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「六龍が飛ぶ」「根の深い木」 チョンドジョンと李氏朝鮮

2018年08月26日 | ドラマ
李氏朝鮮は一般には朝鮮王朝と呼ばれます。1392年ですから、14世紀の末、に建国されました。日本は室町時代です。鎌倉幕府の滅亡は1333年です。

教科書的には李成桂という将軍が建国したことになっています。別にそれは間違いではありません。僕はずっと「りせいけい」と読んできましたが、最近は朝鮮王朝時代劇をよく見るので「りせいけい」とは言いません。「イソンゲ」です。この「イ」というのが朝鮮王家の名字です。

イソンゲ将軍が朝鮮王朝を作ったというのは、疑いようもない史実なんですが、「実質的に作ったのは誰か」となると少し変わってきます。

実質的に作った人物はおそらく二人いて、イソンゲの「参謀」「頭脳」であったチョンドジョン、そして父親であるイソンゲから王権を奪い、チョンドジョンを殺した五男のイバンオンです。

「六龍が飛ぶ」というドラマはエンターテインメント性の強いドラマですが、史実もふんだんに盛り込まれており、李氏朝鮮の建国事情がよく分かる仕組みになっています。

もちろん「よく分かる」ためには、「史実部分」と「脚色部分」を分けて考えないといけないのですが、比較的簡単に見抜けるような気がします。

「六龍」とはこのドラマの主役です。まずチョンドジョンが先頭にいます。続いてイバンオンです。それとイソンゲ。あとは架空の人物で「民」です。剣士であるイバンジ、ムヒュル、そして女性のプニ。どうやらこの六人が「六龍」らしいのですが、まあ「チョンドジョン」と「イバンオン」の二人が主役でしょう。

チョンドジョンはキムミョンミンという人が演じていて、男の僕から見ても非常に「いい男」です。ハンサムなだけでなく品もあり、ダンディーです。

イバンオンを演じているのは、ユアインという人です。韓国では人気があるのでしょう。でもまあなんというか「えなりかずきの最高形態」みたいな顔をしています。

ユアインのイバンオンは韓国でも賛否があったようです。日本史で言えば「織田信長」のような人物です。やたら人を殺します。「力の政治」を行います。それが「えなりかずきの最高形態」ではちょっと「線が細い」というわけでしょう。また、主人公ですからどうしても美化されます。イバンオンの美化を許さない、という韓国の方も多いようです。

イバンオンは朝鮮の実質建国者ですが、「あばれ者」で「冷血」で、まあ「儒教道徳」からみればひどい人物です。親父から王権を奪うさいにも、幼い弟を二人殺しています。王になってからも「権力のある家臣」を次々殺します。

もっとも「六龍が飛ぶ」は建国段階で終わってますから、「功臣を次々殺すさま」はあまり描かれません。それどころかプニという女性との「長い愛」が描かれたりしており、かなり人間味のあるイバンオンになっています。といっても史実通り、建国段階においても次々人を殺しますが。

最近の韓国ドラマではどうもイバンオンよりチョンドジョンが高く評価されているように思えます。「歴史的には敗者」なんですが、「弟や義理の弟を次々殺したイバンオン」より「信念を貫いて死んだチョンドジョン」のほうが「朝鮮の建国者としてふさわしい」と思われているのかも知れません。朝鮮における民主主義の先達みたいな扱いを受けることさえもあります。

イバンオンの「乱世をおさめた力の政治」もそれなりに評価されてはいますが、「弟殺し」はどうも「いただけない」ようで、イバンオンの最高の功績は「三男を次の王にした」こととされることが多いようです。

ちなみにその三男とは「イド」で「世宗」です。朝鮮王朝最高の君主とされており「ハングルを作った」王様です。ドラマ「根の深い木」の主人公でもあります。






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1 コメント

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六龍と白い巨塔 (ピック)
2020-03-18 00:21:50
はじめまして
実は韓国ドラマ「私の国」をちょうど見終わり六龍とほぼ同じ時代のドラマなので、まだ見てない六龍を見ようかと色々検索していてこちらにたどり着きました。
「私の国」でのイバンウォンもおっしゃるとおり、幼い弟二人を殺し、父親から王権を奪い、ドラマ内でもそのあり方に疑問を呈する形で終わっていて、六龍の主役がユアインだと知ってイメージが違うなぁと感じていました。
実質的朝鮮建国者ということで英雄的なイメージで見始めたんですが、そうではない描き方でスッキリしない気持ちだったんですが、恐らく事実に近いのかもしれません。こちらのレビューを読んでバンウォンのことがよく分かりました。ありがとうございます😊

また「白い巨塔」の記事も少し読ませていただきました。たくさん記事を書いておられるのでまたゆっくり後日読ませていただきます。
なおチョンドジョン演じるキムミョンミン氏は、韓国版「白い巨塔」の財前役をやっています。
もしまだ御覧になってなければぜひ一度御覧になってみてください。唐沢版に劣らず素晴らしい作品ですよ。
私も唐沢版の大河内教授大好きです🎵
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