思っていたより用事が早く済んだので、更新が進められます~
よかったw
(本来「すぐやる課」なので、すぐできないか…なのがストレス
なのでしたw)
今回の記事では、私なりのこのライブでの「頂点」をご紹介したいと思います。
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…“Trouble loves me”が終わり、ロックのライブとは思えない
丁寧な言葉のバンドの紹介が入ります。
それにしても、マシュー紹介の時
“From Chicago, ‘Still Ill’inois’”
(スティル・イリノイ州のシカゴ出身)
と、「あいうえおじさん」的な小ネタはさむモリッシー(とてつもない言いたいだけ感)…
「オオサカ・ワイルド」とか「メタル・ペルー」とか、こういうの好きですな…
(私も好きなので親近感w)
メンバー紹介で、観客の皆さん、本当に心からの拍手を送っていました。
そりゃそうだ。。。演奏もさることながら、こんなに大変なおじさんのバンドで
いることにはご苦労も多いだろう!!でも、彼が思いっきり歌えるように、粛々と
力強くサポートしてくれるこの方たちがいるからこそ、このステージがあるのだ、と
思って私も拍手しまくりました。新ベースのマンド・ロペスも、なんか確実な職人のような
ベースで良かった。ソロモンのような「見せる」ベースではないけど、サウンドに安定感を
もたらしていました(でも、ソロモンのカムバックを諦められないけど!)。
そしてライブは中盤折り返し地点。気合の入ったモリッシーの「なうッ!!」という雄叫びとともに、
“Earth Is the Loneliest Planet”が始まりました。モリッシーの新譜を(ちゃんと)聞いて
いない同行者が「へっ、こんなに音フラメンコぽいの!?意外とモリ様の声に合うんだなあ~
渋いなあ~いいなあ~」と後から言っておりました。
アコーディオンの音色もスペインの懐かし感(行ったことないのに)。
They always blame you...you…you‼
のところを皆で合わせるのがやたら気持ちよかった。もはやロッキー・ホラー・ショウばりの
お約束の合いの手…。
そしてまるで運命が淡々と進むかのように“Neal Cassady Drops Dead”が始まり
ました。短いキラキラな夢からいきなり揺さぶり起こされるような始まり方が好きです。
この曲もフラメンコ感満載ですね。アグレッシブなボズのギターとフラメンコ・ギターの
コントラストがやたら気持ち良かった。
Victim?
Or Life's adventure?
Which of the two are you?
「被害者?それとも人生の冒険者?君はどっちだ?」
という問いを繰り返し歌う時、モリッシーは「懇願」しているようにも聞こえました。
もちろん「被害者」と思われてしまうくらい、向こう見ずで過激な「冒険者」好きなモリッシーが
欲しい答えは決まっています。
この歌のタイトルにもなっているニール・キャサディは1968年、裸でメキシコの線路上
でのたれ死んでいるのを発見されました。享楽的生きざまの鏡として神格化され、歌詞にも
出てくる同じくアメリカのビート・ジェネレーション仲間のアレン・ギンズバーグを始め様々な
文士に愛されていました。ジャック・ケルアックの『路上』の主人公ディーンのモデルです。
キャサディへのギンズバーグの愛は、友情を超えていたのかも…そのふたりの「関係」も
モリッシーの着目点でしょう。私はふたりのこの写真が好きです。
モリッシーの「ラップ」(と一部で揶揄されていましたがw)のようなラップではない、
ポエム・リーディングのような「踏んでる」歌詞が、ライブではよりナマモノのように
はじけまくっていました。
そして…生涯忘れることのできなくなりそうなモリッシーの笑い声を聞くことになります。
続く“Meat is murder”の前にこんなMCをしました。
"I was very interested to read in the couple days online about
how 75% of chicken sold as food in the UK is contaminated,
therefore poisonous - and I thought to myself
'ha ha ha ha'"
「2日前くらいからのオンラインの報道で、イギリスで食べ物として売られている75%の鶏肉が
汚染されている、つまり有毒でだというのを読んで、とても興味深く思った。そして心の中
で密かに思ったんだ。『ハハハハッ!!』」
この『ハハハハッ!!』、夢に出てきそうと思いました、衝撃でした。
調べたところ、11月27日に英食品基準庁が、英国で販売されている鶏肉のうち平均して約70%から
食中毒の原因となるカンピロバクター菌が検出されたとして、小売業者らに改善を求めたことがニュースに
なっていますね。同庁が冷蔵された丸鶏を対象に6か月かけて行った調査では、最高レベルのカンピロバクター菌
汚染が全体の18%で確認され、大手スーパーマーケットで同細菌を減らすための業界基準を満たしていたところ
は一つもなかったそう。カンピロバクター菌は加熱されることによって死滅するけれど、英国では毎年28万
人がこの菌によって食中毒となっている。。。
「ハハハハッ!だから言ってんじゃん!
ざまあみろ!!」
…ということなんでしょうけど。。。喜び過ぎw
毎年28万人死んでいるなんて、とんでもない事態!
しかしモリッシーのこんな笑い声、初めて聞きました。
ニュースでは平均して70%。75%とか、5%盛りッシーですね…
Youtubeで見つけたので笑い声、聞いてみてくださいw
MORRISSEY TALKS ABOUT CHICKENS INTO 'MEAT IS MURDER' @ 02 ARENA, LONDON 29.11.14
そのままここで、“Meat is murder”が聞けます。
私は今回のライブで色々なハイライトがあった、と思いましたが、ザ・ハイエストライトはこれだ、と思いました。
頂点。
モリッシーが本当に言いたいことは、これなんだ、と思いました。
真っ赤な血の海のようなスポットライトの中、
鬼のような形相で始まった。
“Kitchen aromas…they aren't very homely
They're not cozy, cheery and noce
It's sizzling blood
and the unholy stench of MURDER
It's not natural, normal or kind
The flesh you so fancifully fry
The meat in your mouth
Fuxxing MAC is MURDER”
「お台所の香り、ああ、気持ち悪い
『ほっこり』でも、楽しくもステキでもないんだよ
したたり落ちる血
殺戮の罪深い悪臭
自然なことでもないし普通じゃないし優しくもないんだよ
あんたの気まぐれお肉フライ
お口の中のその肉
糞マック
それも殺し」
レコードでもライブでも、今まで何度もこの曲を聞いてきました。
正直、「もういいかも…辛ひ…」と思うこともありました。
でも、このライブで観た、“Meat is murder”は、良かった。一番良かった。
極端なことを言えば、この歌を聞くだめだけでも、ここに来たのだと思った。
良かった、を超えていた。気迫は歌、というより唸り、うねり。
真っ赤な血の池地獄に会場もろともどっぷりつかり、映像で流れる動物たちの痛みわけの
儀式のようでした。モリッシーの迫力は鬼増し、もしやこのことを歌うためだけに、
数々の苦難を乗り越えて「歌手」を続けているのではないかと思うほどでした。
歌パートが終わると、怒りに震えたような後ろ姿で静かにマイクをスタンドに置き
動物殺戮映像が映し出されるスクリーンの方に向かい、頭の後ろに手を置きました。
それは、祭壇にさしだされる、無抵抗な生贄のようでありました。
眼鏡マシューの地獄の銅鑼が鳴り響き渡り始めてもそのままの
ポーズのモリッシー。バンド渾身の演奏と目を開けていられないほどの
ライティングの洪水、会場全体が断末魔の叫びに包まれます。
マシューがそこいら中を叩き始めて…この人何本腕あるの!?と思いました。
阿修羅のようでした。
うるさいのに静かなのです。
厳かな何かとコネクトしたかのよう…もうここがどこだかわかりません。
魂が口から抜けて上昇していきます。「どうにでもして」状態。
地獄には「落ちる」のではなくて「上がる」のかもしれません。
銅鑼の響きが終わると、ようやくモリッシーはステージ中央に戻ってきました。
まだスクリーン(祭壇)の方を見ている。いや、この物理的な空間を見ているわけじゃない
かも。「彼岸」というものを見上げている。人間によって殺戮された動物たちは成仏する
ことなどないのです。だからこの怒りの弔いの儀式を一生続けるのでしょう。
復讐と鎮魂。
モリッシーがやること、突き詰めれば、それだけなのかもしれない。
モリッシーは続く、私のレポートも続く…w