『冬のソナタ』を読む
「愛しているから」(上p233~249)
2 『美女と野獣』
「吹雪(ふぶき)」(p243)の夜。二人は山頂のレストランに閉じ込められる。
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ところが、ベルはほんとうに驚いてしまいました! 野獣の姿は消えてなくなり、今はもう、ベルの足もとに横たわっていたのは、「愛の神(アムール)」よりももっともっとハンサムな、ひとりの王子の姿だけでした。そして王子は、自分にかけられた魔法をといていただいてありがとう、とベルに感謝するのでした。この王子の美しさがベルの目をひいたことはもちろんでしたが、そんなことはおかまいなく、ベルはどうしても、王子に、あの野獣はどこへ姿を消したのですか、と尋ねずにはいられませんでした。
「あなたの足もとにおりますよ」と王子が申しました。「意地悪な仙女(せんにょ)がおりましてね、ぼくがあんな姿になるように、むりやりぼくに言い渡したんですよ、ただ、だれか美しいお嬢さんがぼくと結婚するのを承諾するまでということでしたがね、そればかりではないんです、ぼくは自分の頭を働かせてもいけない、といって禁じられていたんです。そんなわけで、この世の中に、ぼくの性質の良さがわかってくれるほど、心のりっぱなひとはあなたひとりしかいなかったんです。たとえぼくの王冠をあなたにさし上げても、まだまだ、ぼくがあなたに受けたご恩を返しきれないくらいです」
(ボーモン夫人『美女と野獣』)
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ミニョンが野獣、ユジンがベル、ミヒが仙女で、野獣の城は吹雪のレストランだろう。
(終)