■家計負担年4万円増!「賃金増えない物価上昇」招いたアベノミクス
女性自身:2022/02/24
https://jisin.jp/life/living/2068465/
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内閣府は7日、国内経済の現状報告書「日本経済2021-2022」を発表した。
報告書によると、食料品の値上げや原油の高騰に伴うエネルギー価格の上昇で、令和3年の家計負担が前年比2万7,000~3万9,000円増える試算になるという。
年間約4万円の支出増を引き起こす“値上がり”はなぜ発生しているのだろうか。
「昨今の値上がりの大きな要因としては、石油など輸入している原材料の高騰があります」
こう話すのは、経済学者で法政大学教授の小黒一正さんだ。
たとえば輸入品、国内品とあらゆる品目の物価に関わる原油価格は、昨今、急上昇している。
「現在の原油の価格は1バレル90ドル前後。じつは、この価格自体は過去に比べればそれほど高いものではありません。’08年のリーマンショックのときには、原油価格は一時、150ドル近くまで上昇しました。さらに、’11~’14年の原油価格も100ドルほどあったのです」
しかし、当時の原油の高騰は、昨今のような“値上げ”にはつながらなかった。なぜなのか?
「当時は、為替相場が円高だったため、原油価格の上昇を吸収できていたのです。’12年の1月ごろまでは、1ドル80円くらいのときもありました。それが今は、円安により1ドルが116円ほどになってしまっているんです」
・円安が物価上昇を加速させている
つまり、現在の物価上昇には原油価格の上昇に加え、円安も関係しているというのだ。
次は、原油価格と為替レートが、日本円で石油を買うときにどれほどの影響を与えるかを試算したもの。
【原材料の高騰×円安→物価上昇!】
〈2020年〉1バレル:39ドル×1ドル:107円→1バレル:4,173円
〈2022年〉1バレル:83ドル×1ドル:115円→1バレル:9,545円
※2022年は原油価格は1月の価格、為替は2月9日の相場
原油価格が近年で最も低かった’20年当時と現在を比較すると、’20年には1バレルが4,173円で購入できていたのに、現在では9,545円、なんと2年前の2倍以上も支払わなければ買えないことになるのだ。
原油だけでなく、さまざまな原材料が高騰する現状に円安が追い打ちをかけることで、物の製造コストが著しく上がっている。その結果、ありとあらゆるものが値上げされる事態に陥っているのだ。
このように、輸入品の価格アップに拍車をかける現在の円安の原因は、アベノミクスにあるという。
’13年に安倍晋三首相(当時)が発表したアベノミクスでは、日銀が市場に大量のお金を投入する大規模な金融緩和が行われた。
その結果、円の価値が下がって、リーマンショック以降の円高が円安へと移行。アベノミクスを継承した岸田政権下では、円安と原料の高騰が重なり、物価上昇が加速しているのだ。
・日銀は物価上昇を止められない!
じつは欧米各国もコロナ禍の経済対策として、金融緩和を行ってきた。しかし、ここにきて各国は物価上昇の兆しが見えてきたために、緩和をやめて正常化を図る動きをとっている。
「物価を抑えるには、日銀も金融緩和をやめて、円安を食い止める必要があります。しかし、そのためには日銀は保有している国債を売却して、流通する円の量を減らさなければいけません。すると、国債の金利が上がってしまうので、日銀は踏み込めないのです」
日銀は10日、国債を無制限に買い入れて金利を抑制する“指値オペ”を行うことを発表した。むしろ、金利の上昇を抑えようとしているのだ。
「日本の政府は今、借金をたくさん抱えています。金利がほぼ0の今でさえ、約100兆円の歳出(国の一般会計)のうち10兆円が利払い費なんです。もし今、金融緩和をやめると長期金利が上昇し、国の財政は利息の支払いだけで手一杯に。日銀はそれを恐れているため、金融緩和をやめて、円安を食い止めることができないのです」
・賃金が増えない原因も「円安麻薬」に
さらに、一向に賃金が増えないこの20年間の元凶も、岸田政権に至る今日まで、日本政府が行ってきた“円安政策”にあるという。
「’00年から’20年までの間に、アメリカやイギリス、フランス、ドイツなどでは年間平均賃金が1.2倍程度になりました。隣国の韓国に至っては1.45倍も上昇。それに比べ日本は、わずか1.02倍になっただけです」
こう指摘するのは、経済学者で一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんだ。
「円安になれば、輸出企業の利益が何もしなくても増えます。1ドル100円のときに、100ドルのものを売ると、日本円では1万円の売り上げになります。それが、円安になって1ドル130円になれば、同じものを売っても、売り上げは1万3,000円に増える。これまで日本政府は、この“円安麻薬”に頼りきってきました。欧米や中国がIT化など技術革新を進める一方で、日本は鉄鋼などの製造業をそれまでの姿のまま円安政策で保護。それに甘んじて、必要な産業構造の変化や技術革新を行わずに、今日に至ってしまったのです」
もはや何もしなくても、経済が成長して豊かになっていくという時代は終わったということに、誰もが気づく必要があるのだ。
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家計負担年4万円増!「賃金増えない物価上昇」招いたアベノミクスの功罪
女性自身:2022/02/24
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