岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)
(2)「何十・何百のかけ算とわり算」(p12~13)の補足
0を取るだの、つけるだの、そんなとってつけたようなテクニックを子どもに暗記させても、一利はあっても九十九害あり。ほとんどの子どもは計算嫌いになるよ。
どうやれば計算が楽しくなるのか。
偽ドラえもんは何かを隠しているようだ。
足し算は、繰上りになると、引き算をする。引き算でも足し算をする。掛け算は足し算に戻る。割り算は引き算に戻る。また、掛け算もする。
こういう関係を無視しようと、偽ドラえもんは頑張っているようだ。その理由は不明。
偽のび太が「オ、90÷30は、わられる数にも、わる数にも0がひとつずつあるよ?」(p13)と泣きそうな顔をして質問する。偽ドラえもんは答える。「90円と30円、と考えれば、十円玉9まいと3まいでしょ? つまり90÷30は、9÷3と同じ計算と考えることができるんだよ」(p13)
昭和かよ? のび太は昭和だけど。令和の子どもが小銭で遊ぶのだろうか。
〈90から30は何回引けるか〉というふうに考えるべきだ。そして、〈30×□=90〉という式を作る。そして、□に適当な数を入れてみる。
偽ジャイアンが「カ、70÷20は、7÷2と考えて、答えは3あまり1でいいの?」(p13)と不満そうに質問する。偽ドラえもんは答える。「70円と20円と考えれば、十円玉7まい÷2まいで答えは、「3まいあまり1まい」でしょ? 十円玉1まいは、1円じゃなく10円だよね」(p13)
説明になっていない。
〈70から20は何回引けるか〉というふうに考えるべきだ。そして、〈20×□=70〉という式を作る。〈20×3=60〉とやってから、〈70-60=10〉と続ける。別の解答もありうる。〈20×4=80〉とやってから、〈80-70=10〉と続ける。この場合、「あまり」ではなくて〈不足〉だ。
「あまり」を答えるのは算数のマナーであり、日常生活では不足も問題になる。そのことをちゃんとわかってから、〈不足ではなく「あまり」を答える〉というマナーを覚えるべきだ。
こうしたことは「あまりを1と考えるわり算の式」(『1~3年生』(p72~73)のところで指摘しておけばよかった。
(続)