
バンダイ
スチームボーイ
大友克洋氏が日本のアニメを世界レベルに押し上げた
功労者であることについては何の反論もない、
どころか大賛成である。
しかし、決して量産型ではない大友氏が8年という難産の果てに送り出した
「スチームボーイ」は、8年待たされたファンの期待を満たすには
不十分な作品であったと思っている。
「スチームボーイ」の興行成績が
あまり芳しくなかったことはその証でもあろう。
今回紹介するのは6月発売予定のPS2版である。
外丸達也氏や橋本敬史氏など、劇場版と同じスタッフが多数参加し、
声優陣も鈴木杏、小西真奈美など劇場版のキャストが名を連ねている。
ゲーム版のみのオリジナルエンディングを追加し、
大友氏がデザインしたオリジナルのボスキャラも登場するらしい。
劇場版の動員数85万人、
先日発売されたDVDの初回出荷数16万本などから
バンダイが弾き出した目標本数は30万本。
ゲーム版は劇場版とほぼ同じシナリオが展開し、
スチーム城のマップも同じにしてあるらしい。
劇場版のスタッフの「こだわり」が随所に見られるのはいいのだが、
どう考えても難点と思われる部分まで
「こだわり」を優先されるのははっきり言って困る。
このソフトは視点変更が妙なことになっており、
普通ここまで歩くと別の視点に切り替わるはず、
という所まで来ても視点が変わらない。
例えば画面奥から手前に歩いてくる場面があるとする。
画面の一番下、つまり一番手前にドアがある場合、
普通ドアに近づいたあたりでドアを正面にした
視点へと変更されるはずなのだが、それがされないのだ。
このソフトは、ここでアイテムを拾ってそこのバルブを開け、
あのドアからこの通路に抜けてどこそこを目指す、
という風にフラグ立てが厳しく、
スチーム城内をあっちこっち移動させられるだけに、
画面には映ってないが実は物陰にドアがある、
というようなマップはトラップにしかならない。
こういう場面が何ヶ所か見受けられたので、
「視点変更は出来ないのか」と聞いたところ、
「この角度から見たこの絵、という部分にこだわりがあるらしく、
敢えて視点変更が出来ない仕様にしてある」
との答えが返ってきたのだが、これはどう考えてもおかしいだろう。
遊び手にストレスを与える「こだわり」など何の価値もない。
相手がどんなビッグネームであろうと、
ゲーム性を損なってまで優先されるべき美意識など無いと思う。
また、マップにそれだけのこだわりを見せる割には、
最大のキモである「スチームボール」の威力が
ドラえもんの「くうき砲」程度なのは何故なのか。
スチームボールは蒸気の圧力を高密度に圧縮した革命的な発明品であり
それを手に入れんと国が動くほどの物のはずだ。
ジェット噴射として使用すれば
簡単に制御出来ないほどのパワーで飛び上がり、
武器として使用すれば
バランスがなってないと思うほど簡単に敵を吹き飛ばせてこそ
スチームボールではないのか。
この程度だとジャイアンに「ドカン」とか言われたら負けるぞ。
ゲーム中ではスチームボールをパワーアップさせる
アイテムも出てくるらしいので、
私がプレイした状態がまだ初期段階だったのかも知れないが、
絵の角度にこだわる前に「スチームボールが最初は弱い」という
設定がおかしいと誰も思わなかったのだろうか。
スチームボールの威力は最初から最強にしておき、
それを操るレイ(主人公)をパワーアップさせた方が
スマートだったように思うのだが・・・
ターゲットの年齢からしても、
いっそのこと「.hack」や「GUNSLINGER GIRL」のように
「DVD+PS2用ソフト」というパッケージで発売した方が
良かったのではとも思うが、
劇場版があの結果ではそれも無理な話か。
*当BLOGでの新作紹介は、
1:あくまでも開発途中のROMを使ってのプレイであること。
2:数分のプレイによる第一印象に過ぎないこと。
3:発売までに内容変更の可能性もあること。
を予めお断りしておく。
簡単に言えば、「あまりあてにしないでくれ」ということだ。
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タイトル:スチームボーイ/STEAM BOY
機種:PS2
メーカー:バンダイ
発売日:2005年6月9日
価格:7140円(税込み)
公式サイト:http://www.steamboy-game.com/
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