昨日の続きです。
次に質問事項3.町教育行政と震災遺構についての(1)来春町内で再開する小・中学校について、ご質問いたします。
教育委員会は、町立小・中学校の在り方の適正化を図るための基本的な事項について検討するために、「浪江町町立小中学校に係る検討委員会」を設置し、昨年10月末に同委員会に諮問しました。今年2月末、同委員会より、帰町後の町立学校の在り方に関する事項として、(1)浪江東中学校校舎を活用して再開する学校は新設校として、小・中学校を1つの校舎に集約して学校を再開すべきである(2)浪江町で学校が再開した場合でも避難先の浪江小学校・津島小学校・浪江中学校をそれぞれ避難先で継続すべきである(3)平成29年以降の2~3年の間は、現在臨時休業中の請戸、幾世橋、苅野、大堀の4小学校と浪江東、津島の2中学校は、臨時休業の措置を継続すべきである、などの答申がなされましたが、教育委員会ではこの答申を受け、どのような方策を検討されているか、お伺いいたします。
➡教育長=ご質問にお答えいたします。浪江町立小中学校に係る検討委員会からの答申を受けまして、教育委員会では3月28日の定例会におきましては、投信内容を最大限尊重して、その実現に努めることが望ましいとし、今後の基本方針として決定したところでございます。さらに、同じ日に開催しました浪江町総合教育会議においても今後の浪江町立小中学校のあり方に関しまして、答申の基本事項に基づく方向性を確認したところでございます。具体的な取り組みでございますが、浪江東中学校の校舎を改修して平成30年4月を目標に小中学校を新設することにつきましては、この度学校づくりの具体的な内容について協議する浪江町学校教育復興推進会議を立ち上げました。そこでの意見などを今後魅力的な学校づくりに活かしていくことにしております。また、避難先の浪江小学校、津島小学校、浪江中学校の継続に関しましては、児童・生徒減少に対応する様々な工夫をさらに重ねまして、教育の充実に努めておるところでございます。また、臨時休業校の継続につきましては、その必要性と意義につきまして、県教育委員会、あるいは当該校の教職員に理解と協力を求め、特に校長にはこれまでもそうでしたが、施設等の管理業務に加えまして学校の歴史や文化を今後に引き継ぐための作業などに取り組んでもらっているところでございます。
次に、(2)のいじめ対策について、ご質問いたします。
福島第一原発事故で横浜市に自主避難した生徒が避難者であることを理由に、いじめを受けていたと報道がなされた後、避難児童・生徒に対するいじめが深刻化しています。福島第一原発事故で福島県から県内外に避難した児童・生徒に対するいじめが、今年3月までに199件あったことが文部科学省の調査で分かりました。うち13件を東日本大震災や原発事故に関連するいじめと認定しました。
そこで、県内外の「なみえっ子」1259名のいじめの実態把握をしているのか、お伺いいたします。また、いじめからどう守るのか、ご所見をお伺いいたします。
➡教育長=お答えいたします。県内外の避難先でのなみえっ子のいじめの実態把握についてでございますが、避難先での生活が長くなっておりますことから、避難元の浪江町からいじめに特化して広く調査を行うことは難しくなっております。現在、町の後方や町立学校事務局のホームページなどでいじめについての相談を呼び掛けているところでございます。これに応じた形での相談は寄せられておりませんが、近くに浪江町での学校再開に関する意向調査を実施する予定でおりますので、それに合わせて全国規模でのいじめに関する調査を行うことにしてございます。また、児童・生徒をいじめから守る方策としましては、避難先再開校ではお互いを大切にする教育をこれまで通り、力の入れることに加えまして、県内での区域外就学の児童・生徒につきましては、各地の学校で兼務をしている教職員などからの情報を毎月掌握し、必要な対応に努めているところでございます。これらを含めたすべて児童・生徒につきましては、先に説明いたしましたけれども、相談の呼びかけ、そして今回の新たな調査で何らかの兆候や情報などをつかまえましたならば、就学先の学校の理解と協力をいただきながら、問題解決に努めてまいります。
次に、(3)の震災遺構について、ご質問いたします。
請戸小学校は、大津波被害にあったもののすべての児童、教職員は全員避難し無事でした。まさに「請戸小学校の奇跡」といっても過言ではありません。津波の脅威や教訓を伝えるために被害にあった請戸小学校を震災遺構として整備すべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
➡教育長=お答えいたします。請戸小学校の児童と教職員の全員が無事に避難できましたことは、適切な判断と指導で児童を守り通しました教職員、落ち着いて助け合いながら行動しました児童、そして危険を避ける逃げ道をいち早く教えてくださった地域の方、そして疲れ切った児童と教職員を運んでくださったトラックの運転手さんなど、このことに係わるすべての人々の思いと行動がうまくかみ合って成し遂げれたものでございまして、実にありがたいことで請戸小学校の大切な歴史でもあるとこんなふうに思ってございます。教育委員会としましては、請戸小学校を津波の脅威と教訓とを後世に伝える震災遺構として整備することは、意義があると考えておりますが、地域の復興や周辺整備との関係があります。何より地元の皆さんのお考えなどをお聞きすることも大切ですので、これらを踏まえながら今後検討してまいりたいとこんなふうに考えております。
再質問いたします。
資料1(*)をご覧ください。これは、富岡町3月定例会において制定された「富岡町震災遺産保全等に関する条例」です。このように、震災遺産を保全・管理・活用し、地域及び住民に及ぼした様々な影響や教訓を発信することで風化の防止と町再生・復興に富岡町は取り組んでいます。ぜひ、富岡町を参考に条例を作り、議会に提案し、もし可決されたなら早急に請戸小学校を震災遺構として認定してはいかがでしょうか、答弁を求めます。
*資料1は、富岡町ホームページの例規集を開き、「富岡町震災遺産保全等に関する条例」と検索すればみることができます。
➡教育長=再質問にお答えいたします。ただいまはお示しいただきました富岡町震災遺産保全等に関する条例は、東日本大震災と原子力災害の風化防止、それから町の再生復興に係わるものとして、今後の私どもにとっても大変参考になるものをいただいたと考えてございます。実は浪江町におきましても震災遺産認定という形はとっておりませんけれども、すでに震災の記録と教訓を後世に残すための取り組みは進めてございます。いずれにしましても、請戸小学校の取り扱いにつきましては、大きな眼目の一つになるものと認識しております。富岡町でのさらに詳細な状況とか、それから震災遺産に関しましても、他のいろんな事例がございますので、そういったことについてもさらに研究をしまして、浪江町にとっての望ましい在り方について検討してまいりたいと考えてございます。
以上が、今回行った一般質問の内容です。9月議会は、決算議会とも言われます。決算書を十分に精査したいと思いますので、今のところ一般質問は予定しておりません。