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ゴッホが注目した浮世絵師・歌川広重の『神田明神曙之景』(安政4年)

2005-07-28 20:37:24 | 神田明神
050728ゴッホも注目した歌川広重。その広重が作った『名所江戸百景』のひとつ「神田明神曙之景」。現在、神田明神資料館に展示中のこの錦絵は、正月元旦の早朝、神職(しんしょく)と巫女さん、仕丁が東の空の明るくなっていくのを眺めている光景を描いたもの。江戸時代の神田明神は高台にあり、とても眺めがよく富士山や筑波山、遠くの海まで見えたらしいです。ですので、初日の出を拝んだりするスポットでもあったようです。

ところで、この錦絵は江戸時代の神田明神の神職さんと巫女さんを描いた数少ないものです。

現在の神田明神の神職は、宮司(ぐうじ)を筆頭に権宮司(ごんぐうじ)、禰宜(ねぎ)、権禰宜(ごんねぎ)にという役職があります。宮司が最も重い役職で神社の運営や神事の奉仕における最高責任者です。よく耳にする「神主(かんぬし)」という呼び方ですが、一般的に通用している言葉で「神職」よりも皆さんにはなじみがあると思います。ですが、その「神主」という呼び方、江戸時代の神田明神では一番偉い神職、今の宮司の役職を意味していた呼び名です。江戸時代の神田明神の神職は、神主、社家4家からなっていました。神主は芝崎家という家が代々奉仕していました。社家は神主の下で神事などに奉仕した家柄で、木村家、甫喜山家、早川家、月岡家の4つの家がつとめていました。

社家の木村家ですが、後の親類には歌舞伎の女形として大活躍されている坂東玉三郎さんがいるそうです。ちなみに、坂東玉三郎さんは、荒俣宏さん原作の神田明神が主な舞台となっている映画『帝都物語』で小説家・泉鏡花の役を演じていらっしゃいました。

そう言えば、今回の神田祭のDVD『神田祭大図鑑』の制作にたずさわっていただいた方の一人が『帝都物語』の撮影スタッフとして神田明神に来ていたと言っていました。「ずいぶん境内がかわってしまってビックリしました」とおっしゃっていました。


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