7月4日松下幸之助(松下幸之助.COM)
心から訴える
私は自分の考えた一つの案を、会社なり上司に用 いてもらうには、やはりそれなりの方法というか、持っていき方があるのではないかと思います。これは商売人が物を売り込むのと一緒です。“これ、いいから 買え”と生意気に言ったのでは、うまくいきません。その売り込み方が肝心なのです。
まあ商売であれば、いろいろの言葉も使えましょう。 また宣伝の仕方もいろいろありましょう。しかし要は、それを非常に誠心誠意、訴えていくということだと思います。提案をするにしてもこれと同じことです。 誠意を基本に喜んで用いられるような接し方を工夫する、そういうことが非常に大事な問題だと思うのです。
2013年7月4日天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
天声人語
▼もしもアジサイがこの世になかったら、梅雨時の視界は寂しいに違いない。青く白く、あるいは紫に、七変化の妙を見せて移ろう。鮮やかな雨の花に並んで、自宅の近くに選挙ポスター掲示場が設(しつら)えられた
▼ 昨日はまだ空白だったが、参院選が今日から始まる。思えば解散のない参院選は、沖縄などを除けばいつも梅雨時にある。〈紫陽花(あじさい)やきのふの誠 (まこと)けふの嘘(うそ)〉。正岡子規の句は候補者や政党の不実のことではないが、有権者はかねて、公約倒れに泣かされてきた
▼民主党の旧マニフェストは失望の連続に終わった。逆に公約になかった消費増税が決まった。自民党も政権を奪回すると、原発やTPPでアジサイよろしく色を変えてきた。地元で難詰される国会議員もいるようである
▼梅雨時らしく、今日の予報はおおむね雨という。嫌われがちな季節だが、夏場の水瓶(みずがめ)を満たす大事な役目がある。候補者の訴えも同じだろう。人気取りでなく将来のために大事なことを言っているか。その辺を吟味したい
▼そして梅雨明け頃に投票がある。むろん日曜日。投票率が毎度振るわないのは、こうした日取りが一因だろうか。雇用も格差も憲法も、前途の長い若者こそ重い一票になる。痛みが自分に及んだとき、あの日は海で遊んでいたと悔やむのは惜しい
▼ポケットに一票がある。その一票を温めて投じれば、かすかな高揚もわく。民意と言えば漠然とするが、ほぐせば一人。小片が集まって鞠(まり)のように咲くアジサイに、どこか似ている。