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思ひ草

2011-10-09 | 日記





    道の辺の 尾花が下の 思ひ草

             今さらさらに 何をか思はむ 
   (万葉集 巻10-2270)

 
(道ばたの尾花の下に咲いている思い草のように思い悩んでいる私の恋。いや、いまさら何を思い悩んだりしようか)


「尾花」とはススキのことで
下向きに咲く「思ひ草」は恋に悩む私の姿。
いまさら、何を思い悩むものか、あなたのことだけ思っています。

と、なんてステキな歌」なのでしょうね


       


思ひ草は 『ナンバンギセル(ハマウツボ科)』 のことで
ススキやミョウガ、サトウキビなどの根に寄生する一年草です

その形から、物思いにしずんだ人の姿や、ひたむきな恋にたとえられます






思ひ草は万葉集には一首しかありませんが
ススキの根にひっそりと咲く小さな花に
想いをこめて詠む万葉人の感性には
思わず感嘆の声をあげてしまいます