とーびょうヲヂさんの好きなマンガたち

元うつ病&現パーキンソン病(笑)のヲヂさんの好きなマンガと闘病(豆苗ではない)記録を徒然に書き綴ってます

のら/入江紀子

2009年05月10日 17時28分26秒 | マンガ現在完了
このマンガを見かけたのは
広島市のはずれの小さな書店でした。
ちょうど
竹書房から単行本の第1巻が出てところで
たまたま平積みになっていたその装丁の美しさに惹かれて買いました。

あ、やられた

それが最初の印象です。

小さい頃からマンガ好きの私も
多分に漏れず
少年時代には
マンガを書きたいと思っていました。
あいにく絵が下手で、
友達が上手に描くのを横目で見ながら
マンガ家になるのは諦めたのでした。
いまならヘタウマのマンガもたくさんありますが、
私の描きたかったのは
ストーリーマンガだったので
それなりの絵を描かねばならなかったのです。

ところが往生際の悪い私は
マンガの原作のようなものを
毎晩寝る前に
寝床の中で思索し続けていたのです。

その中で、ひとつのアイデアがあり、
それは、中学生くらいの少女が
ひとり旅を続け
あちこちの学園を渡り歩くというものでした。
古いマンガのパターンと言えばそうなんですが、
野宿を繰り返し、橋の下を住まいにして学校に通う
なんていうのは、
普通の家に育った私にはかなり斬新なアイデアだったんです。
そして
旅先の学校で色々な人たちと知り合い、
そして
別れて、旅立つ。
それは、
とても新鮮なおはなしで、
私にはとても気に入っていました。

このパターンはSFも考えたのですが、
どちらにしろ
少女が活躍するパターンは
私の中では何種類も生まれていきました。

そして「のら」。
やられました。
きれいな絵柄、タッチも柔らかく、
それ以上に、飄々としたのらのキャラクターが
私に大きな衝撃を与えたのです。
しかも、
ちょっと性的な匂いもありながら、
それを感じさせない純粋な心、
達観した目。
何もかもが新鮮で、私の思索を超えたものでした。
所詮、私は少年マンガの原作を考えていたに過ぎず
レディスコミックで人気を博する入江紀子とは差がありすぎました。

「のら」は
作者が書いている通り
あちこちの雑誌に描かれていた関係上
初期の作品は、個々の関連が希薄で
全体を見ると支離滅裂な印象を受けないわけではありません。
それでも
一貫してのらの純朴さと卓越した世界観が
私を惹きつけて止みません。

「私の名前を呼んで下さい」
これは
淋しくないよ
淋しくなんかないよ
といい続けているのらの
淋しさの表れなのでしょうか。
そして、
みんな、心の中に淋しさを持っている人は
きっとこの言葉が心に響くのではないでしょうか。



☆のら(全3巻)/入江紀子/バンブーコミックス(竹書房)
☆のら完全版(全3巻)/入江紀子/アスペクトコミックス(エンターブレイン)

△お勧め年代:風の声が聞こえる人たち向け



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