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「ボイス 110緊急指令室」・最終回感想・韓国版「ボイス」

2019年09月23日 | ボイス
韓国版「ボイス」と題名をつけてますが、韓国版が「原作」で日本版がリメイクです。

さて、最終回。真犯人に襲われて(原作では襲われるように仕向けて)、哀れみの目で犯人を見つめる女性警察官(真木よう子・イハナ)。ここで際立つのはイハナの美しさです。はかなさと可憐さを持っています。真木よう子には「儚さも可憐さ」もありません。滑舌以前に、彼女はミスキャストだと思います。もっともイハナは整形だという声もあります。しかし、よく見るとイハナは「実はそんなに美しくはない」のです。書いていることが、めちゃくちゃですが、そんなに美しくない素材が美しく見える。表情の演技がうまいからかなと思います。

キャストが難しかっただろうとは思います。特にイハナ役は難しい。日本版で、唯一韓国版に匹敵するのは、犯人役の伊勢谷さんだけです。

唐沢さんが名優なのは認めますが、50代後半では、体のキレが必要となるこの役は難しかったと思います。韓国版のチャン・ヒョクさんは42ですし、アクション時代劇にも出てますから、体のキレが違います。

チャン・ヒョクさんは「根の深い木」の準主役で、つまり「ハンジ村のトルボク」で、この作品でしか知りませんが、強烈な印象を残す人です。いい役者だと思います。

韓国版はたしかケーブルテレビですが、それでも「気合の入った作り方」であり、日本版のユルユルな感じとはだいぶ違います。

犯人役の伊勢谷さんだけは原作に匹敵、と書きましたが、実はそれもどうかなと。伊勢谷さんは「サイコ感がありすぎる」気もします。韓国版のキム・ジェウクは「一見正常にも見える」のです。それだけに余計怖い。ちなみにキム・ジェウクさんは日本に住んでいたので「ネイティブ並に日本語が話せる」そうです。

こういう感想は「私だけ」かと思ったのですが、ネットを見ると、韓国版を見た人の感想はほぼ同じです。指摘点もほぼ同じです。ちなみにカット割なんかも凝っていて、日本版の平板なカット割とはだいぶ違います。

さて最終回の最後。伊勢谷さんは父である伊武さんに刺されて死にます。

韓国版のよく分からない「犯人の最後」を分かりやすく改変しています。韓国版では「幻想シーン的」で、精神病院の患者と「なぜか医師」に殺されるわけです。

見ていてここは唯一脚本意図がわからなかった点です。そこを日本版は分かりやすくしています。もっとも伊武さんが刺した時点で警官が入るはずで、「警官までじっと傍観」はありえないわけですが。

なんだろな。企画も含めて日本のTVは「なんかドラマをやらないといけないから作る」って感じでしょうか。

韓国版は「TVドラマだけど社会に訴える」という気合があって、それはしばしば「空回り」していますが、それでも「表現したい」というスタッフの情念は感じるわけです。

日本のネットユーザーも「韓国版が上」と口を揃えています。盲目的な嫌韓はそもそも韓国ドラマは見ないでしょうが、見た人間は「良いものは良い」と認める感性は失っていないわけです。

ネットでの日本ユーザーの「韓国版が上」という感想をみて、少しほっとしました。文句ばっか書いてますが、日本版も唐沢さんのセリフ回しはよかったと思います。