朝早く出かけるとき、よくNHKのラジオを聴く。そこで特に耳を傾けるようになったものがある。〈その日の天気〉の解説だ。女性「気象予報士」による言葉に独特の味があり、その日の天気の様子を、俳句や川柳と同じように「五七五」にまとめている。今朝の一句は、
この土日、寒い寒気も受験する
「この土日」とは、明日18日とあさって19日を指している。「受験」とは、両日に行われる平成26年度の「センター試験」を意味する。
気象予報士の名前は、「伊藤みゆき」さん。自身のプロフィールによれば、証券会社のOLを経験したあと、1年間の勉強を経て気象予報士に合格。日本テレビの衛星「NNN24」の初代気象キャスターに合格したとのこと。 現在は、NHKラジオ第一の「ラジオあさいちばん」の気象キャスターを務めている。
彼女は「ブログ」を書いており、昨年の「クリスマス・イヴ」の一句は、
冬型で、太平洋側「星降る夜」
この句の説明は、『冬型で、新潟以北の日本海側は雪。ホワイトクリスマスはこのあたり…。一方、太平洋側は広く晴れそうです。星降る夜の星夜になるでしょう。星が見える…ということはかなり寒くなりますから、暖かくしてお過ごしくださいね』。
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《一句形式の天気予報》と言ってしまえばそれまでだが、「五七五」という、日本人にもっとも馴染みやすい音数でまとまめたことに好感が持てる。
……さて今年1月分のブログは……と思ったものの見当たらない。そこで昨年1月分を見たところ、24日の一句が眼に入った。
冬将軍、今夜ノックし長居する。
『ノックし長居する』という視点が面白い。いかにも“居座りそうな冬将軍”という雰囲気を見事にとらえている。――翌日25日は、「長居する」を受けて、
冬将軍、到着早々大暴れ
そしてそれに続く26日には、「大暴れ」を受け、
冬将軍、雪と寒さをもたらした
……と、三日連続で「冬将軍」を採りあげ、その “変化のさま” を<連作>という形で締めている。そのさりげなさが心憎い。何気なく “聞き流す” だけで終わりがちの《天気予報》も 、こうしてみると趣がある。なによりも、イメージと気象のデリケートさがいっそう伝わって来る。読者も一度お試しを。
★ ★ ★ 寒気の中を ★ ★ ★
――「寒気」がセンター試験を受験するなんて……可愛いわ。あたくしも《一句》やっちゃおうかな……。ねえ? こんなのいかが?
この土日、寒気とウインド・ショッピング
いいでしょ? 寒い中にも、ウインドをのぞきながら週末を寛いでいる姿……。
……でも、「土日」に限定する理由はないと思わない? あたくしが「センター試験」を受けるわけでもないし。いつだっていいでしょ? それに「ウインド・ショッピング」だけというのも不自然だわ。外からお店の中を〝のぞいているだけ〟ってことでしょ? それも「寒気」の中なのよ。
……ああ、やだ、やだ! 風邪ひきそう。やっぱり、お店の中に入らなくっちゃ。 ……ん? え? ああ、誤解しないで。「お買物」をしよってわけじゃないのよ。「寒気」の中に晒され続けるのは、体によくないって言いたいの。だから、こうしたらよくって?
二人して寒気の中もショッピング
ちゃんと、誰かと……ふ・た・り……って言ってるの。ちっとも寒さを感じさせないでしょ? 身も心もほんわり……暖かく、そして温かく。
……でもこれって、いかにも「誰かさん」を連れ出して、おねだりしてるって感じね。あ~、やだ、やだ❢ だから、次のようでなくっちゃ。もちろん「誰かさん」を煩わせないで、あたくし一人が静かに、おもむろに……という意味なのよ。
ひっそりと寒気の中をブランド街
“ひっそりと” がいいでしょ? 邪念を離れた<控えめな女がたったひとり、凛としたたたずまいの中にあって>……。あ~あ~。あたくしが男性なら、きっとほおってはおかないと思うの。
ねえ? あなたもそう思うでしょ? ね~え? 聞いてる? ねえってば……。
あれっ? 眠 ちゃったの?
実は数年前より、俳句を始めました。何でもない日常をひとことでまとめようとするところに、自分なりの楽しさを感じ始めています。といっても、満足な成果を得られないままなのですが。
それにしても、花雅美様の俳句や短歌の鑑賞力の素晴らしさに、いつも家内と二人で感激そして感動です。ありがとうございます。
伊藤さんについては、「日本気象協会tenki.jp」の「伊藤みゆきさんのMYページ」に「自己紹介」があります。そこでは、次のような自己紹介のメッセージが。
『気象情報は、四季の移り変わりを伝えるだけでなく、防災面の役割も大きいです。みなさんの生命と財産を守る任務の一部を背負ってる…と思って、これからも精進します。』
『防災面の役割も大きい』とは、プロの視点であり、職業倫理なのでしょうね。あらためて感心した次第です。
どうか、奥様にもよろしくお伝えください。
いつもご活躍を陰ながら応援しております。
それにしても、あたくし様の、味わいふかい創作に敬意を表しております。短歌と言い俳句といい、その秀歌・秀句には目を見張るものがあると思います。
ところで、この日は「寒気の中」の「ブランド街」はいかがでしたか? 「ひっそりと」お一人でお出かけになられたようで……、その後が少し気になった次第です。
いえ、お返事は結構ですよ。お身体ご自愛ください。
こちらの「あたくし」様は、「リケジョ」とは真逆の方のようです。それでも、「割烹着」姿の「あの方」を私が絶賛したところ、何か感ずるところがあったようです。
おそらく、何らかのリアクションがそのうち……という気がしないでもありません。
ともあれ、こちらの「あたくしご本人」自らがおっしゃるので、きっと間違いないとは思いますが、「超恥ずかしがり屋」で「超控えめ」で「超無口」な「あたくし様」の「代理人」として、以上、私・花雅美秀理がお返事をさせていただきました。
わたくしも「リケジョ」とは真逆の「文化系女子」=「ブンジョ?」です。お恥ずかしいことに、文才らしきものは完全にゼロの「ブンジョ?」です。
それだけに【あたくし】様を尊敬し憧れています。
今「Eテレ」で万葉集をやっていますね。自分では創作できなくても、ちゃんと鑑賞だけはできるようになりたいと思ってみています。
歌人、俳人そしておそらく詩人でもいらっしゃる【あたくし】様によろしくお伝えください。
短歌であれ、俳句であれ、そして詩であれ、たくさんの優れた作品に触れていけば、いつしか自分でも創ってみたいと思うはずです。
それと同時に、できるだけ天地自然に、そして優れた芸術に触れることが一番だと思います。
おそらく、「あたくし」さんはそのようなプロセスを辿って来たのではないでしょうか。
これからも「あたくし」さんをよろしくお願いいたします。もちろん、わたくし花雅美秀理も……。