旧軍に兵站という考えはなかった。
全くと言っていい。
食いものは現地調達ということ。
だから大陸侵攻で農家から食料を略奪。
挙句は若い子女を慰み者にする。
それができない者は腰抜けとあざけられる。
今回駆り出して読んだこの本。
先の大戦でミッドウェーとともに悲惨さを語られるガダルカナル島に置ける凄惨な戦いだ。
登場する人物は所謂赤紙で招集された兵士でない。
ガダルカナルに飛行場を建設するために徴用された一般人である。
上陸するときに持参した食糧だけで生き続けた。
もちろん餓死した兵士は数知れない。
徴用されたものも例外ではない。
何とか生還できた人物が著者に送った手紙には一言「死にぞこない」と。
戦後生まれの著者にとってそれが何を意味するかどうしても理解できないと。
この著者も数多の戦記をよんでこの本を描き上げた。
そこに出てくるのは凄惨な事実ばかりであると。
戦時について書いた著者が言うように戦死でなくほとんどがが市であると。
そこにあるのは日本軍特有の「兵站」という考えのなさだ。
アメリカ軍はそのあたりよく理解している。
だから、どんな豪華な戦艦よりも輸送船を狙い撃ちして沈めた。
当然、輸送船だから航空機に対する高射砲などあるはずもなく相手戦艦と渡り合える装備もない。
航空機からの魚雷をくらえば海の藻屑となるのは必然。
どんな優秀な兵員であっても食いものがなければ力の発揮のしようもない。
10年ほど前に書かれた一冊。
具体的な戦場の酷さはないが旧軍のいい加減さと「死にぞこない」といわせる教育のありように
抑えようのない腹立たしさを覚える。