するか、それでも伸びる分の財源をどう確保するか、という点が難問として横たわっている。
たばこ税の大胆な引き上げは、医療費抑制の面からも、財源確保の面からも、得るものが大きい。
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ゴウ先生、タバコと縁を切ることを薦める「離煙派」ではありますが、スモーカーのタバコを吸う個人的権利を阻害しようとは思っていません。ゆえに、愛煙家の方には離煙派に迷惑をかけないように楽しんでもらえればと願っています。
しかし、国家的視野で見れば、本当はこうしたスモーカーに優しい態度ではいけないのかもしれません。離煙派に迷惑をかけない形でタバコを吸ってもらっても(そんなことは事実上不可能なのですが)、スモーカー自身が様々な病気になると、離煙派の人間にまで財政上の負担が押し寄せるのですから。
ならば、タバコを吸う人が自分で責任を取れるような額にタバコ税をするのが一番なのです。
こうした真っ当なことをこれまで大新聞はあまり書いてきませんでした。いまや一私企業になっているはずのJTやスモーカーの有権者に媚びを売る政治家に配慮し過ぎてていたとしかいいようがありません。タバコは健康に悪いので吸いすぎに注意しましょうとお茶を濁していただけなのです。
それが上の読売の社説のように、堂々と正論を吐いてくれるようになりました。時代は少しずつ変ってきています。国会議員の皆さんには、真剣にタバコ税の大幅アップを立法化することを期待したいものです。