NHK放送。
資本主義が終わるのか、経済成長はこの先あるのかといった問題について専門家の見方も交えて解き明かす。
アメリカにおいて1%の人間が99%の富を独占している。
と、言われて久しい。
ヨーロッパにおいても少子化が進み、経済が堅調と言われているドイツなども成長率が鈍化。
イギリスにおいては若年層のホームレスが増えつつあるという。
アダム・スミスは国富論において経済は神の手により秩序だてられる、と書いた。
しかし、当時とは比べ物にならない速度で経済が発展を遂げた。
G7に対してブリクスと呼ばれる、ブラジル・ロシア・インド・中国などが経済成長の旗手といわれた。
それらの国もわずかの間に成長が鈍化。
AI(人工知能)が次代の救世主のように言われ、現に、いち早くAIを手にした企業が急成長を遂げた。
しかし、いつか誰かがAIを進化させると次々に成長産業として君臨するだろう。
そして、世界中でAIが普及すると成長はやはり鈍化する。
それほど今の時代の速度は早くなっている。
イギリスにおいて産業革命が起こったころとは比べ物にならないくらいの速度で情報がネットワークを
通じて瞬時に世界を駆けまわる。
現在の世界で共通しているのは格差の広がりである。
アメリカを例として出したが、日本でも同じことが言える。
番組でも言っていたが、企業において儲けた分内部留保という形でため込む。
消費者が先行き不透明な中で節約志向になるのと同じで企業もため込みの度合いを強める。
政府がいくら声を涸らしても通じない。
公定歩合をどんどん下げてついにはマイナス。
資本主義という言葉が具体的にどういう意味合いを持つのか。
社会主義という言葉もかつては使われた。
社会主義が崩壊したというが、旧ソ連や東欧の枠組みは社会主義でも何でもない。
定義づけるなら、資本主義が崩壊した後に社会主義という時代が来る。
ただ、何年何月から社会主義だとならないことは当然のことである。
この、腐敗した社会、企業による不正が度々起こり、格差が際限なく広がる。
この矛盾を解き明かす手段を残念ながら誰ももたない。もちろん神の手に委ねられることもできない。
情報伝達の手段としての各種端末。
次々と新型機種を市場に展開している。
それが人間の日々の営みにどれほど役に立っているのだろうか。
ただ、新しいものが欲しいという人間の欲望に付け込む企業の戦略だけでは。
株と為替取引が今の時代の経済のすべてになっている。
実体のない空間でのやり取り。
大統領選挙でどの候補が何を言ったかで株価が激変する。
コンピューターが判断した基準で株価も為替も自動的に売買を完了させる。
そこに人間の意思はもはや入り込むことなどできない。
数年前になるが単位を間違えて入力したため莫大な損失をだした。
すでに、気づかないでいるだけで、子供がゲーム感覚で仮想通貨で遊んでいるのと変わらない。
だがそれが世界経済に大きな影響を及ぼす。
あるトレーダーが罪に問われた。
損失を隠すために架空の取引による利益をでっち上げた結果であった。
この先、同様の手口が次々に出てくるだろう。
既に、日本でも大企業において決算を粉飾し経営者の座を追われた。
マネーワールド。あと二回放送される。
本質に迫れるかどうか。資本主義経済は崖っぷちに立っている。
天からロープが降りて来ようとしているが果たしてそれが見えるか。
見えたとしてそれを手繰り寄せ違う景色を見ることができるかどうか。
人類に課せられた試練と言っても過言ではないだろう。