なんというか、手作り感あふれる論文を見つけました。
「女子大学生における、骨密度と筋肉量の増加・脂肪量減少のための自宅でのサーキットトレーニングの有用性」という論文。
大阪の梅花女子大のTakahata先生の単著です。
41名の女子大生 (18.5 ± 0.6 歳)を対象とし、トレーニングを行う群と行わない群に分け、運動実施群には3ヶ月の間、自宅でのサーキットトレーニングを行ってもらったとのことです。そして開始時、2ヶ月後、3ヶ月後に、超音波法によって踵骨の骨量を測定。
サーキットトレーニングについては、
この先生がチョイスしたいくつかの有酸素・無酸素運動
(無酸素運動は腹筋、スクワット、腕立て伏せ、 カーフレイズ、ヒップレイズ、有酸素運動はステップエアロビクス、シャドーボクシング、ジョギング)を組み合わせ、
一つの運動を30秒ずつ行って次に移るというトレーニングを計5分3セット、1週間に3日以上行いましょう!・・というものであったようです。
なお、超音波による骨評価法では、機器によって算出される指数が違うことがありますが、今回の測定では
超音波伝搬速度(speed of sound: SOS):骨量が多い骨では高くなる
超音波減衰係数(broadband ultrasound attenuation: BUA):骨密度の高い骨で大きくなる
そして、SOSとBUAから算出されるstiffnes index(QUS-SI)
・・の値を用いています。
その結果、
運動をした群(22名)では、
体脂肪率、BMI には変化なし(残念!?)。
BUAはちょっとだけ上昇(2ヶ月後:p = 0.033、3ヶ月後:p = 0.036)。SOSは2ヶ月後には有意差はないが、3ヶ月後の測定でやや上昇(p = 0.018)。QUS-SIには変化なし。
筋肉量はわずかに増加しており、SOS値と相関(p = 0.004)。体脂肪率はBUAと逆相関 (p = 0.043)? (体脂肪率は開始前27.3±4.70、 2ヶ月後27.4±4.75、3ヶ月後27.9±4.86ですから微妙か)
一方、運動をしなかった群(19名)では、
体重・BMIは変化なし。
体脂肪率・・開始前28.1±4.65、 2ヶ月後29.0±4.30、3ヶ月後29.1±4.61。うーんちょっと増えてますかね。で、筋肉量はわずかに減少。
しかしながら、stiffness index(SI)はわずかに上昇 (2ヶ月後:p = 0.002、3ヶ月後:p=0.002)。体脂肪率がSI と相関していたとのことです(p = 0.009)。ただしSOS,BUAには有意差なし。
ということで、
・女子大学生において、自宅でのサーキットトレーニングは、骨量と筋肉量を少し増加させ、体脂肪率を改善した
・今回の結果では、運動をした群でもしていなかった群でも、超音波法の骨量の指数は上昇していたが、その上昇の理由はそれぞれの群で異なっていた(運動しなかった群では、体脂肪率の増加が骨量増加に関係していた)
という考察になっています。
比較的少人数で短期間ではあり、さらに検討を加えることが必要であるとは思いますが、自宅でのトレーニングを続けることができれば、女子大生にありがちな骨量減少(特に、ダイエットをしている学生さん)を、少しでもくいとめることができるかもしれませんね。
・・と書いたところで思ったのですが、サーキットトレーニングの1サイクルごとに推しの映像を見るとか、そういう女子大生仕様のトレーニングにしたら盛り上がるかな?? どうでしょう学生の皆さん?