ヒルネボウ

笑ってもいいかなあ? 笑うしかないとも。
本ブログは、一部の人にとって、愉快な表現が含まれています。

岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)(2)

2024-03-25 22:40:18 | 学習

   岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(2)「何十・何百のかけ算とわり算」(p12~13)の補足

0を取るだの、つけるだの、そんなとってつけたようなテクニックを子どもに暗記させても、一利はあっても九十九害あり。ほとんどの子どもは計算嫌いになるよ。

どうやれば計算が楽しくなるのか。

偽ドラえもんは何かを隠しているようだ。

足し算は、繰上りになると、引き算をする。引き算でも足し算をする。掛け算は足し算に戻る。割り算は引き算に戻る。また、掛け算もする。

こういう関係を無視しようと、偽ドラえもんは頑張っているようだ。その理由は不明。

偽のび太が「オ、90÷30は、わられる数にも、わる数にも0がひとつずつあるよ?」(p13)と泣きそうな顔をして質問する。偽ドラえもんは答える。「90円と30円、と考えれば、十円玉9まいと3まいでしょ? つまり90÷30は、9÷3と同じ計算と考えることができるんだよ」(p13)

昭和かよ? のび太は昭和だけど。令和の子どもが小銭で遊ぶのだろうか。

〈90から30は何回引けるか〉というふうに考えるべきだ。そして、〈30×□=90〉という式を作る。そして、□に適当な数を入れてみる。

偽ジャイアンが「カ、70÷20は、7÷2と考えて、答えは3あまり1でいいの?」(p13)と不満そうに質問する。偽ドラえもんは答える。「70円と20円と考えれば、十円玉7まい÷2まいで答えは、「3まいあまり1まい」でしょ? 十円玉1まいは、1円じゃなく10円だよね」(p13)

説明になっていない。

〈70から20は何回引けるか〉というふうに考えるべきだ。そして、〈20×□=70〉という式を作る。〈20×3=60〉とやってから、〈70-60=10〉と続ける。別の解答もありうる。〈20×4=80〉とやってから、〈80-70=10〉と続ける。この場合、「あまり」ではなくて〈不足〉だ。

「あまり」を答えるのは算数のマナーであり、日常生活では不足も問題になる。そのことをちゃんとわかってから、〈不足ではなく「あまり」を答える〉というマナーを覚えるべきだ。

こうしたことは「あまりを1と考えるわり算の式」(『1~3年生』(p72~73)のところで指摘しておけばよかった。

(続)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

笑うしかない友 ~フランケンシュタイン

2024-03-25 00:12:59 | エッセイ

   笑うしかない友

    ~フランケンシュタイン

ニンゲンガクサルって、どういうこと? 

人間は猿の仲間ってことだね。

猿じゃなくて、腐るんだよ。

腐乱死体か。

いやいや、死体じゃない。

フランケンシュタインの怪物は腐乱してないな。

死体から作ったけど。

生ける屍? 

死に体? 

五体不満足? 

寝たきり? 

腸が腐るとは言うね。

性根が腐るとも言う。

味噌が腐るとも言うか。

じゃあ、脳味噌が腐るんだ。

脳生理学者なら、何か知ってるかも。

脳整理がクシャクシャ? 

マッド・サイエンティストだろうか。

(終)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)(1)

2024-03-24 00:22:58 | 学習

   岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略    改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(1)「何十・何百のかけ算とわり算」(p12~13)

割り算は難しいぞ。

「エの300÷5は、300の0を1つだけ取って、30÷5で計算するのよ。30÷5=6で、0を1つつければ300÷5=60だわ」

(p12)

偽静香の言う「取って」や「つければ」は怪しい。

彼女の「取って」は「600÷200なら、0を2つずつ取って6÷2=3と計算できる」(p13)の「取って」と混同しそうだ。また、彼女の「つければ」は「何十・何百のわり算であまりが出たときは、計算しやすいように取った0を、あまりだけにつける(答えはそのまま)」(p13)の「つける」と混同しそうだ。

(続)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漫画の思い出 花輪和一(16) 『護法童子・巻之(一)』(双葉社)

2024-03-22 23:35:38 | 評論

   漫画の思い出

    花輪和一(16)

    『護法童子・巻之(一)』(双葉社)

「旅之四 気の巻」

死んだ父のせいで娘は「―気―」が奪われそうになる。彼女は「鬼娘」の後裔。

もとの中国の字は气で、人の呼気したがって人の呼吸をあらわす。そこから生命力とか活動の根源とかいう意味がでてくる。人の体内にある勢、力を気というのもそこからでている。しかしそれはおおむね生理的な意味がつよく、心的な意味にもちいられる場合も、つねに生理的な意味が付加されている。道家方面で養気といわれる場合も長寿をたもつ目的が考えられ、孟子は「浩然の気」を説いて、宇宙に充満するほど広大なものを考えているが、気はやはり「体にみちたもの」であり「志に支配される」性質のものであった。それは人の肉体ではないが、人の肉体を考えずに独立させられるものでもない。人の肉体内にある勢とか力とかいうものである。そこに魂すなわち人の霊に結びつく要素がある。肉体は失われても魂はのこるという考えのなかには、やはりその魂がその肉体のなかにあったことが条件になっている。かかる意味にもちいられていた気は、山川などの自然物のうちに感じられる霊的なものまでそのなかにふくむようになった。やがてこのような気が陰陽とか五行とかいう系統にまとめられていった。そして宇宙構成の説明にもちいられていくのであるが、それと物質との関係はつねに持続されている。

(『哲学事典』「気」)

「気」のような何か、たとえば印象や直観などは誰でも経験しているはずだ。人間は、いや、生物は、植物を含め、「気」のような何かによって生かされている。だが、人間の場合、これに頼り過ぎると妄想的になる。妄想を体系化すると宗教になる。逆に、「気」のような何かを押し殺すと、冷血漢になる。あるいは、考える自分と感じる自分に人格が分裂する。「気」のような何かは、扱いが難しい。

護法童子は、娘の「―気―」を奪おうとする僧侶と闘い続ける。

死んだ父は、無害な父の隠喩だ。彼女の「―気―」は〈孝心〉の隠喩だろう。だが、そうした表現にはなっていない。作者は父性愛を許容しようと企んでいる。父性愛の許容は、母性愛の否認の裏返しらしい。よくわからない。

(16終)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漫画の思い出 花輪和一(15) 『護法童子・巻之(一)』(双葉社)

2024-03-21 22:49:25 | 評論

   漫画の思い出

    花輪和一(15)

    『護法童子・巻之(一)』(双葉社)

「旅の弐 鬼娘の巻」

継子いじめが主題だが、一捻りしてある。

継子いじめ譚は世界的にもみられ、継子が女子である場合が多いことから、成女式という通過儀礼(イニシエーション)を反映するものとも解釈されている。

(『日本歴史大事典』「継子いじめ譚」)

成女式の後、平凡な話なら、女は夫に出会うことになりそうだ。ところが、この作品では、ヒロインは「実の父」に会う。「実の父」と偽悪者の義父は、隠喩としては同一人物だ。作者は、毒親を美化しようとしているらしい。

Ⅰ 母と息子の和解

Ⅱ 父と娘の和解

Ⅲ 親と子の和解

「鬼娘」では、Ⅱが成り立つ。

〈Ⅲが成り立てば、ⅠもⅡも成り立つ〉というのは真実だ。しかし、〈Ⅱが成り立てばⅢも成り立つ〉というのは虚偽だ。Ⅱが成り立っても、Ⅰが成り立つとは限らない。

作者は、真実の物語と虚偽の物語に二股を掛けているらしい。つまり、〈Ⅰの可能性は小さい〉という主題と〈Ⅰの可能性はありうる〉という主題の両方を同時に成り立たせようと思っているらしい。

「鬼娘」では、護法童子の出番がない。Ⅱの物語に奇蹟は不要だからだ。

 

「旅之参 鬼神の巻」

護法童子は、「鬼神」と闘うために、暢気な老婆に化ける。その理由は、作品論的には不明。作者は、女性化することによってしか物語を紡ぐことができなかったようだ。

「鬼娘」は〈父と娘の物語〉だったから、和解は実現した。一方、「鬼神」は〈母と息子の物語〉なので、和解は実現しない。そういう大きな縛りがあるのだろう。この縛りは、作品内部の世界の縛り、常識とか風習などではない。作者は自縄自縛に陥っている。護法童子と鬼神たちの大袈裟な闘いは、作者の葛藤の表出だろう。

真の悪役は「鬼神」ではなく、その毒母だった。解放されるのは、息子ではなく、毒母の犠牲となった「神々や精霊たち」だ。意味不明。

隠蔽された教訓は〈毒母に虐待された息子は超人にならねば安らぎを得られない〉などだろうか。

(15終)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする