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■アベノミクスの大罪。「円安は国益」というインチキ金融政策3つのウソ まぐまぐニュース 2021.09.22

2022-06-29 04:48:15 | 日記

 

■アベノミクスの大罪。「円安は国益」というインチキ金融政策3つのウソ

まぐまぐニュース 2021.09.22

https://www.mag2.com/p/news/512098


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・アベノミクスの功罪、今こそ徹底議論を


20日(月)、遂に米国市場に弱気の波が押し寄せてきました。

表面的には、中国の不動産大手「恒大集団」の経営破綻懸念があり、これがダウも、NASDAQも売りを誘っているということになっています。


ですが、問題はそれだけでないという見方もあります。

アメリカは自国の「極端な金融緩和」について、改めて明確に出口戦略を模索し始めています。


これを株価が織り込むために、今回の「恒大ショック」を口実にしたという考え方が1つあります。

その一方で、デルタ株によるコロナ「(アメリカでの)第4波」が学童などの感染拡大や、ワクチン接種率の停滞などからなかなか押さえ込めない中で、国内経済への悲観論があるためだという説もあります。


いずれにしても、世界の経済環境はこれから厳しい状況を迎えるという可能性を覚悟しておかねばなりません。

といっても、リーマンショックのように、世界中が恐慌に陥るというわけではないと思います。


ただ、大きなものや中位のものなど様々な変化の波が押し寄せる変化の時代になるのだと思います。

今日の市場も、引けにかけては買いが入って、いました。


そんな中で、日本の場合は総裁選によって、自民党のリーダーシップに変化が生まれそうです。

特に、今回の4名の候補は、「脱清和会(細田派=昔の福田派)」という性格を持っていることから、事実上2012年末から始まった「アベノミクス」経済政策について、見直しがされることとなりそうです。


ということは、今後の政策論議を深めていくには、この9年間の「アベノミクス」について一旦総括をしておく必要があると思います。

ちなみに、アベノミクスというのは「3つの矢」から成り立っていますが、2番目の公共投資については、今後も恐らくはゼロにはならない中で個別の政策論に入らないと議論になりません。


また第3の問題である構造改革については、安倍政権自身が実は全くやる気がなく、結果的に菅から河野という流れの中でやっと問題提起がされた問題ですので、これも別に議論したいと思います。

問題は、「第1の矢」である金融緩和、特に円安誘導政策についてです。


今回はこの問題について考えてみたいと思います。

まず2012年の当時は、どうして「円高がダメであり、円安が必要なのか」という説明として、日本は輸出型の経済だから、円高だとドルで見たコストが高くなり不利、従って円安になれば輸出産業が潤うという「70年代以来の」説明がされていました。


ですが、結果的にこれはウソであり、この9年間を通じてずっとウソであったばかりか、そのウソがどんどん拡大したということが言えると思います。

この問題というのは、3つの悪質なウソから成り立っています。


1つは、確かに日本は輸出経済かもしれませんが、一番利幅の大きな「最終組み立て」の部分は、ほとんど国内に残っていません。

例えば、自動車の場合なら、日本国内にあるのはエンジン部品とか、電子部品のパーツなどの製造であり、これを中国に送って中国で大きな部品の塊に組み上げて、それを世界各地の市場に密接した最終組み立て工場で仕上げる流れです。


電子機器、例えば消費者向けに現在世界で最も重要視されている電子機器であるスマホの場合も、日本にあるのはスクリーンとか、アンテナとか、特殊な素子といった部品産業です。

その部品を中国に送り、中国で大量生産された製品が世界中に流れる構造です。


勿論、こうした部品産業はそれなりの規模はあります。ですが、日本企業の経営力や交渉力がないために、また自動車の場合は特に部品産業がピラミッドの底辺に位置付けられる構造もあって、とにかく利幅がありません。

自動車にしても、スマホにしても「利益を産む=付加価値を作る」部分というのは、国外に流れてしまっているのです。


ですから、円安になったからと言って、それで競争力が上がるとか、ガバガバ儲かるわけではないのです。

2つ目は、円安の結果が株高になる仕組みです。


これも、円安で輸出産業が儲かって株高になったというイメージがありますが、ウソです。

そうではなくて、例えば自動車産業がいい例ですが、国内市場が縮小する中で、日本発の多国籍企業の活躍の場は国外になっています。


自動車ですと台数ベースでの国内シェアというのは、各社とも10%前後かそれ以下です。つ

まり売り上げも利益もほとんど海外で発生します。


トヨタの場合、昔は「輸出自動車台数自主規制」というのがあり、それに引っかからないように国内で作って、アメリカに輸出していました。

ですから、台数を稼ぐカローラやカムリなどの普及価格の車はアメリカで現地生産するが、レクサスなどの高価格で利益の稼げる高級車は国内で作って輸出していたのです。


ですが、現在は、そのレクサスも北米向けのものはほとんどが北米生産になっています。

大型のSUVであるRX、中型セダンの売れ筋ESなどもそうであり、今は日本で作って輸出しているのは、ランクル(とそのレクサス版)とか、レクサスの最高級(で売れていない)LSと、今回リニューしたNXぐらいだと思います。


そんな中で、進行しているのがトヨタの場合は、「売り上げ」も「利益」もドルで発生するという現象です。

その場合に、円安になると、これを円に倒した際に大きく見えるというわけです。


さらに言えば、株価についてもニューヨークに上場しているので、アメリカでドルで株価が形成されるわけで、これを円に倒した場合に、円安だと株高になります。

ですから、ある意味では、円安だと株高になるのは当たり前の話であり、経済には特にマイナスの効果はありません。


けれども、プラス効果というのも、それほどではなく、日本から見た場合は、他国籍企業の中堅以上の給料が他の産業と比較すると高くなるとか、円で見れば株が高くなり、円だけで生きている個人投資家などが喜ぶ、あるいは売買差益を確保して消費に回るというようなものです。


もっと言えば、メリットといえばそのぐらいであり、別に「円安で株高」になったからといって、それでバラ色の経済になったとか、民主党政権時代の最悪な状態を脱したというわけではないのです。

要するに、ほとんどは「見かけ」の問題であり、そこにウソがあります。


3番目のウソは、大きな副作用があるということです。

本来のアベノミクスは、1番目の「円安誘導」に加えて、3番目の「構造改革」が伴っているはずでした。


ところが、円安というのは、構造改革の追い風にはならないどころか、改革が遅れてもいいという「改革サボリの許容」をしてしまうのです。


(中略)


安倍政権は、要するに「現状維持的な」層が岩盤支持層だったということもありますが、そもそも円安と構造改革の相性は悪いのです。


では、事務仕事だけでなく、イノベーションはどうかというと、ここで起きているのは「特殊な空洞化」です。

経営学の教科書に出てくる、「良く言うと国際分業」、「悪く言うと空洞化」というのは、基本的にはある経済圏が先進国入りして人件費が高くなると、大量生産の拠点を人件費の安い地域に移して利益を確保するというのが原則です。


これに加えて、市場の方が「自国の雇用を確保せよ」と言ってくる「うるさい」市場の場合は、そこで生産する必要が出てくるということがあります。

ですから、例えばトヨタの場合は、カローラのような廉価な製品はメキシコで安く作る方針ですし、一方でRAV4などの中ぐらいの価格で売れ筋の製品は「アメリカの国内産」として販売しています。


そこまでは理解できます。

ところが、トヨタの場合は「R&D(研究開発)」やデザイン開発などの機能、また、現在トヨタが社運をかけて取り組んでいる自動運転などAI技術の研究開発についても、アメリカなど国外に流出させています。


私は、これを「日本型の空洞化」つまり、ビジネスの流れの「川下(かわしも)」ではなく、「上流」の部分を日本国外に出すという独特の行動と定義づけています。

どうして、AIの開発などを国外に出しているのかというと、日本国内のITに関する環境が劣悪だと言うこともありますが、こうした種類の人材のコストは国際市場で決定する中で、日本ではそうした高い給料が払えないからです。


高度な人材は、年功序列制度に馴染まないと言うこともありますが、頑張って高い給料を用意しようとしても、円安になって国際水準より安く抑えられた日本の賃金体系には馴染みません。

ですから、そうした最先端の人材は国外に置いておいた方が「何かとうまくいく」ということになるわけです。


つまり円安はイノベーションを阻害しているとも言えるのです。


(中略)


もう一つ、補足をするのであれば、円安に振ると言うことは、日本企業が「買われるリスク」が高まったと言うことを意味します。


ですが、この間に、例えば米系のファンドや中国資本などによる、日本経済の基幹部分に関するショッキングな買収劇というのは起きませんでした。

これは、多国籍企業の場合はドルで価値が決まるので、円安による時価総額の低迷はなかったということがまずあります。


それ以外の日本国内の産業に関しては、投資収益性という点から、「買うべきもの」は残っていなかったということなのだと思います。

何とも寂しい話ですが。


さて、問題はこれからです。

思考実験として、金融緩和の出口を探る場合に、仮に円高に振れたらどうなるかを考えておかねばなりません。


以降は、皆さまの議論の材料として、箇条書きのメモで整理しておこうと思います。


(1)エナジー・ミックスの促進には、円高は追い風になる。まず化石燃料は安くなるが、比率を下げないと国際公約に反するので、円高で安くなるから化石燃料モクモクとはならない。その一方で、再生エネは設備のかなりが輸入になるので、円高が有利。


(2)金融改革を行なって、世界の資金を呼び込み、同時にシンガポールや香港に流れた市場や、アジア拠点機能を奪い返すには円高が有利。


(3)観光立国に関しては、確かに円高は全ての価格アップにつながるので不利。ただし、これ以上円安が続く中で、ポストコロナの国際人流が再開すると、日本への観光客の殺到は対応不能レベルになるので、円高の中でも来てくれて金を落としてくれる富裕層向けのビジネスに焦点を絞るという意味では良いかもしれない。そもそも、大卒50%の高い教育水準を誇る社会が観光立国などという絶望的な国策は、円安の大弊害ということもある。


(4)円高になれば、多国籍企業の日本本社は徹底した改革で「ホワイトカラーの生産性」向上に取り組むであろう。


(5)円高になれば、世界の一流の人材を集める「知恵の購買力」は高まる。


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アベノミクスの大罪。「円安は国益」というインチキ金融政策3つのウソ
まぐまぐニュース 2021.09.22
https://www.mag2.com/p/news/512098


■異次元緩和、円安が招く消費悪化リスク NIKKEI STYLE(日経新聞)2019/5/13 加藤出(東短リサーチ社長チーフエコノミスト)

2022-06-29 04:47:56 | 日記

 


■異次元緩和、円安が招く消費悪化リスク

NIKKEI STYLE(日経新聞)2019/5/13 加藤出(東短リサーチ社長チーフエコノミスト)

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO44558330Z00C19A5000000/


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日銀が異次元緩和を打ち出してから2019年4月で7年目に入った。

円相場は異次元緩和開始前の1ドル=95円程度から円安が進み、足元では110円前後で推移している。


日銀は公式には金融政策の目的は物価の安定であって為替相場ではないとの立場だが、大幅な金融緩和が結果的に円相場の下落につながることを意識しながら政策を運営しているといえるだろう。


こうした実質的な円安誘導策が輸出企業を中心に企業収益を支え日本株の上昇要因となった面はあるが、デメリットがあることも指摘しておきたい。

 

・変化した物価への意識


「消費動向調査」(内閣府)に物価の見通しを尋ねる質問がある。

「上昇する」との回答から「低下する」を差し引いたDIがグラフの赤い線である。


これをみると、16年秋以降上昇傾向が続いている。

同調査で「1年後の物価は上昇する」と回答した世帯に物価上昇率の予想を尋ね、上昇率ごとの回答比率をまとめた表をみてみよう。


16年8月から19年3月にかけて全般に数値が高い方向へシフトしているのが見てとれる。

年率2%のインフレ目標を達成するには人々のインフレ予想の上昇が不可欠と考えている日銀にとっては、これは喜ばしい変化といえる。


このインフレ予想の背景には、日銀の事実上の円安誘導による生活コストの上昇が存在していると考えられる。

国際通貨基金(IMF)が推計する購買力平価のドル円レートは18年が1ドル=98.14円で、19年は97.02円だ。


これは日米で物価がおおよそ同水準になる理論上の為替レートを示すが、近年の実際のレートは大幅な円安で推移してきたといえる。

これによる食品価格などの顕著な上昇の印象が、国民のインフレ予想に影響を及ぼしている。

 

・消費心理は振るわず


しかしながら前掲グラフの「消費者態度指数」(青い線)と「暮らし向き指数」(黄色い線)はここ最近悪化の一途をたどっている。


日銀はインフレ予想が高まれば国民は消費を拡大するはずと考えてきたが、皮肉なことに消費マインドは全く逆の動きを見せている。

収入の伸びが緩慢で家計の値上げ許容度が高まりにくい中で生活必需品の価格が円安などで上昇すると、それ以外の消費に節約が生じかねない。


これではインフレ率の上昇に弾みはつかないことになる。

変動が大きい生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価総合指数(コアコアCPI)の前年同月比は直近3カ月連続で0.4%にとどまっている。


2%のインフレ目標は相変わらず遠い状態だ。

政府は現時点で19年10月1日に消費税率を8%から10%へ引き上げる方針だ。


財政収支は人口減少と高齢化によって今後の大幅な悪化が予想されることを踏まえると、よほどの経済ショックがない限りは消費税率引き上げは延期せずに実施しておくべきだと筆者は考えている。

前回14年4月の引き上げ時は、その後に消費の悪化が長く続いた。


今回は前回ほどの打撃にはならないだろうという見方が一般的には多い。

主な理由としては(1)増税による家計の負担増をある程度和らげる措置が今回は用意されている、(2)駆け込み需要およびその反動は前回ほど大きくならない見通し、(3)前回は社会保障費負担の増加も重なっていた、などが挙げられている。


ただし、今後注意が必要なのが為替レートの動向だ。

黒田東彦・日銀総裁の異次元緩和策が開始される直前の13年3月を100とした物価水準の変化を示したグラフをみてみよう。


日銀が重視するコアコアCPIは14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた際、103前後に上昇した。

その後は非常に緩やかなペースの上昇が続いている。

 

・生活必需品の価格が上昇


一方で食料価格はコアコアCPIよりも早いペースで上昇し、14年秋に107近くに達した。

その後も上昇トレンドは続いている。


14年夏まではガソリン価格も顕著な上昇をみせていた。

つまり生活必需品が消費税率引き上げだけでなく、円安や原油価格上昇の影響も受けて急騰していたのである。


賃金の伸びが緩慢な中で生活コストが急上昇すると消費は強い打撃を受けやすい。

日銀の円安誘導は裏目に出たと考えられる。


リフレ派エコノミストは14年後半以降の原油価格下落がなければインフレ目標は達成されていた」とよく主張するが、仮に原油価格が低下していなかったら当時の消費はより悪化していたと推測される。

食料価格は最近、111~112近辺にある。コアコアCPIは105前後だ。


多くの生活者が実感してきたインフレはコアコアCPIが示しているものより高めに推移してきたといえるだろう。

米国の食料価格の推移と比べると、この6年間の日本の食料の値上げがいかに急だったかが実感できるだろう。


19年秋にかけてもし円安が進んだら、それによる生活コストの上昇が日本国民の消費マインドを萎縮させる可能性がある。

そこに10月の消費税率引き上げが重なると消費はさきに述べた一般的な想定よりも悪くなるリスクがある。


逆に円高方向に進んだら、株価の下落による逆資産効果で富裕層の消費は沈滞し得るものの、他方で大多数の消費者は生活コスト低下の恩恵を受ける可能性がある。

 

・加藤出
1965年生まれ。88年横浜国立大学経済学部卒、同年4月東京短資入社。短期市場のブローカーとエコノミストを兼務後、2002年2月に東短リサーチ取締役、13年2月より現職。マーケットの現場の視点から日銀、FRB、ECB、中国人民銀行などの金融政策を分析する。著書に「日銀、『出口』なし!」(朝日新聞出版、14年)など。


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異次元緩和、円安が招く消費悪化リスク
NIKKEI STYLE(日経新聞)2019/5/13 加藤出(東短リサーチ社長チーフエコノミスト)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO44558330Z00C19A5000000/


■企業業績悪化、商品値上げ、消費減退…「悪い円安」が日本経済を襲う Yahoo!ニュース 2021/12/8 週刊ポスト

2022-06-29 04:47:33 | 日記

 


■企業業績悪化、商品値上げ、消費減退…「悪い円安」が日本経済を襲う

Yahoo!ニュース 2021/12/8 週刊ポスト

https://news.yahoo.co.jp/articles/069fea62a531fcb618a7a34852de5b9c1e6eaa4e


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原油価格の高騰もあって、ガソリン代や日用品が値上がりしている。

賃金が上がらないなかで、物価が上昇すれば生活は苦しくなる一方だが、はたして、今後の日本経済はどうなるのか。

経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

 * * *

本稿執筆時点で、外国為替市場の円相場は1ドル=113円台後半の円安ドル高で推移している。

日経平均株価は3万円を割り込んだままで、日本国債の値下がりも進み、日本は円安・株安・債券安の「トリプル安」に見舞われている。


その一方で、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んで世界的に経済活動が再開したため、原油の需要が急拡大して原油価格が高騰し、欧米ではインフレ傾向が強い。

日本も円安が重なってエネルギー価格や原材料などの輸入品価格が上昇し、インフレになる可能性が高まっている。


周知の通り、日本銀行は2013年1月から2%の物価上昇率目標を実現するために大規模な金融緩和を続けているわけだが、これから怖いのは欧米との相対的な金利差でさらに円安が進み、インフレに歯止めがかからなくなることだ。


しかも、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が量的緩和の規模を縮小して2022年からゼロ金利を解除(利上げ)する方針を明らかにした。

アメリカの金利上昇は世界的な金利上昇につながるので、日本も利上げに踏み切らざるを得なくなるだろう。


金利上昇は、過去最高の1992兆円(2021年6月末時点)に膨らんでいる個人金融資産を消費に出動させるためには追い風となる。

しかし、世界の資金が米ドルに還流してアメリカのインフレが加速すれば、日本も国内需給とは関係なく、アメリカに誘発されたインフレになる。


それがコントロール不能な状況に陥ったら、国債を大量に抱え込んでいる日銀がインプロージョン(内部爆発)を起こしてジ・エンドだ。

その時は、公的年金積立金の50%を国内の債券と株式で運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も道連れである。


そもそも安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」とそれに呼応した日銀の黒田東彦総裁による異次元金融緩和の「アベクロバズーカ」は、円安とインフレを誘導するためだった。

つまり、円安で輸出産業が潤えば賃金が上がり、景気が良くなるという論理だった。


しかし、アベノミクスのスタートから9年が経過しても、そうはなっていない。

結果的に今は原材料の輸入コスト高による企業の業績悪化、商品の値上がり、家計へのシワ寄せ、消費減退など、円安のメリットよりデメリットのほうが大きい「悪い円安」になっている。


しかも、日本の賃金は20年以上にわたってほとんど上がっていない。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、日本の一般労働者の2020年の平均月給は30万7700円で、2001年からわずか1900円増えたにすぎない。


また、OECD(経済協力開発機構)の調査では、2020年の購買力平価ベースの平均年収は、日本が35か国中22位の3万8515ドル、韓国が19位の4万1960ドル、OECD平均が4万9165ドル、1位のアメリカが6万9392ドルである。

日本の平均年収は、韓国より約40万円、OECD平均より約120万円、アメリカより約350万円も低くなってしまったのだ。


安倍元首相は、在任中にアベノミクスの成果を強調して「今世紀に入って最も高い水準の賃上げを実現している」と繰り返し喧伝していた。

それに対して私は本連載で賃金の国際比較を示して何度も反論してきたが、結局、安倍元首相は自らの非を認めていない。


岸田文雄首相も基本的にアベノミクスを継承する方針だから、結果は同じだろう。

現在の円安は日本の国力が衰えていることの象徴である。


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企業業績悪化、商品値上げ、消費減退…「悪い円安」が日本経済を襲う
Yahoo!ニュース 2021/12/8 マネーポスト
https://news.yahoo.co.jp/articles/069fea62a531fcb618a7a34852de5b9c1e6eaa4e