散文的で抒情的な、わたくしの意見

大河ドラマ、歴史小説、戦国時代のお話が中心です。

西郷どん 江戸城無血開城  少しばかりの新しさ

2018年10月10日 | ドラマ
西郷どん  江戸城無血開城  少しばかりの新しさを書けば

1、徳川慶喜が戦術的には「勝てた」ということを勝海舟に言わせていた。

2、山岡鉄舟の働きをやや詳しく描いていた。

3、一応、村田蔵六(大村益次郎)の天才性に触れていた。

の3つぐらいかなと思います。

以下はたぶんすでに「常識」に近いと思うのですが、

江戸のもどってからも、徳川慶喜はその気になればいくらでも戦えました。箱根の関で官軍を迎え、そこを当時東洋最大の幕府海軍が砲撃する。もっと簡単に、官軍がいなくなったすきに大阪湾に幕府海軍を回し、士気が高く練度も高い兵士を「選抜」して大阪に上陸させる。そして京都を制圧する。

この作戦をとられたらどうにもならない。天皇をかついで逃げるしかない。官軍の作戦担当である村田蔵六ものちに、というより、江戸進軍の前に、その事態を想定し、「官軍はそれをやられたら勝てない」ことを認めています。

「勝てる戦をあえてしなかった」ということを、最近のドラマは描くことがありませんでした。それを描くと徳川慶喜の「偉さ」が際立ってしまうからです。「敵前逃亡をして会津を見捨てた卑怯な慶喜」というキャラと矛盾が生じてしまうためでしょう。

私はこのブログでも維新最大の功労者の一人は徳川慶喜そして村田蔵六と書いたことがあります。司馬遼太郎さんの「受け売り」ですが、僕自身実際にそう考えています。

「あ、少数意見でもないのだな」と、西郷どんを見ていて感じました。

それにしても「西郷どん」というドラマの「つまらなさ」は何なのでしょう。「西郷を偉い人と思え」と命令されているようで不快です。それは視聴者が考えることです。

村田蔵六も登場しました。が、いきなり「戦争を知らない君らに戦争を教えましょう」とか言ってました。まあそれぐらいのことは言いそうな人ですが、それでは「天才的な戦術家」というナレーションと矛盾してしまいます。なんでいきなり薩摩を敵に回すのか。ドラマでは何故か薩摩武士は怒りませんでしたが、「いくさを知らない」なんて言ったら、薩摩武士はその場で剣を抜くでしょう。「戦術の天才」なら「いきなり」そんなこと言うわけありません。

かつての大河「花神」でも同じようなセリフは言っています。ただし海江田(後に村田の暗殺を唆した人物)が、あまりに騒ぐので、「アンタはいくさを知らん」と制しただけです。「仕方なく」言ったのです。

西郷どんのこぶ平(正蔵)のように、部屋に入ってくるなり喧嘩を売り、しかも薩摩人が誰も怒らない、なんて非現実的なシーン見せられても、「そんなバカな」と思うだけです。それにしてもなんで村田役がこぶ平さんなんだろ。

いろいろ「新説」を採用しようとしたり、重要人物もそれなりに登場させてはいるのですが、全体として「残念」としか言いようがないドラマです。



ドラマ「The Good Fight」と「パーソンオブインタレスト」のエリズベスタシオニ

2018年10月10日 | ドラマ
「The Good Fight」は米国の法廷ドラマです。CBS制作。

おそらく最初は「女の戦い」を描くつもりで制作に着手されたと思います。ヒラリーが大統領になると考えていたからです。ところがトランプになってしまった。それで「余計に面白くなった」気がします。つまり「露骨な反トランプドラマ」になっているからです。シーズン1は金融詐欺がメインテーマですが、シーズン2の終わりでは、「いかにトランプを倒すか、しかも今度の中間選挙で倒すか」がメインテーマになっています。「それとなく匂わせている」というものではなく、完全にトランプ打倒がドラマのテーマになっているのです。

それでも偏向的な政治性を感じないのは、つまりは「常識的なドラマ」であるからでしょう。トランプ政権打倒は「世界の常識」だからそれほど違和感を感じません。法律ものですから暴力的に打倒しようとするわけでもありません。テロ賛美も当然全くありません。

もっとも主人公の女性ロックハートは、シーズン2の終わりでは随分と「過激」になって、「綺麗ごとではトランプは倒せない。むこうがウソをつくなら、こっちもウソで対抗しないといけない」と考えるにいたります。ちなみに直接トランプと戦うわけではありません。トランプ的勢力、考え方と戦うのです。

日本では絶対に作れないドラマですが、シーズン3の制作も決定したようです。たぶん反トランプドラマなんて多すぎて、政権もいちいち圧力をかけてもいられないのでしょう。

それにトランプには「キリスト教福音派」という「恐ろしい岩盤支持層」がいます。私はトランプ自身よりこっちの「福音派」のほうがずっと恐ろしいと思うのですが、それについてはまた他で書きます。4つの福音書は対立的な関係にあるとか、そもそも全部筆写だから聖書のオリジナルは絶対に確定できないとか、そういう「聖書学の常識」が全く通用しない人たちです。トランプ自身は、大統領になるまで、この「福音派」のことはあまり知らなかったようです。まあ4つが対立的というのは常識とは言えませんが、日本語版を読むだけでも、4つの福音書の内容に「大きな違い」があることは明確です。あの滅茶苦茶なトランプ政権がなかなか倒れないのはこの「キリスト教福音派」という人々の「責任」です。

さて

この「グッドファイト」はドラマ「グッドワイフ」のスピンオフということになっています。出演者も重なります。「グッドワイフ」も法廷もので、シーズン4ぐらいまでは面白かったのですが、だんだんと主人公のアリシアが嫌な女になっていき、主人公の一人が意味なく死んだり(ドラマ上です)とドラマも迷走して、シーズン7で終わります。誰も幸福にならないという変な終わり方をするドラマです。グッドワイフの後半に比べたら、「グッドファイト」は「戦う対象と意味」が明確なので、ずっと理解しやすく、面白いドラマになっていると感じます。

当初はエリズベスタシオニが主人公という情報もあったようですが、結局はロックハートとルッカが主人公になっています。あとマイヤ(影が薄い)。エリズベス・タシオニが主人公の一人だったら、さらに面白くなっていたでしょう。

エリズベス・タシオニなんて書いてもドラマを見ていない方は全く分からないでしょうが、見ている方はすぐに分かります。あの赤毛の「天才過ぎる変人」弁護士です。主人公ではないけれども、グッドワイフにもグッドファイトにも出ています。NCISのアビーシュートにも匹敵するようなキャラです。

お名前はキャーリープレストンという方のようです。で、調べると「パーソンオブインタレスト」にも出演しています。さぞ「面白い犯罪者」として登場しているとおもいきや、フィンチの「思い出の人」です。というわけで、シーズン5の最終話を確かめてみました。間違いなく出演しています。いつも絵を描いているあの静かな「フィンチが愛する想い出の人」です。最後の最後にフィンチが帰っていく女性でもあります。間違いなく彼女です。あの赤毛も同じです。エリズベス・タシオニ。実生活ではフィンチ役のエマーソンさんとは本当の夫婦のようです。いろいろ驚きです。