じざいや的日常~きものがたり~着物が織りなす素敵な物語  

元町の着物屋・じざいやの紹介と着物で過ごす日々のこと。
犬猫や食べもののことなぞも織り交ぜて。

郡上紬の魅力

2010-10-04 17:47:32 | 紬の着物

雑誌や 着物好きエッセイなどで

名前は良くきくけど 実際にはなかなかお目に掛かれない、という紬が

いくつかありますね。

白鷹お召し、郡上紬、ざざんざ織・・・・

どれも じざいやにありますが

中でも 郡上紬は 真綿系紬好きさんには たまらない魅力のある紬です。

紬で初めて人間国宝になった故 宗廣力三氏が創始した郡上紬は

シンプルな縞や格子柄から出発しましたが

次第に緻密な図案をもとに経緯絣を加えた、新たな意匠へと発展していきました。

それは、斜め格子から水文、立湧文、丸文、半円つなぎ文

ととどまることなく複雑に展開する一方で

色は静かな単色の濃淡へと抑制されていきます。

現在の郡上紬は 偶然性や絵画性、華美な装飾性とは無縁の

必要な色と織りを厳密に求めた結果ですが

整然性に富み、謙虚で飽きのこない作品とっなっています。

画像では あまり分からないのですが

実際に見て まず驚くのが 糸質の良さから来る

内からの光沢です。

綸子等の光沢とは違い、糸そのもの持つ光沢です。

厳選された春繭の糸は 国内では希少になってしまい

今では 限られた作家さんのみに手渡される糸です。

その糸を丁寧に染める。

独特の染めは 括っては染め、解いてはまた括り、別の色に染める。

一見 単純な縞・格子に見えたものが



緯糸をたどって行くと 知らぬ間に別の色になっている不思議。

ただの縞・格子ではなく 絣ゆえのマジックです。

絵絣や意匠絣ではなく

単純なのに 深みと力があるのは

それだけ手間隙をかけているから。

藍や草木で深くしっかりとした色に染められた郡上紬は

土っぽさを感じさせるほどの素朴で力強い紬ですが

いざ 帯を乗せてみると 包容力のある優しさを見せます。

そして まとった時の暖かな軽さ!

真綿をそのまままとっているかのようです。

好きな方は 何枚も持っている、というのが納得できる着心地です。

現在、染めているのは

力三氏の息子である陽介さん。

そして織るのは 陽介さんのほか、80歳を越えたおばぁちゃま3人です。

年々 織り上がる速度も遅くなっています・・・

画像では伝えきれない 美しさと力強さ。

じざいやに 郡上に会いにいらしてください。

 

 


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