日本・フランス・アメリカ 3つの国をくらべてみたら

アメリカでの生活を中心に、6年半暮らしたフランスや母国日本との違いに触れながら、気の向くままに書いていきます。

チーズの住人

2016-03-31 14:26:22 | 
私たちの住んでいるジュラ県は、フランシュ・コンテという地域圏に属している。地域圏とは、
日本で言うところの関東、九州、東北などの地方に相当する。

↓フランシュ・コンテの位置

このフランスの東に位置するフランシュ・コンテはフランスでも有数のチーズの産地。チーズの原料と
なる牛乳を生産するため沢山の牧場があり、フランスの中でもかなり田舎。

↓ ウチから見える山、モン・プペ(Mont Poupet)からの眺望(クリックで拡大)。緑の草原は放牧場。

ここで生産されるチーズは、実に様々な種類があるが、その中でも全国的に有名なのが”コンテ”と
呼ばれる直径60cm、高さ10cm、重量40kgの大きな円筒形のチーズ。

↓コンテ

熟成期間は4ヶ月から3年位までのものが市場に出回っており、古いものになるほど、固く、濃い味に
なり、噛んだ時にシャリシャリと旨み成分が結晶化しているのが感じられるようになる。しかし、
どの熟成期間のコンテを食べるかは全くの好みで、私は比較的若いものが好きだ。私が最初に食べた
コンテも比較的若いものだったが、薄味でロウソクのロウを食べているような感じがして、あまり
美味しいとも思わなかったが、食べ慣れてくると味がわかって美味しく感じられるようになった。

ところで、今日のタイトルの「チーズの住人」。チーズは発酵食品なので様々な微生物の働きによって
発酵が進み、味わいが生まれるのだが、長期熟成されたチーズの表面に「ダニ」が住んでいることは
フランス人もあまり知らない。しかし、アメリカではミモレット(Mimolette)というフランス産の
チーズが、ダニがいて不衛生であり、ダニによるアレルギーなどの危険性があるという理由で輸入
禁止になっている。

この話を初めて聞いたのは、フランスに来て1年目の語学学校の授業中だったが、その時は「へぇ」と
思った程度で、特に気にしなかった。ところが昨年の夏にコルシカ島に家族旅行に行った際、小さな
産直店でその辺りで作られているというチーズを買い、キャンプ場に戻っていざ食べようとした時、
包装紙やチーズの表面についたチーズ表面を覆う固い層の屑が、どうも小さな虫の脱皮した皮に見えて
仕方なかった。たまたま、小さな望遠鏡にアタッチメントを付けると顕微鏡になるものを持っていたので
それを使って見てみると、チーズの上をうごめくダニが大量にいたのだ。話に聞くのと、実際に見るのと
では受けるショックがだいぶ違い、一気に食欲を失った。

その後はチーズを買うたびに顕微鏡でダニがいるかをチェックするようになったが、白いカビに
覆われたカマンベールなどにはほとんどダニは見られないが、コンテのようなハードタイプの
チーズで、ある程度の熟成期間を超えたものには、ほとんど必ずと言っていいほどダニがいる事が
わかった。アメリカ人よ、ミモレットだけを輸入禁止にしても意味がないのだ。
しかし、ダニがいるのは、ホールチーズの表面のみ。多くの人はこの部分は食べる前にカットして
しまうので、ダニを食べるリスクはかなり減るし、チーズの歴史を考えると多少ダニを食べても
健康上問題はないのだろう。それでも、フランス人にこの顕微鏡でダニを見せると、「もうチーズを
食べたくない」という人も少なくない。
で、私はその後チーズを食べているかというと、食べ続けている。でも、前よりも綺麗に表面を
カットして、その屑がチーズについていないか十分に確認してから食べている。

↓ミモレットのダニのビデオ(Youtube)



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2 コメント

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びっくり (ポピパパ)
2016-04-01 10:58:10
ちょっとショッキングな動画ですね。
日本にも、蜂の子やイナゴの佃煮という、外国人が見たらビックリする食べ物がありますが、あれは調理済みですからまだしも、この住人たちはうごめいていますもんね。
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ポピパパさんへ (kanaemon)
2016-04-01 23:51:31
確かに日本にも奇怪な食べ物は沢山ありますが、ある程度の大きさがあるので、自分が"コレ"を食べているという自覚があります。しかし、チーズのダニは認知されていないのが恐ろしいですよね。しかもフランス人の中には、チーズの皮(表面?)を好んで食べる人もいます。
"寿司"はフランスでもかなりポピュラーな食べ物になっていて、生魚を食べることに抵抗を感じている人も少ない印象ですが、まさか自分たちが伝統的に生のダニを食べているとは思ってもいないのではないでしょうか。
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