忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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ビューティーコロシアム処理された「電車男」

2005年05月31日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


東宝
電車男 スタンダード・エディション

きっと制作者側の頭には
「いくら感動の実話でも、リアルなオタクが主人公では客は呼べん」
という意識がかなり強くあったのだろう。
2ちゃんねるから生まれた話題の「電車男」は、
「ナースのお仕事」「女子アナ」などの脚本を手掛けた金子ありさと
「ラストクリスマス」「東京湾景」の村上正典を監督に迎え、
とどめには主題歌にORANGE RANGEと、
「セカチュー」「いま会い」の流れの客を呼び込むために
ファンタジックなアレンジを多数施し、
汗臭さも油っぽさも排除した綺麗綺麗な恋愛映画に仕上げられていた。
エンドロール後の臆面もないドラマ版PRに至るまで、
全編コレまさに「フジテレビ制作の映画」である。

電車男の全てのやり取りが匿名掲示板上でのものである以上、
電車男を応援する人達は一切登場させない方が良かったのではないか。
それでは間が持たないということなのかも知れないが、
掲示板でのやり取り(文字)だけを頼りに奔走する主人公、
という図式が崩れてしまった本作からは、
「電車男」の持つ「名も無き者達のグルーブ感」が失われてしまっている。

恋人を失ったらしき看護婦や会話の少ない夫婦、
引き蘢りの青年やマンガ喫茶で日々を過ごす3人のオタクなど、
様々な背景を持つ人物が登場するのだが、
割とまともな女性陣に対し、男性陣は奇人ばかりであり、
しかもその奇人を演じているのが
山田孝之(電車男)、瑛太(引き蘢り)、岡田義徳(オタク)と、
表面上の汚れをとってしまえば男前ばかりというのも
冒頭の「リアルなオタクでは客は呼べん」という意識の表れであろう。
ちなみに舞台版も現在制作進行中だが、
舞台版の主人公は武田真治が演じるらしい。
ドラマ版の主人公は伊藤淳史(チビノリダー)なのだが、
個人的にはこれぐらいが一番しっくり来る。
映画版の山田孝之や舞台版の武田真治からは、
劇場版「銀河鉄道999」の
妙にカッコ良過ぎる鉄郎のような違和感を感じるのだ。

とは言え、山田孝之は秋葉原な香りの漂う青年をきっちり演じており、
「ウォーターボーイズ」から比べずいぶんと太ったことも
役柄的にはプラスに働いていたと思う。
中谷美紀は「嫌われ松子の一生」を前に軽くひと仕事、という感じだが、
化粧品のCMに出ている時のような
イメージ重視のアプローチがうまくはまっている。

全体的に即席仕上げな感は否めないが、
ベタなラブストーリーが好きな方は暇つぶしに良いと思う。
年間数本程度、売れ筋の映画だけ観るという方なら文句無しにお勧めだ。
DVD化された頃には既に旬が終わってそうな題材なので
興味があるなら是非劇場で。
「電車男」だけに乗り遅れると面白さ半減だ。
お、うまくまとまった。



ポニーキャニオン
電車男 DVD-BOX



ポニーキャニオン
電車男DX ~最後の聖戦~



ポニーキャニオン
電車男 舞台版

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:電車男
    配給:東宝
   公開日:2005年6月4日
    監督:村上正典
    出演:山田孝之、中谷美紀、瑛太
 公式サイト:http://www.nifty.com/denshaotoko/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


コメント (13)
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